昭和四十年代生まれの私は小さい頃から祖母に癩病(らいびょう)の恐ろしさを繰り返し繰り返し聞かされていました。


なぜそんなに聞かされてきたんだろうと思うのですが、齢百歳のすでに惚けてしまった祖母にその真意を問うこともできず、今に至ります。それほど癩病は私にとって身近なものでした。


映画「あん」は癩病、ハンセン病を取扱った作品です。とても慎重に丁寧に この作品を製作したんだなと思わせる気遣いが、映像のいたるところに散りばめられています。監督の河瀬直美さんの優しさと思いやりでしょうか。



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歴史の表には決して出されなかった人たち。強制隔離され、戸籍も剥奪されてしまう。子どもは堕胎させられる。病気を怖がって看護する人がおらず、患者が患者の世話をするなんて決して珍しいことではありませんでした。


「私たちも陽の当たる世界で生きたい」ふつうに生きたい。外に出たい。外で買い物をしたい。いろんな人たちともっと喋りたい。戸籍を戻してほしい。家族の元に帰らせて。


ハンセン病患者さん達のたくさんの願いが込められた作品です。人間の哀しい歴史がここにあります。よろしければどうぞ見てください。