リスクがゼロになることはない

世の中にはあらゆるリスクが溢れている。いつ病気になるかわからないし、リストラされてしまうかもしれない。車に轢かれる可能性もあれば、他人を轢いて多額の賠償金をはらわなければならなくなるかもしれない。こんなことをずっと考えていたらきりがないが、全部のリスクを保険でカバーしようとしたら毎月の支払いがいくらになるかわかったものではない。

あらゆる物事についてリスクがゼロになることはない。まずはこれが出発点である。リスクを気にしすぎても仕方がないが、全く無視するのはただの馬鹿である。大事なのはリスクが何かを知り、それと向かい合うことである。

リスクは何か

何らかの心配事があり、それがリスクに関連することであれば、具体的に何が起こることを懸念しているのか分解して考えなければならない。

例えば、家のローンを組むときのことを考えてみよう。住宅ローンに係る不安は、毎月の支払いを続けることができるか、金利は今有利なのか、金利は変動がいいのか固定がいいのかなどである。

金利が有利か不利かということを考えるときりがない。専門家であっても、目先の金利を予測することはできない。金利が国の財政事情に影響されることを知っていれば、長期的な見通しはあるかもしれないが、ここ数年のことはやはりわからない。したがって、この問題は一旦無視するべきである。

最も考えるべきは支払いを続けられるかどうかである。まず、現在の月収から考えて、ローンを支払ってもまだ十分にお金が残るかどうかを考える。そして、将来時点での出費、例えば子供の教育費用が嵩むときも払えるかどうかを検討する。それで払えるのであればこのリスクはクリアしたことになる。ただし、ここで変動金利を組んでしまうと前提条件が狂ってしまうため、固定金利にした方が余計な心配事を抱えなくて良い。変動の安い金利じゃないと払えないというひとはそのローンは見直すべきである。

最悪の事態を想定する

そして、絶対に忘れてはならないのが最悪の事態を想定することである。最悪の事態とは再起不能になってしまうことであり、住宅ローンに関して言えば、支払い原資となる収入がなくなることである。

父親だけが働いているとして、彼が亡くなってしまったら収入が途絶えるが、一般的にはこの場合ローンがチャラになる団信保険に入るので心配はいらない。問題は父親が生きていて、収入が途絶える場合である。こうなるとだれも助けてはくれない。

収入が途絶える理由がリストラならば、父親はリストラされないよう努力をすべきだし、仮に会社が倒産した場合も再就職できるよう自分磨きに励むべきである。再就職先で給料が下がるなら、母親もパートに出る準備くらいはしておいたほうが良い。

大事なのは再起可能であること

ここまでしてもリスクはゼロになることはない。しかし、少なくともここまで考えておけば、いざ何か起きた時も焦らず対応することができるはずだ。命がある限り、いくらでも再起は可能である。