厚手の壁を潜り抜けるため
縫って縫って、隙間を縫って
いつか気付けば
元の木阿弥
玄関開けりゃいい?
それは知っている
すると
わたしは走り出す
天窓開ければいい?
それも知っている
すると
わたしは駆け上がる
先の見えない分厚い壁
縫って縫って、隙間を縫って
油断をすれば
元の木阿弥
炎は一ミリも漏らさず
抑えて抑えて
息すら止めて
ここまでは上々
玄関も天窓も
しっかり閉じたまま
風も、水も、時間も
さあ、流れろ
すべて、流れろ
そして
通りすがり
人知れず漂うN2のように
交差点のど真ん中
ラッシュの最中
堂々と
溶けてゆく
最後まで
一ミリも漏らさず