昨日まるたーさんのブログで知った「シナリオ5月号」の特別企画
【シェイクスピア座談会】
シナリオ作家、劇作家、俳優の佐野史郎さんら7人のメンバーの中には「マクベス」の演出家、鈴木裕美さんも。
最終回である今回のテーマは
「マクベスを語る」
早速注文して、読みました。
まず、冒頭からビックリ!
(演目が)マクベスに決まって、ジャニーズ事務所さんが
丸山隆平にやらせたいと。
えええぇぇっ!?
そうだったのか!!
当時、マクベスのインタビューでまるはこんなことを言っていました。
社長の「You出ちゃいなよ」のすごさ。
「僕が全て責任を負うから、Youはその景色を見てきなよ」ってことでしょ?
で、見たことない景色を味わったこっちは止められなくなるわけですよ。
「マクベス」なら丸山にやらせたい。
「丸山隆平」を一番わかっている人たちがこの作品に向き合わせてくれた・・・
今さら知って震えました。
なんとなく熟年の話だと思われているマクベス、
これから子どもを作るはずだった夫婦の話だから、50代であるはずが無い。
今までの常識を覆す若いキャスティングが実現したのも、裕美さんの頭にあるこんな夫婦像があったからこそ。
それがタイミングよく、まると合致したことはとても幸運だったと思います。
「子どもの不在」という裏テーマで、その解釈は様々語られてきているけど、裕美さんの話題になったあの演出、
白い衣装のお尻の辺りについた血の染み。
流れたのか、月のものか・・・
観劇後にお友だちと感想を言い合ったのを思い出します。
とにかく、
あったものが亡くなったのではなくて、今後子どもが欲しかったのに叶えられない話
にしたと。
子どもの代わりに欲しいものはそっち(権力)だったということですね。
という言葉にきっぱり「逆だ」と否定する裕美さん。
ものすごく子どもが欲しかったのに得られなかったから、ああなっちゃった夫婦の話。
そこがあの「マクベス」の譲れない本質なんだろうな。
直前に観たマイケル・ファスベンダーの映画とは大きく違っていたところです。
冒頭がお葬式から始まり、戦闘で息子を無くした喪失感から権力欲に駆り立てられる、見終わった後とても疲れた映画だったから。
対して、裕美さんは
マクベス夫婦がラブラブだということでやりたかったと。
「お母さんに大きな家を建ててあげたい」みたいな、多くの男の人が持つ願望のように
僕の伴侶を王妃にさせてあげたかったというふうに演って、と。
奥さんはマクベスがそう思ってるのを知ってるからそれに乗ってあげなくちゃいけない。
マクベス夫婦は一心同体。
マクベス夫人を愛情深い女性に描いたことが、この「マクベス」の印象を決定づけたし、
互いの愛を確かめ合うあのシーンがあったからこそ、そのあと二人が破滅へと向かう道が一層悲しく、観る者の心を大きく揺さぶったんだと思います。
そして、この物語のそもそもの始まり、
魔女たちがマクベスに会いに行った理由について。
これも解釈は様々だけど、裕美さんは
動機は復讐にしました。
マクベスに殺された3人の兄弟が、マクベスの破滅を見たかったという解釈。
なるほど、冒頭でマクベスに殺された3人がゆらりと立ち上がって魔物になったのは、そこまで意図されたものだったのか。
でも結局その正体はPTSD、自分の中に巣食う心の疾患だというのが裕美さんの結論でした。
こうやって今になって演出家本人から演出の意図を聞くことができ、知れば知るほど、あれは丸山隆平のために作られたマクベスだったのだと実感しています。
当時の雑誌でも、裕美さんの強い言葉が印象的でした。
丸山隆平の血と骨と声を通した
丸山隆平でしかない表現にならないとダメ
シェイクスピアのタイトルロールを演じる俳優はそれをやらなきゃいけない。
まるも、
唯一無二になること。
この人でなきゃ成立しない、て言われたい。
と言ってました。
稽古期間中は、悩み、もがいてるまるの様子がちょくちょく漏れ聞こえてきたけど、
果たしてまるは、裕美さんの思い描く「マクベス」を超えられたのか。
千秋楽の幕が下りた後の裕美さんのTwitterより。
毎日空に声援を送って下さっていた(笑)皆様のおかげです。
「マクベス」丸山さんの、バラエティで見せる顔とはある意味真逆の(笑)、お調子に乗らない、より良い演劇にするための無言の努力、ひたむきな取り組み方が、芝居全体を千秋楽まで成長させ続けた大きな要因だったと思います。
すごく嬉しい呟きでした。
まるたー達が毎日空に向かって祈ってたこと、裕美さんに知られてたことに笑っちゃったけど(笑)
そして、今回の座談会の中でもすごいことを言ってくれてます。
シェイクスピアは、ただ言っただけじゃ面白くないんですよ。
俳優と演出家が素敵じゃないと。
特に俳優が素敵じゃないと、ちっとも面白くない。
丸山隆平という俳優は素敵だ
と言ってくれてるんですよね?
折しも、最近の大切な日で、舞台を観劇し刺激を受けたことや、
ミュージカルが好きだと再確認したことがまるの言葉で綴られていました。
鈴木裕美×丸山隆平
このタッグでまたいつかぜひ見てみたい!
もうすぐ、
ヨコ、ヤス君、たっちょん
3人の舞台が同時期に始まります。
それぞれ奮闘している3人の姿が目に浮かびます。
がんばれ!
一年前、必死に追いかけたあの日々が懐かしく蘇った雨の日の1日でした。