「媚薬」とは、と辞書を引くと、色欲を催す蘂、催淫薬とありました、そして別の辞書には、性欲を催させる藥とあります。
これらの薬の中身を見てみると、荒唐無稽なもの、神秘的なもの、ユーモラスなものなど雑多です。
古代ギリシア・ローマ時代には、高貴な人々の問で、美人になるためとか、いつまでも若さを保つためとか、いつまでも精力的で、永遠の愛と生命を得られる「媚薬」と信じて、盛んに使われた薬もありました。日本にも、はるばる海を越えて伝わり、江戸時代に、ほれ薬と珍重されたものもあります。
中世西洋の説話のトリスタンとイゾルデ姫の物語では、フランク王の妃になるイゾルデ姫を迎えに行った使者トリスタンが船中で姫と口論になり、見かけた侍女が、東方の秘薬を二人に飲ませたところ、その瞬間から宿命的な恋に陥ってしまいます。ボードレールは、「東方の夢見るようなその瞳、彼女であった」と、東洋から招来した秘薬へのあこがれと賛歌を綴っています。
これらがどんな薬物であったか知るよしもありません。おそらく想像の産物であったと思われます。
いずれにしても、その本質が見えてこないのが媚薬
です。これらを節にかけて取り出してみると、動物牲のもの、植物性のもの、キノコ類なゼの天産物をたくみに用いていることがわかります、古代中国の文献で、本国では散逸し、日本に残った「医心方」には、秩苓や山薬などの記載があり、近世では、四鶴の「好色一代男」に牛膝、車前草、地黄、また、俳人一茶の「七番日記」にも、淫羊霍、黄精、竹節人参を掘り取り、旺盛な性欲を支えたというまじめな記録が残っています。
媚薬とは、心構えと願望だったのかも知れません。昔から効きめの強いものは、常用すると毒性が蓄積されて危険なものもありましたが、栄養価の高いものが、滋養、強壮に役立つことから、「元気の出る媚薬」ともいわれます、例えば、ニンニク、タマネギの類がそうです。
最近、何となく体の衰えを感じ、元気がなくなった人に、少しでも力を与え、若さを取り戻すことができるように、また、若い人にも、若いカと美しさを失わないように、「元気の出る媚薬」を参考にしてください。