MSPは経営戦略の基本概念を学ぶものだった。内容は必ずしも網羅的なものではなかったので、講義および教科書から読み取った主な内容を記載する。

■戦略とは自社の強みを理解し他社と差別化すること

戦略を立てる際はまず3C(Company, Customer, Competition)を分析するが、分析を行ったからと言って戦略が自動的に出てくるわけではない。分析は過去のデータをもとに現在の状況を把握するためのものであり、未来の予測をするものではない。また、自社が前より良くなったからといって、それが業績を伸ばすことになるとも限らない。なぜなら、顧客にとっての選択肢は昔の自社ではなく、今の競合他社だからである。

したがって、戦略立案のための分析で行うことは、自社分析(Company)により自社の本当の強みを認識し、競合とどう違うのか(Competition)を明らかにした上で、ターゲットとなる顧客に受け入れられような仕組みをつくることである。

戦略には大きく分けて「価値戦略」と「コスト戦略」があり、どちらも完全に取るということは難しい、すなわちトレード・オフの関係にある。その立場を明確にすることこそが戦略立案である。

■5F分析は業界の定義の仕方次第

業界分析の手法には5F分析があり、5つのForceとは「売り手の圧力」「買い手の圧力」「新規参入の脅威」「代替品の脅威」「業界内の競争」である。これらの要素の強弱から業界の魅力度を測ったり構造を知るために行う。

5F分析は業界の定義をどうするかにより、どこまで分析を行えばよいかや結果の見方が変わってくる。マクドナルドをハンバーガー店業界と考えるか食品全体と捉えるかの違いだ。当然これには答えがないが、個人的にはこれを行うことで自分の中で業界の、特に競合や代替を幅広く調べるきっかけとなることが意味のあることだと感じている。

また、先生はスイッチング・コストの考え方を重視している。スイッチング・コストには「金銭」「手間」「心理的」「情報収集」「リスク」などがある。業界に参入したり新規顧客を獲得する際には、様々な場面でスイッチングコストが働く(例:昼食を食べる店)ことを頭においておく必要がある。

■リーダーシップは双方向のコミュニケーション

戦略的人事管理とつながる部分があるが、リーダーシップとはカリスマ性で行うものではなく、従業員に自ら動いてもらって戦略を実行してもらうことであり、そのために必要となることはリーダーと従業員のコミュニケーションである。リーダーが行うべきことは目標を明確にし、それを従業員の腹に落ちるまでしっかりと説明することである。そして、戦略は現場の従業員により常に修正されながら行うことで初めて実行に耐えうるものとなる。