物の価値は大きく分けて使用価値と再販価値に分かれる。

使用価値とは、文字通り使用するための価値である。車で言うと、人や物をある程度のスピードで運べるということが使用価値である。運転の快適性などもこの分類に入る。使用目的が人によって異なるため、ある人にとっての使用価値は別の人にとって等価ではない。

再販価値とは、それを他人が買った時につけるであろう価格である。車の場合、中古車市場で売られている価格といっていいだろう。いまやネットオークション等により様々なものの市場価格を確認し、自由に売買することができるため、昔と比べて再販価値を確認することが容易である。再販価値は、それを求める様々な人の共通の価値観を表したものであり、人々の間で大きな違いはない。ブランドは再販価値を顕在化させる最も良い手段である。

自分が買い物をする際、そのものの値段が高いか安いかは、使用価値で見ているのか再販価値で見ているのかを区別して考える必要がある。買ったものを使い倒す目的なら他人の価値観を気にする必要はなく、自分がこれだけ出せると思った金額を出せば良い。一方、特に耐久期間が長いものについては将来的な売却が考えられるため、再販価格をチェックし、売却時までに目減りしにくいものを選ぶのが得策である。

こうやって考えると、一見不可思議なお金持ちの買い物の意味が見えて来る。本当のお金持ちは服に全くお金をかけていなかったりするのは、使用価値で見ているからである。よほどのヴィンテージものでない限り、服の再販価値なんて二束三文である。逆に、やたら豪華な家や車をたくさん持っているのは、それらが高い再販価値を持っているからである。いざとなったら売却することでほとんど損をせずに売り抜けることができる。

再販価値のあるものを多く持つということが、資産形成の本質であろう。