女医のS先生。

憧れの妊婦になって、最初に選んだのは助産師さんも多く、施設もきれい、マタニティヨガなんかもやっていて、バースプランなんかもばっちり立てちゃうような素敵産婦人科でした。不安は大きいのに夢見ていた妊婦になれてふわふわした気持ちで毎回通っていましたが、胎盤トラブルで紹介された大学病院はザ・病院。

医療面ではNICUもばっちり完備で格段にレベルは高いのに、やっぱり私は夢見ちゃいけないのか〜なんて正直がっかりしていました。 

この日出会った女医さんS先生。
待合室で10分ほど待っていると、何と先生がやってくるではありませんか!
「お待たせしてごめんね。小児科の先生のご都合で1時間くらい待たせちゃうかもなんだけど、良いかな?」と。

いやいやいや、全然いいです‼︎むしろ看護師さん使わず、1人でも外来さばきたいときに足を運んでくれた先生にびっくりしてしまいました。

その後の診察で、その後娘を執刀してくれた小児外科の先生、新生児科の先生の3人でエコーを再確認。

・片側卵巣が4cmくらいに腫れていて、おそらく悪いものではなさそう。
・胎児の中での4cmはかなりサイズが大きい。赤ちゃんが動いているうちに、卵巣の付け根が捻れてしまった場合、卵巣に血流が行かずに最悪壊死することがあることが心配。
・母体のホルモンの影響で卵巣が腫れているならば、出産して経過観察だけで済むかも知れない。経過観察しても改善しなければ手術が必要そう。


との結果でした。

小児科の2人の先生もとても感じが良かったし、忙しい中すぐに対応してくださってありがたいと思いました。
1つでも情報を聞き逃さぬよう、と気が張っていたのか、小児科の先生方が帰り、診察室にS先生と2人。

「赤ちゃんはとっても元気だよ。あなたが今考えるべきことは、赤ちゃんを元気なまま無事にお産することよ。体力いるんだから〜。小児科の先生たちも準備してくれるから、頑張ってお産しようね!」と笑顔で言ってくれました。その優しさに急に涙が出て止まらなくなりました。

どうしてだろう?ようやく赤ちゃんが来てくれたのに、悪い病気だったら?もし赤ちゃんの卵巣に何かあって、私みたいにあんな辛い治療することになったりしたら?など、いろんな気持ちが溢れてきてしまいました。

私「すみません。でも、もし悪いものだったり、赤ちゃんが卵巣取らなきゃいけなくなったらと思うと・・・私と同じような思いすることもあったりしちゃうのかなとか考えちゃって・・・」そこから先は喉が詰まったように言葉は出ず、涙だけがどんどん出てきました。

先生は私の肩に手を置いて、「大丈夫、大丈夫だから。もしだよ、もしこの子の片側の卵巣がなくなったとしても、もう片方の卵巣は無事なんだから。ちゃんと生理も来るし、妊娠も問題ないはずだよ。産婦人科の私が保証する!
あなたはこの子を万全な状態で産むことだけ考えなさい。あとは小児科の先生達と相談しながらベストを尽くそう。
いいお産しようね。そのためにやることいっぱいあるでしょう?」と穏やかに言い聞かせてくれました。

その後の外来は、毎回S先生が診てくれました。たまに壮絶に外来が混んでいて、看護師さんが先に次回予約を手配してくれることがあるのですが、必ずS先生を希望すると、予約が満員で取れないと断られるのですが、診察でポチポチっと「お待たせするけど予約私に変えとく^ ^」と気にかけてくださいました。

※看護師さんに悪意ないです。私も元大学病院勤務だったんでものすごく事情分かる・・・

そして37週。羊水が減っている。ギリギリ経過観察だけど、これ以上進むようなら入院する可能性もと伝えられ、38週の検診で羊水過少の診断。赤ちゃんを万全な状態で産むためには誘発しましょうということになり、翌日入院となりました。

最初に夢みた産婦人科での出産はもはや未練は全くなく、とにかく大学病院の医療体制に安心できたこと、信頼できるS先生に出会えたことに感謝していました。