永遠のテーマであると思うが、成功する投資とはどういったものだろうか。ここでは対象を株式に絞って成功する投資の仮説を書いてみたい。結論から言うと、「下方リスクが小さい」銘柄に「大化けする可能性のある競争力を保持する」企業への投資を継続することが重要ではないかということだ。

投資スタイルはパッシブ投資アクティブ投資に分けられる。

パッシブ投資とはインデックスに投資し、市場リターンを享受するという考え方である。理論的にはリスクを最小化するには性質の異なるあらゆる資産を分散して持つことが望ましいとされる。もちろん、市場が効率的であるという前提に基づいた理論であるが、長期的・全体的に見ればこれは正しいと言うことができるだろう。

アクティブ投資とは、市場が効率的でないことを利用し、積極的に売買を行ってリターンを挙げようとする考え方である。その中にも日々のブレを利用する短期投資と、長い目でリターンを目指す長期投資がある。

パッシブ投資は理論的な裏付けもあり、「失敗しない」投資という意味では正解だろう。しかし、パッシブ投資で得られるリターンは年間数%である。これを「成功する」とするには物足りなさが残る。これ以上のリターンを求めようとするならばやはりアクティブ投資が有効だ。

アクティブ投資のうち、短期投資はさておき、長期投資について考えたい。長期投資には「バリュー」「グロース」のタイプに分けられる。しかし、これは本質的には変わらないと考える。

バリュー投資とは、ウォーレン・バフェットに代表されるように、割安に放置されている株式に投資し、フェアバリューとの差をリターンとするものである。この差をバフェットやその師のグレアムは「安全域」と呼んでいる。

グロース投資とは、これから成長が望まれる企業に投資することである。グロース株は企業の成長に合わせて株価が伸びるているように見えるが、これから伸びるとみんなが知っていれば、それは瞬時に価格に反映されるため、結局はフェアバリューとの差を取るということになる。

上述のとおり、いずれの投資方法も情報の非対称性に着目し、企業のフェアバリューと市場で付いている価格との差をリターンとして獲得しようとしている点において本質的には変わらない。何が違うかと言えば、バリュー投資はフェアバリューの根拠を「実績」に求めるのに対し、グロース投資は「予測」に求める。どちらのリスクが大きいかと言えばやはり後者であろう。

いずれにせよ、長期投資で重要なことは「フェアバリューを見極めること」ではないかという仮説が立てられる。しかし、私は「成功する」本質はここではないと考えている。

フェアバリューから割安であることがある程度分かったとしても、その比率はせいぜい数十%といったところだろう。また、全ての銘柄が一度にフェアバリューになるわけではないので、全体として大幅なプラスになることは考えにくい。

ではどうすれば投資で大幅な利益を上げられるのだろうか。ここで成功している投資家の事例を見てみる。

例えば、バフェットの師であるグレアムは自著でも述べているが、自分のファンドが成功した主な要因は、少数の特定の銘柄が急激に伸びたことであると述べている。(自分の理論がうまくいかなかったことに残念そうな書きぶりではあったが。)

また、ブロガーで一人で数十億の資産を築いた五月さん(http://blog.livedoor.jp/love_aeria/)も少数の株式の急成長が大きな要因だと書いている。

これらの事例から見えてくることは、大きな成功は特定の急成長した銘柄に依存しているということである。つまり、最終的には運なのだ。

しかし、これをただ運で片付けてはいけない。この「大化け銘柄」にたどり着くまでに、いくつもの投資を重ねて行かないといけない。また、得た利益を帳消しにしてしまってもいけない。たまたま最初に成功した投資家がその後の成功を続けられないのはやはり見極める能力がないからであろう。

この仮説が正しいとすると、投資家がすべきことは、「下方リスクが小さい」銘柄で、「大化けする可能性のある競争力を保持している」企業への投資を継続していくことである。これを実践しているのがバフェットではないだろうか。

自分のビジネスは上記のような銘柄を掘り起こすことを強みとしたいと今は考えている。