今最も気になることは、自分が薦めている銘柄が本当に儲かるかということ。
バリュー投資の考え方をベースに割安株を推奨しているけれども、本当に上がるかどうかわからない。そう悩んでいる時に、「五月さん」こと片山晃さんの本を読んだ。きっかけは、顧客が調べてくれと言った銘柄に彼の大量保有方向書を見つけ、さらにそれで大儲けしていたからだ。
本自体の評価は高くないが、今の自分にとっては勉強になることばかりだった。
彼の投資手法は、中小型株の適時開示(主に業績予想修正)を見て、上がる株を見つけるというものだ。一見簡単そうで、とても成功しそうにも見えないが、そこから先は奥が深い。
彼は数値そのものを見ているのではなく、その銘柄に起きている「変化」を見てその先を「想像」しているのだ。つまり、業績の上方修正があったら、その理由を調べ、将来何が起きるか考えるというのだ。沢山調べればいいというわけではなく、文字通り想像力を働かせる頭脳のスポーツだ。
なぜ彼が中小型株を中心にしているのかというと、多くの人に知られる前に変化に気づくことができ、会社自体が小さいから変化のボラティリティが大きいからだ。驚いたのは、中小型株だからと言って仕手的にやっているのではなく、きちんと業績やバリュエーションを見ているということだ。
変化に気づくにも、想像力を働かせるのも、企業分析は必ず必要である。中小型株も例外ではない。重要なのは、多くの人が気付く前に「変化」を察知し、行動する(ここでは調べる)ことだ。つまり、多くの人とは違う動きをするのである。
また、株式には4つの種類があるという。
(1)優等生がいい点を取り続ける
(2)優等生が悪い点を取る
(3)劣等生がいい点を取る
(4)劣等生が悪い点を取り続ける
(1)は順調に伸びるが、バリュエーションは高い。ちょっと何かあると下落するリスクがある。(2)は(1)がこけて急落した後。(3)は中小型株が何かの拍子に勢いづくことであり、(4)はそもそも魅力がない。
片山さんは(3)のタイプだ。では自分はというと、バリュー投資の考え方で完全に(2)のタイプだと思う。いい株なんだけど、不祥事や一時的な業績悪化で株価が下落した銘柄を買いたいと思うのが一番しっくり来るのだ。
投資哲学は完成されることはないが、軸は持っておく必要がある。この本はそれを形作るのに役立つ示唆を与えてくれた。
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