落ち行く下弦の月。 -143ページ目

第一話(一般公開分)

神崎君の場合

第一話
「日常」

春、4月5日
洗面所の鏡の前で立派な寝癖がついた髪の毛と格闘する少年が一人
(水も効かないとなれば・・・ワックスでッ!)
ボトルに手を伸ばしかけたところで壁の時計が目に入る
「げ・・・」
学校が遅刻と認定する時間は8:10分
現在・・・7:45分
そして彼・・・神崎智也が学校に到達するまでの平均時間は20分
だがしかし、まだ彼はパジャマのままである
さらに言えば今頃、用意しておいた朝食も冷めつつあるだろう
ここで彼に残された選択肢は二つに一つ

1
寝癖を直し、朝食を抜いて学校へ行く

2
寝癖を放置し、朝食を食べて学校へ行く

彼の決断はそのどちらでもなかった
時計の時刻を見た瞬間二階に駆け上がり着替える
ワイシャツのボタンを上下ひとつずつ留め、紺色のブレザーをその上に羽織りつつ一階に戻る
洗面所で寝癖をワックスで固定し、そのまま居間に置いてあった朝食であるパンを口にくわえ・・・
玄関に置いてある鞄を手にして、家を出た
その間約5分
後はいつもどおりに歩みを進めればいいだけだ


(神崎智也の日常はこうして始まった・・・)


「でも智也クン、寝癖まだ直ってないよ?」
「ぬぁにぃッ!?」
ひょこっと後ろから姿を見せたのは敷島梓
本人曰く
『呼ぶときは「梓」じゃなくて「あずさ」って呼んでネ♪』
違いってなんだ?

「ほら、頭こっち出して?」
「お・・・おう」
言われたとおりに頭を下げる
「えと・・・これは・・・」
「・・・」
俺は基本髪の毛を他人に弄られるのは嫌いだが、コイツのは嫌いじゃない
「むむむむむ・・・、なんという強敵・・・!」
でも苦戦しているようだ
わしゃわしゃわしゃわしゃわしゃしゃしゃーッ!
「てめ!何してる!」
「できたっ☆」
とりあえず手探りで頭の状況を・・・
普通だった
「・・・さっきのは一体・・・」
「おーい!置いていくよー!」
ボヤいているうちにあずさは数十メートル先にいた
「ちょ・・・お礼くらい言わせろって!」
つか、早いし
「いらなーい♪」
あずさはそのまま駆けていった
・・・いらないならいいかな?
「・・・じゃなくって、後でちゃんと言っておかないとな・・・」

落ち着いたところで通学路を見渡す
何時もどおりの静けさ
たまに早くから店を開けるところや、犬の散歩・ジョギングなどをしている人を見かけるが
やはりこの時間の商店街は静かだ

あ、ちなみに俺の家は商店街にありながらも店をやっているわけではない
まぁ昔は花屋だったらしいのだが、親が閉めたらしい
今では何の変哲もない家と化している
ちなみに両親は海外旅行中
今どこにいるかは・・・多分本人達が一番わかっていないと思う

商店街を抜け、国道を横断
さらに少し行くと最大の難関である登校坂にさしかかる
いつ見ても急斜面+長い
「・・・いくかぁ」
まぁ、これがあるからこそ学校っていう感じがするんだけど

あ、パンまだ咥えたまま・・・




学校で自分のクラスを確認する
(俺は・・・3組か)
ズラリと並んだクラスメートの名前
「なんだ・・・あずさも一緒か・・・」
まぁ古い付き合いだし別に気にすることでもなかろう・・・
ほかにも何人か友達はいるようだし
ハズレを引いた訳ではなさそうだ




新しい担任の自己紹介と連絡事項が済んだ
確か・・・うん、忘れた
記憶に残るような名演説でなかったことは確かだ
「ふぅ・・・」
うん、相変わらずの眠さだ
周りの人はさっそく新しいクラスでの位置を確保しようと必死みたいだが・・・
「おーい、神崎クン!」
呼ばれたので顔を上げると・・・
「あずさか・・・それと・・・、誰だっけ?」
「ちょ、それはマジで言ってるのか?神崎君」
「いやだって一年経てば忘れるって・・・」
「まぁ正確に言うと、去年も何回かお前と一緒に遊んだりもしたんだが、その部分はカットなのね」
「あぁ・・・あれは俺の人生最大の汚点だぜ・・・」
「神崎・・・」
「岡村・・・」
ガシッと腕を組み合わせる俺と岡村
「「久しぶりだな。神崎(岡村)」」
「あはは☆何事も仲良しが一番だねっ」
「しっかし岡村・・・お前いたんだな・・・?」
すると岡村は不満そうに顔を顰め
「おま・・・クラスメートの名前くらい全部見ろよ・・・」
「いやぁ、自分の名前の上下三列くらいはバッチリだぜ」
「それじゃぁ意味がないだろうに・・・」
ヤレヤレと首を振る岡村

こいつは岡村裕也
中学からの付き合いだ
・・・いや、小学のころからか・・・?
いや・・・いつだったか・・・
まぁいい、人間誰しも物忘れというものはある
とりあえず知り合ったときから眼鏡をかけていたのは確かだ
そしてその眼鏡がすごく似合っていて、知的なオーラがあふれ出しているが・・・
頭の程度は俺より下・・・
つまり、・・・なのだ
そしてバリバリの体育系であったりする
まぁ誰しも見た目と中身が一致するとは限らない


「まぁ仲良しが一番だねっ」
「そうそう・・・そういやぁ転校生って誰が来るんだろうな?」
転・・・校生・・・?
「あれ?神崎クン、聞いてなかったの?転校生の話」
ちなみにあずさは学校では俺に対する呼び方が『智也クン』から『神崎クン』に変貌を遂げる
本人曰く・・・いや、このことについては何も言ってないような・・・
とりあえず気がついたらこうだったというまでだ
ってか・・・
「俺口に出してたか?」
「いや、なんだか意外ーみたいな顔したから」
「何も知らない・・・というか話を聞いていない神崎君にはボクがお教えしよう」
「で、あずさ。転校生とは?」
「無視っすか、そこ無視っすか」
えぇと・・・とあずさ
「なんだかね、本来なら今日学校に着く予定だったらしいんだけど・・・途中でいろいろあってこっちに到着するのが明日になるって先生が言ってたの」
「ふぅん・・・」
明日か・・・
「どんなやつなんだ?」
「それは俺も知らん」
「いや、岡村。お前には聞いていない」
「俺もあずさちゃんとの楽しい会話にまぜてよぉぉー」
言いながら身を摺り寄せて・・・
「クネクネしながら寄ってくるな!コラ!」
とりあえず腹に一発
「ぐふぁ・・・流石だ・・・神崎・・・お前は・・・立派な・・・」
あぁ・・・無視だ、無視!
「で、あずさは知ってるのか?転校生のコト」
再び少し思い出すような仕草
「確か・・・綺麗な女の子っていう噂があるよ?」
大方クラスの美少女好き集団が流した噂だろう
「そうか・・・まぁ噂なら当てにはできんな」
「まぁね。アレ?そういえば岡村クンは・・・」
言われて足元を見る
「うぅぅぅぅ・・・」
体育座りして地面に何かを書いていた
「おーい、生きているかー?岡村一等兵ー」
「・・・」
駄目だ。こりゃ
「岡村一等兵殿!こちらはあずさであるっ!貴殿の望みを述べよ!」
あずさが乗じてこんなことを言い出した
・・・それ、地雷だぞ・・・あずさ・・・
言われた瞬間岡村の目が変わった
「・・・ぱい・・・」
「ん?なぁに?」
「ぱい・・・もませ・・・」
「あぁ、おっぱい揉ませろね♪なら私が揉ませてもいいって思える人になってからいいなよ♪」
「ガーン・・・」
岡村一等兵はがっくりと肩を落とし、項垂れたまま自分の席へと帰還した
しかし岡村があずさの胸を揉みたがるのもわかる気がする
巨乳!とまではいかないが、多分この大きさは平均以上
そして見た目からしてもしっかりと中が詰まっている・・・気がするッ!
「・・・ハッ!」
「じぃぃぃぃ・・・」
つい見とれてしまったのが運の尽き
「神崎クン・・・揉みたい?」
「い・・・いy」
「えっちぃ」
言い終わるとあずさはウィンクして自分の席に戻っていった
そして予鈴が鳴った
(・・・あ、お礼・・・)
まぁいい、今日は帰るのも早いんだし、また後にしよう・・・





そして学校は何の問題もなく終わった





キーンコーンカーンコーン
間抜けな(俺からしたら)チャイムの音が響き渡る
HRも終わったし、あとは帰るだけだ
「神崎ぃー、帰ろうぜー」
ん?あの声は岡村か・・・
「神崎クーン、帰ろ帰ろ♪」
見ると教室の入り口で二人して待っている
あぁ・・・そういえば中学ん時はずっとこんな感じだったなぁ・・・
「おう、ちょっと待ってろ」
三人で帰るのはずいぶんと久しぶりな気がする


「じゃぁな、また明日」
「おう」
「またねー」
岡村と何時もの三叉路で別れる
これからはあずさと二人きりだ
・・・二人きり?
「久しぶりだねぇ、三人で帰るの」
「そ・・・そうだな」
やべぇ、意識したらダメだ・・・
何か別の事でも考えることにしよう
「そ、そういやぁホント転校生ってどんなやつなんだろうな?」
「さぁ・・・でも、いい人だったらいいな」
「まぁ、それは確かに」
ゆっくりと歩みを進めていく二人
・・・傍から見たらどう見えるんだろうか?
(だから意識すんなっての・・・俺・・・たかがあずさじゃないか・・・)
「とにかく!転校してきたら二人で一番に友達になろうよ☆」
ドキッとするような笑顔であずさがこっちを振り向いた
「ん・・・あぁ。まぁ、そうだな。ってか岡村はどーすんだよ」
直視出来ず、少し目線を逸らしながら言った
あんなの・・・反則だろ・・・
「えぇー、変態は別にいいよぉー」
「いやいや、変態て」
言っている間に俺の家まで着いた
あずさはクスリと笑い
「じゃぁね、智也クン♪」
「お、おう・・・。あ、朝はありがとうな」
「どーいたしまして、それじゃっ」
言い終わると駆けていった


一人になった
「はぁ・・・」
最近のあずさはちょっと危ない
・・・というか、これは俺が意識してるのか?
いや、でもそれは・・・
(とにかく中に入るか・・・)
と、その時
キキーッ
と、車のブレーキの音
気がつくと、お隣さんの家の前に引っ越し屋のトラックが止まっていた
「え・・・。まさか・・・」
確かに空き家だ
お隣さんはいつの間にかどこかに行ってしまって、空き家になっている
んなことを考えている間に、助手席から人が降りてきた
綺麗な女の子だった
ふと、俺に気がついたようで、こっちを向いた


「今日からこの家に住むことになりました。木城ユウカです。」
言い終わるとペコリと頭を下げた


















===書き終わってから一言===

こちらが一般公開分ですね。

別に遅くてもいいぜーという方はこちらでお楽しみください。

第二話

とりあえず書き終わりましたー。

落ち行く下弦の月。-opt_zmursbtc1195410.jpg
三話書き終わりましたー。
報告だけですよー。



明日、二話をアメンバー限定公開
明後日には、一話を全員に公開しますねー

とりあえず、アメンバーの方々には次々公開していきます。

一般の方々には、既にアメンバー記事で公開した分から公開…という形にさせていただきますね。
















眠いので寝ます。
悠でした。