あと約1年半すると会社を去る。漠然と良さそうだと思って就職した会社だったが、既に6年が経過しようとしている。同じ組織に所属するという意味では、家族以外では小学校を超えて自分史上最長だ。

これまで会社にいていろんなことがあった。不満も多かったが、得られたものも間違いなくたくさんあった。今回は会社にいて良かったことを挙げてみたいと思う。

金銭面

まずお金の話。前半こそリーマンショック後の長い証券不況で期待していたほどの給料がもらえなかったが、それでも安定した収入を得ることができたし、幸いここ数年は盛り返している。

しかし、もらった金額以上に金銭的な「信用力」を得られたことがいちばん大きい。

信用力の最たるものが家を買ったことだ。銀行はどういうわけか、めちゃくちゃできる自営業の人間よりも、どんなにうだつが上がらなくても大企業に勤める人間を信用するらしい。お金を借りるにあたっては、今のところ何の苦労もしていない。

もちろん、純粋に安定的な収入があったということも大きかった。総額で300万円もするMBAを金銭的には特に苦労することなく取得できたし、多少ケチケチしながらも、行きたいところに旅行に行け、結婚式も不自由なく挙げられた。

スキル面

パソコンで仕事をするという感覚を覚えられたのも大きい。タイピングが速くなったし、パワーポイント・エクセルも人並み以上に扱えるようになった。ITが重要になるこれからの世界では、これだけでも6年やった意味があるだろう。

大学であまりやらなかった勉強面を補えたことも大きい。証券アナリストを取ったのをはじめ、必要に駆られて法律も読めるようになったし、起業ネタの大元である株式についての考え方を深めることができた。OJTというのは机に向かう座学よりも効果的だ。

考え方

少しネガティブな考え方ではあるが、日々会社に向かう中で、幸せとは何かを考えるようになった。それまで学校に行っている分には勉強が大変だったりしたが、行くこと自体を苦痛だと感じたことはなかった。それが会社だと「何をやっているんだろう」という気分に苛まれることも度々あった。やっていることの意義を見いだせなかったためだと思う。

転職活動や東日本大震災を通じて、生きているうちにやりたいことはやらないといけないと気づいた。そしてボンドに通い、今は起業の準備をしている。漠然と起業したいとは思っていたが、日々仕事に打ち込んでいたらここまで具体化することはなかっただろう。

就職活動では今の会社か銀行か迷ったが、銀行員だったら真面目だがつまらない人生を送ってしまうだろうという直感は合っていたかもしれない。銀行のようにしっかりしていない今の会社にはある意味感謝だ。

起業面

そしていよいよ起業である。起業のためにスキル面で会社から学んだことは多いが、それに併せて「実務経験6年以上」の経歴が得られそうなことは大きい。これがあると、日本生活金融公庫の新創業融資が断然受けやすくなるからだ。

あとは、これから頑張らなければいけないところだが、創業資金を貯めることである。融資を受けるためにも、自己資金は必須だ。ここはもう少し踏ん張らなけれなならない。


ここにざっと書いただけでも、会社にいて良かったことは多い。これから起業までの約1年半、会社に感謝しながら、もらえるものはもらって自分の人生の糧にしたい。