ドイツから帰国する日

まだドイツ国内に銀行口座が残っていた

ユーロ預金もかなりあった

空港へ向かうバスに乗り込む直前に

Kaufhofというデパートで

手持ちの鞄を買った

時間がなかったので、よく選ぶこともできなかったが

その場にあった革製のしっかりしたバッグを買った

確か、日本円で3万？位だったと思う

それから主に冬になるとその鞄を使っていた

茶色のシックな鞄なので

夏にはあまり合わなかった

冬になり、ネクタイと帽子が戻ってきたら

鞄も替えるという感じだった

しっかりした革製のバッグだったので

手入れをしながら使って20年たった

今年の春になるところで大分くたびれてきたので

そろそろ納め時かなと判断した

その後は夏用の、安物のビジネスバッグを使っていたが

(夏用のは近所のスーパーで手頃なものを

ちょくちょく買い換えていた

革製ではないので

大体5, 6千円だが、新しいうちは

それなりに見える)

さすが安物

取っ手の部分がひび割れてきて

持つと痛く感じるようになった

さて、還暦過ぎのオヤジなので

もう、安物を買うこともないだろうと

長く使えそうな革製の鞄を探した

近所のスーパー何件か回ったが

これだ！というものに当たらなかった

そこで、ネットで検索

実物は見られないが

これならいいかなというのを二つに絞り

最終的には大きさと、名称(イタリア語だった)で決めた

値段も2万円で、ちょうどいいかなと思った

数日後、大きな段ボールに入ったバッグが届いた

きれいな布製の袋に入っていて

それなりに高級感を醸し出していた

軽くて、なかなかいい感じだった

ミア・ボルサ

イタリア製ではないが、ちょっとカッコいい感じ

翌日から早速使っている

肩掛けのストラップもついていたが

こちらはちょっと安っぽく、カッコ悪いので

使わないことにした

幸い取っ手の部分が長めなので

いざというときには、腕を通して手を開けることができる

さて、数日後

突然、この鞄の名称が気になり出した

「ミア」は英語のmy~だと知っていたので

「ボルサ」は何だろう、と検索してみた

borsa 「鞄」

こう、書いてあった

始め、何かの間違いではないかと

状況がよく理解できなかったのだが

ああ、ボルサは「鞄」という意味のイタリア語だったのか

と、わかった

Mia Borsa

英語で

My Bag

という名のバッグだった

わかった瞬間、

何だか、ちょっと残念な気分になったが

鞄はとりあえず

気に入っている

私の鞄