昨日発売のBEST STAGE 9月号は
目新しい写真も含め6ページ!
薄れゆく記憶をどうにかつなぎとめようとしている最中、
この写真達のおかげで
その場面の記憶が台詞や音で蘇ります。
幻の短剣の場面
ええい、呪わしい幻め!
姿は見せても手には触らせぬというのか?
それとも貴様は心が描き出す短剣、
熱にうかされた頭が作り出す幻覚にすぎぬというのか?
魔物たちに支えられ、くるくると宙を舞いながら短剣を追うマクベス
その指先までもが美しい
おれを案内する気か、
おれの行こうとするところへ
鐘が鳴る。
行くぞ、それで事はすむ。
鐘がおれを呼んでいる。
聞くなよ、ダンカン、
鼓膜が破れかねないぞ、
あれはおまえを天国か地獄へ招く弔いの鐘だぞ。
白シャツを真紅に染めるダンカンの血。
目、口からも一切の力が抜けたこの表情
おれはやったぞ。
何か聞こえなかったか?
叫び声が聞こえたようだった
「もう眠りはない、
マクベスは眠りを殺した」
──心労のもつれた絹糸をときほぐしてくれる眠り、
その日その日の生の終焉、
つらい労働のあとの水浴(ゆあみ)、・・・
人生の饗宴における最高の滋養──
・・・マクベスにもう眠りはない
高らかに響くラッパの音
国王となったマクベスと、
王妃となったマクベス夫人
バンクォーとのやりとり
今夜は正式の酒宴をもよおすのだ
ぜひご出席願いたい。
陛下にはふさわしからぬお言葉
ご命令なさってしかるべきです。
それに従うのが永遠に固く結ばれました臣下たる私の義務
ダンカン王を殺したのはマクベスだと確信しているバンクォーと
いちばん頼りにしているから
会議ではいろいろと意見を聞かせてくれよ
と持ち上げるマクベス
このあたりのふたりの駆け引きがどうしても気になる。
・・・
だが、それも明日にしよう♪
いまは急いで出かけるがいい
今夜また会おう
ご無事でな
友であった彼を送り出す最後の言葉。
この時のマクベスの気持ちは・・・?
複雑すぎて計り知れない。
バンクォーの亡霊に腰を抜かして怯える場面
墓場が一度おさめた死体を吐き出すものなら、これからはトンビの胃袋を墓にすればいい
↑演出家さんがバカみたいで好きだとおっしゃってた台詞
たしかにあいつを見たのだぁ!
男にやれることならなんでもやってみせるぞ。
消え失せろ、影法師!
幻め、消えてしまえ!!
テーブルクロスごとひっくり返して
全てをめちゃくちゃにし、
・・・よし、行ってしまったな。
これでまたおれは男だ!
さぁ、席に戻ってくれ。
このどうしようもなく情けない、子どもじみた夫の振舞いをフォローしなきゃいけない
でももう限界・・・!な夫人。
あれは血を呼んでいるのだ、
血が血を呼ぶのだ。
バツが悪そうに、
でもさらに言い訳するマクベス
うん、見えたよね
思わず抱きしめてあげたくなる衝動にかられる・・・
更なる予言を聞くために魔物に会いに行き、
最後に8人の王の幻影を見せられる場面
コミカルなダンスと音楽が蘇る
マクダフに決起を促され、
イングランド軍の加勢を受けマクベス討伐に向かうマルカム
一方、魔物たちの予言を信じて城に立てこもるマクベス
どーこーのー軍勢だぁ???
思えば長いこと生きてきたものだ
おれの人生は黄ばんだ枯葉となって風に散るのを待っている。
おれは戦うぞ!
この骨から肉が削ぎ落とされるまで。
夢遊病に冒され、
洗っても洗っても落ちない血の幻影に取り憑かれてしまった夫人
それをなおしてやってくれ!
医師に向ける悲痛な叫びが
夫人への愛と自責の念と不安な気持ちで満ちていた。
夫人が亡くなったことを知る場面
有名な「トゥモロースピーチ」
あれもいつかは死なねばならなかった、
このような知らせを一度は聞くだろうと思っていた。
明日、また明日、また明日と、
時は小刻みな足取りで一日一日を歩み、
ついには歴史の最後の一瞬にたどり着く。
昨日という日はすべて愚かな人間が塵と化す死への道を照らしてきた。
消えろ、消えろ、束の間の燈火!
人生は歩きまわる影法師・・・
ここ、みんなが言うように
観る度に少しずつ違ったまるの演技。
ある時は淡々と、
ある時は呆然とした様子で、
そしてある時は、もう見ていられないほどの深い悲しみと喪失感・・・
パンフの対談で語られてた、この場面でのまるの思い
この間あらためて読んでたら、稽古で夫人と積み上げてきたものがあるせいか、ボロボロと泣いてしまったんですよね。
そういう感情になると思ってなかったから、ちょっと戸惑ってしまって。
泣くべきシーンじゃないんじゃないかって・・・
いや、それは決めつけなくていいと思う。
相手役との関係性の中で、思ってもない感情が出てきて、どこに行き着いちゃうかが分からないのが芝居の面白さなんだから。
役者・丸山隆平が
その時その時に行き着いた演技を見せてくれてた・・・
やっぱり舞台は生ものだった。
後日、鈴木裕美さんが観客の質問に答えてくれたツイート
妻が亡くなったという事実は、彼にとっては世界に自分ひとりしかいない、生きる意味も死ぬ意味さえもない次元
そこを想像力を駆使し、体現する俳優という職業は尊いと思っています。
これを聞けて本当によかった。
これで私のマクベスが終わった
と感じたひとことでした。
次で本当に終わりにします。