「相場師」「投機家」というと、自分は敬遠してしまいがちだが、それでも成功には一理あるのではないかと思って読んでみた。結論から言うと、学ぶことは非常に多かった。

 

リバモアの手法は、現代で言うモメンタム投資に近い。相場の反転の兆しに目をつけ、少しずつ投資して様子を見、自分の仮説が合ってると見れば一気に勝負に出るのである。

 

本書は伝記形式になっているが、成功するまでにいかに努力を重ねたかはよくわかる。だからこそ、他人とは違う大成功を収めることができたのだろう。「投資」も「投機」も、凡人と同じことをしていたら飛び抜けた成功は得られない。

 

彼の手法が現代もそのまま使えるかどうかはわからない。何より取引のスピードが違いすぎるし、当時は相場操縦が当たり前の世界だった。むやみにそのまま適用してもうまく行かないかもしれない。

 

しかし、市場の習性を観察することは今でも役立つと思う。むしろ、取引がロボット化されているからこそ、その習性は一方向になりがちな可能性すらある。長期投資でも、最後買うか売るかと言う局面が必ず訪れる。そこで必要なのは路地国はない「センス」であり、センスは日々の観察があるからこそ磨かれる。

 

リバモアは、最後は人生に失敗したと言って自ら死を選んだ。長期の投資家と違い、「投機家」はパフォーマンスだけでなく人生における振れ幅が大きいように感じる。自分がその世界に足を踏み入れることはないだろうが、無下に扱うべきものでもないと思う。