いつか読まないといけないと思っていた孫子の『兵法』の解説書である守屋洋氏の『孫氏の兵法がわかる本』を読んだ。全文について解説があったわけではないが、エッセンスを捉えた本だった。

『兵法』の大原則は以下の2点に集約される。

1.戦わずして勝つ
1.勝算なきは戦わず


戦わずして勝つ

むやみやたらに戦うと、例え勝ったとしても損害は避けられない。また、その間に他所から攻撃を受けて致命傷に繋がるかもしれない。

経営においては、まず競争の激しい分野に無理に参入しないということに繋がる。シャープが液晶分野で戦ってボロボロになってしまったように、いくらその分野のトップを自負していても、競争が激しく価格競争に陥ってしまっては利益を得ることは難しい。


勝算なきは戦わず

勝算のない戦いはしてはいけない。一見当たり前のようだが、これを実践することは難しい。日本人の傾向でもあるが、勝ち目がないかもしれない戦いに対して勇気を出して挑むことが美徳とされることが多い。これは孫子に言わせればただの蛮勇にすぎない。

戦いに挑むことを、経営に当てはめると事業を行うということになろう。事業を行う前には自社・顧客(市場)・競合の状況(3C)をよく調べて、その上で勝ち目を見出した時に初めて攻勢に出なければならない。「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」に集約されている。

勝ち目がないと見たら、潔く撤退するか、勝ち目が見出せるまで自社の強みを固めることが必要である。


細かい部分は様々なフレーズで語られているので、事に当たってはそちらを参照すればよい。肝心なのは上記の原則を頑に守るということである。

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