【映画】JOINT~リアリティ抜群な令和時代のヤクザ映画 | 鶏のブログ

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今年はヤクザが出てくる映画をよく観た年で、本作「JOINT」で4作目となりました。これまでに観た3作品を順番に振り返ると、「ヤクザと家族 The Family(主演:綾野剛)」、「すばらしき世界(主演:役所広司)」、「孤狼の血 LEVEL2(主演:松坂桃李)」でしたが、いずれも主演は日本映画界を代表する超有名俳優。それに対して本作の主演・山本一賢は、何と本作が映画デビュー作。しかも、山本以外の出演者も、ほとんどがデビュー作だったらしく、要は全く知らない俳優陣により作られた映画であり、個人的には「カメラを止めるな」以来の体験をすることになりました。 

 

そしてこのことが、本作に多大な貢献をしていたと感じられました。というのも、有名俳優が演じていれば、それは作り物であることを知らず知らずのうちに認識して観ることになるのに対して、全く知らない俳優陣が演ずることにより、内容の緻密さも相まって、極めて高いリアリティを作品に与えていたように思えた訳です。 

 

また、冒頭に紹介した3作品との比較で見ると、主役、ないしは準主役が、服役を終えて刑務所から出所してくるところから物語が始まっている点が共通しています。いずれも、服役前(昭和、平成期)と服役後(令和期)において、表の世界同様、裏世界も大きく変わってしまっており、それが一つのテーマにもなっていました。そして綾野剛や役所広司扮する主人公たちが、過去と現在のギャップに苦しむ中、本作の主人公は劇的な環境変化に最も柔軟に適応し、まさに令和時代のヤクザ像を体現しており、その点で実に新鮮な作品となっていました。 

 

ただ終盤のストーリーは、義理人情の昭和っぽさを残しており、定番な終わり方に期待を裏切られた思いと、ホッとさせられた思いを半々抱きつつ、映画館を後にすることになりました。 

 

いずれにしても、今年の日本映画ではヤクザが大活躍。実世界では大活躍されたら困りますが、それだけ混乱した時代を反映しているものと思わされる1年でした。

 

評価:★★★★★