副題に「アマの知恵でプロを出し抜け」とあるように、個人投資家でもちょっとした知恵を使えばプロを上回る実績を上げることができることを説いた本。

投資の手法は正統派である。株価はファンダメンタルズに連動するため、企業の利益あるいは資産に着目すれば、株式の価値はだいたい予測できる。極端に安くなっている株を買い、高くなっている株を売れば儲けることができるというものだ。

個人投資家が機関投資家に勝てる方法としていくつか挙げているが、印象に残ったのは身近なところから始めるということである。これは必ずしも自分の近くにあるアイスクリーム屋の株を買えということではなく、調査リストに載せるにはうってつけということである。ある小売店が盛況だったらその会社の株式が上場されているか調べ、上場されていたら経営状態を見ることで会社の将来のストーリーを見通すことができる。ストーリーに対して株価が割安であれば、その株を買うことで儲けることができる。

これはすなわち一次情報に当たるということだ。一次情報は新聞などの二次情報よりわかりやすく、誰よりも早く得ることができる。これが機関投資家だったら、まだ誰も知らないような銘柄への投資を上司に説明するのはものすごく面倒で、諦めてしまう可能性が高い。

あとは、他人の言うことに惑わされないことである。事実に忠実に、自分が正しいと思っていることをすればいい。過去の実績を見ても多くの人が間違うのだから、多数派に便乗する必要は全くない。他人と違うことをして初めて他人より儲けることができるのだ。

株式のストーリーとして、著書では以下の分類が挙げられている。
・低成長株
・優良株
・市況関連株
・急成長株
・業績回復株
・資産株

まずはこれらに分類することで、その株式の見方を決め、投資を考えるとよい。しかし、僕は必ずしもこれにこだわる必要はないと思う。低成長株が急成長株になるかもしれないし、市況関連株が同時に資産株である可能性もある。要は、いろんな視点から見て、その株式の特徴を理解するということだ。それができれば、少なくとも何も分からず投資するという無用なリスクを冒す必要はない。

ピーター・リンチの株で勝つ―アマの知恵でプロを出し抜け/ダイヤモンド社

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