イエス・キリストが弟子たちを引き連れて

エルサレムに向かうまでに

自分の生まれ故郷であるナザレに通りかかった

そこで、いつものように安息日に会堂で教え始めると

イエスを幼少から知っている町の人々は

イエスの言葉を受け止められなかった

その時、イエスはボソリと

「預言者は自分の郷里、親族、家以外では

どこでも敬われないことはない」と呟き

奇跡も行うことができなかった

(マルコによる福音書6章)

これに似た話をかつて仕えた校長から聞いたことがあった

他の校長も同様の話をしていたことがある

それはつまり、校長が

自分の学校の教員を指導するのは難しいということだ

他の学校などへ講師として招かれて話をすると

みんなありがたそうに聞いてくれるが

自分の学校ではちっともありがたがってはくれない

そんなことを、どの校長も感じている

そこで、校長が伝えたいことを

わざわざ謝礼を払って校長が選んだ外部講師に

「代弁」してもらうと

職員は聞く耳を持つ、というわけである

まあ、本当の人格者なら

そんなまどろっこしいことは必要ないのだろうが

今回の改革のビジョンを示すためには

あらゆる手段を駆使するつもりだったので

さっそく、年度始まってまだ2週間余りの１９日

外部講師を呼んで、「主体性とは何か？」について

話をしてもらうことにした

お呼びしたのは、今回の改革の職員向け「教科書」にするつもりの

『不親切教師のススメ』の著者・松尾英明先生だ

ビジョン（2）