こんばんは。sitār(シタール)です。

前に映画の中の象徴的なイメージについて書きました。
今日はシンボルに満ちた映画『マッドマックス 怒りのデス・ロード』のお話です。

この映画を昨年の公開以来、取り憑かれたように観続けています。
一見シンプルなストーリーですが、その大きな流れの中に神話的な要素やどの時代にも変わらない人間の問題が織り込まれています。
映画自体の圧倒的な面白さと美しい映像、小さなヒントを見つけて読み解く楽しさに惹かれて、何度も何度も繰り返し観てしまうのです。


多重的な意味を持つ少ない台詞、背景や人の持つ色、象徴的なアイテム…
どこを切り取ってもそのままオラクルカードにできそうなシーンばかりです。

タロットに重ねられるイメージも多く見られます。

主人公のマックスはタロットの大アルカナ「吊るされた男」を象徴するシーンがあります。
カードの名前そのままに「愚者」のシーンもあります。
冒頭で「輸血袋」と呼ばれて吊るされる時は、世界に馴染まない異端者。
タロットの0番目のカード「フール!」と呼ばれた時にマックスの新しい旅が始まり、再び人と協調して生きる旅が始まります。
そして2度目にトラックから逆さに吊るされる時、ストーリーは結末に向けて大きく舵を切ります。


赤毛の女性は特別な魔力を持って描かれることが多いのですが、5人の妻の一人ケイパブルもそのようです。
遠くを見る事ができ、癒しの手を持つ人。
誰もが青い夜に飲み込まれている時も常に灯が手元にあり、彼女には色があります。
タロットにおける「女教皇」のようにニュークスを導く人であり、青一色の世界の中でも彼女の側にいると光の中に包まれていることができます。


魅力的な悪役イモータン・ジョーは「皇帝」「教皇」「悪魔」の要素を一人で備えています。
「星(人工衛星)」や「月」が重要なシーンで出て来るのも印象的。
「太陽」はニュークスの台詞の中で詩的に使われます。


アーユルヴェーダにおける五大元素の「火」「風」「地」「空」「水」の全てがあります。
歌声で旅人を誘う魔性の女も、植物の種子も、骨も。
どれもわくわくさせるカードのように次の展開を示唆しています。
タロットの枠を超えて、様々なカードのデッキを一緒に混ぜているような楽しさなのです。


私を知ってる人には「あ、マッドマックスの話がしたいだけだな」とバレてそうですね。
実はそうなんです…。
もちろんこんな深読みしなくても十分面白いです。
実際観てる間はそんなことあまり考えてなくて、一緒にリグに乗って疾走してる感じです。

とはいえ観る度に私の映画ノートのメモは増える一方なので、またシンボルを絞った考察なんかを書きたいです。
地獄のデスロード・ナイト、良ければまたおつきあい下さいませ。