私は独立してから、投資アドバイスを仕事としてやってきた。
これを仕事にした理由は、企業・財務分析ができたこと、金融庁の登録という「堀」ができるビジネスだったこと、継続性があること、初期コストがかからないことなどが挙げられる。要はビジネスとしてやりやすいからという、自分本位の理由だった。
一方で、その仕事に内容の薄さも感じている。根本的な要因は、自分自身で本気で投資をしたことがないからだ。だから、レポートは書けても投資についてのアドバイスは迫力がないという状況だ。
それでも最初は、顧客よりも少しだけ情報優位にあればいいと思っていた。だからこそ、分析レポートは重宝されている。しかし、投資経験に関して言えば、明らかに顧客のほうが上回る場合もある。
私に圧倒的に足りないのは、この経験だ。これがないから、ずっと自分の中でモヤモヤした気持ちを抱えてしまっている。それが原因で大きな失敗もした。不動産投資で成功した人と一緒に本を書いていると、自分の中身のなさに愕然とさせられる。
そろそろ一皮向けなくてはならない時だ。顧客にアドバイスをしているのだから、自分自身でも実践してみなければならない。何となく手を付けるのではなく、本気で資産を増やすことを目指してやらなければならない。
必要なのは覚悟だ。もちろん失敗もするだろう。それでもついてきてくれる人がいる限り、日々改善して取り組んでいかなければならない。
顧客はパートナーだ。私が本気で資産を増やすことを目指し、顧客はそれを信じてついてきてくれる。これが新たなビジネスの形としてあってもいいのではないか。それでこそ、自分も目標に向かって邁進できる。
日々の活動やレポートはそのことに集中させるべきだ。自分がやるべきことは、投資のパフォーマンスを上げること、そしてその過程を顧客に伝えることだ。この両輪を回すことで、一緒に成長していかなければならない。
本物を目指す。これができればビジネスは自然と大きくなる。これが人生の幅を広げるためにも役立つだろう。