バフェットの投資手法をよく解説している本。バフェットが参考にしている株式市場についての基本的な考え方もうまく説明していて有用性は高い。

バフェットが買う株の事業には4種類12個の原則があるという。

事業に関する原則
・シンプルで理解できる事業か
・安定した事業業績があるか
・長期的に明るい見通しがあるか

経営に関する原則
・経営者は合理的か
・株主に率直に話せる経営者か
・組織の習慣に屈しない経営者か

財務に関する原則
・1株あたり利益ではなく、自己資本利益率を上げようとしているか
・「オーナー利益」を考えているか
・利益率の高い企業を探しているか
・1ドル利益を留保したら、企業の市場価値も1ドル以上あがるように心がけているか

市場に関する原則
・事業の価値はどれくらいか
・その事業を価値よりもはるかに安い金額で買収することは可能か

それぞれの原則は非常に深い洞察であり、投資を行う時にはチェックすべき事項である。しかし、この全てを満たす企業は現実的には存在しないのではないか。実際のバフェットの投資に当てはめたケースもあるが、ややこじつけ感がある。

最も重要なのは、株式のおおもとである企業の価値を見極め、それよりも大幅に安い価格で買うというグレアムの基本的考え方に尽きる。これを行うために上記の原則を使用するのだ。

従来の効率的市場仮説への考え方についても考えてある。効率的市場仮説では、どんなに有能なファンドマネジャーがいても、その結果はダーツを投げた場合と何ら変わらない。従って、インデックス投資が最も効率的であるという考え方が原則である。

しかし、それではバフェットのように、長期に亘って市場平均より遥かに高いリターンをあげているファンドのことを説明できない。

効率的市場仮説が実際に成立しないのは、市場が非効率だからである。すなわち、市場は時に合理性では考えられないような誤った動きをする。市場が楽観的な時はどこまでも上ると考えるほど楽観的であり、悲観的なときは二度と回復することはないと考えるほど悲観的なのだ。

市場が誤った動きをして、株が企業の価値よりも大幅に安い価格で取引されているとき、非常に低いリスクでリターンを上げるチャンスが生まれる。これを実践するためには、合理性が最も重要になる。感情に惑わされずに合理性を追求することで、いつでも正しい企業の価値を見極めることができるのだ。

市場心理についてはノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンの「ファスト&スロー」を読んで勉強しようと思う。

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