タイトルは修正おkです。


タイトル 魔法使いの不要条件

ジャンル 現代ファンタジー

あらすじ 高校二年生の新井良子は夏休み間近の放課後に不良に絡まれる。その時魔法使いの少年に救われる(テレポート的な感じで)。その魔法使いの少年は命を狙われていた。その為良子を人質にして追手である法師を追い返そうと謀る。しかし法師は計略に騙されず良子と少年を狙う。法師は少年をかばう良子に少年の過去と魔法使いに必要なものを教える。魔法使いに必要なものは人を殺すこと。しかしそれ知ってもなお良子はかばい続ける。自分もろとも殺そうとしてきた法師よりも少年の方を信じたのだった。また良子には学校にも家にも居場所はなく自分を必要とされていなかった。ほんの短い期間だったが必要とされていたのが良子には嬉しかった。法師はそれを嘲笑う。少年はそれに憤怒。法師をどこかにテレポート。少年が過去をざっくり回想しエンドーエンドなオチ。


タイトル EBAになりたい

ジャンル 異世界ファンタジー

あらすじ 研究員をしている玄神黒は恩師の頼みで大型の天文台を訪れる。そこで最近の宇宙の開発について聞く。そのとき突如空から真っ青な髪の少女が落ちてくる。そして武装した警察(みたいなもの)にその少女を渡すように要求される。しかし天文台の研究員の我板に玄神の恩師である千夜輝夜のもとに逃げるように命令される。玄神は言われるがまま少女をおぶって逃げる。そして千夜の家の近くまで来たところで少女が目を覚ます。そして少女は自分のことを宇宙人だと名乗る。玄神は茫然としたが少女のことを無視して千夜の家へとつく。そして千夜に少女正体を聞く。少女はトある実験によって空間を自在に移動でできる(ドアドアの実?)少女だった。そしてその少女の実験の前被験者は玄神だった。ところ変わって天文台。高笑いをあげる我板。そこに空間移動で現れた玄神と少女。我板は少女を使って宇宙開発における必要品を宇宙に送ろうとしていた。しかしそれを行うことで少女は宇宙に取り残され死ぬと言う。それに玄神は憤怒。あとはお決まりパターンでオチ。


タイトル 鬼

ジャンル 現代ファンタジー

あらすじ 家出中の少女の野中愛美は路上に倒れた少年を見つける。その少年は自らを鬼だと名乗り、食べ物を欲しがる。命令調に腹だった愛美はそれを無視しようとするが少年は懇願してきたので仕方なくもっていたハンバーガーを渡す。するとその少年を渡せとフードを被った少年と少女が現れる。愛美は命令調が嫌で拒否する。それにキレたフードの少女は腕を異形の姿(イメージはカニのハサミ)に変えて襲ってくる。すると鬼の少年はそれに片手で応戦し、フードの少女を打ちのめす。愛美と鬼の少年はそこから逃げる。そして愛美は少年の事情とさっきのカニの腕のことを聞く。少年たちの正体は初めて血を吸ったもの姿に変わることができる吸血鬼。そして少年はそのなかで特別な血を吸ったことがあるものになら何にでもなれる吸血鬼だった。鬼たちのなかで畏怖されて監禁されていた。そして鬼から逃げ出し、愛美と出会ったところに行き倒れる。ひとしきり説明終えた時、フードの少年と少女が再び少年が強襲する。フードの少年は鬼の少年の兄で吸血したのは伝説上の生き物、鵺。圧倒される少年。しかし雨が降りだすと体の傷が癒え始める。少年はマーメイド(もしくは河童?)も血を吸っていた。あとはお決まりパターン。
降水確率0パーセント。
現在の天気、雨。
この日は僕にとって天気予報から裏切られ続けてちょうど十七年目の誕生日でした。
「傘持ってくればよかった」
 僕はカラオケボックスで部活の友達にこじんまりとした誕生会を開催してもらった。
 でも、
「高宮がイベントごとに来ると毎回こうだよな。この雨男」
 と悪態づかれて誕生会はあっけなく終了。
 そういうわけで僕、高宮量は天気に嫌われた男なのです。
しかし言いようでは雨に求愛され続けられている男。もちろん僕がそんなことを望んでいるかと言えば断じて否ですが。
 そう十七年前の今日この日から僕は雨に結婚を前提にしたプロ―ポーズをされ続けているのです。
 僕の生まれる前後七日間ずっとずっと雨天だったそうです。
それから数年たって幼稚園の入園式があり、そして卒園式までイベントごとには雨が付き物。
それでも僕はただの偶然だと思っていました。
「わたし雨女なの」
そう言って幼児たちの不平を収めていた保育士の先生の言葉を僕は信じていました。実に素直な僕の幼少期でした。
小学生になって運動会、全校発表会、卒業があっという間に過ぎて行ったのを覚えています。そして天気はいつどこを振り返ってみても雨が降っています。
偶然にしては酷いんじゃないか?
そう思ったこともありました。でもまさか自分が元凶だとはつゆ知らず、罪意識なんて蚊帳の外。僕は日々成長していきました。
そして中学生になり、それに気付き始めました。
僕がたまたま祖父の法事のため、欠席した中学一年の体育祭でのこと。
その日、この外套町の天気はここ数年なかったほどの快晴だったそうです。僕が町にいた昨日までは厚い雲が空を覆う曇天だったのですが。
それを聞いて僕はうらやましいと思う反面、すこし引っかかることがありました。いつか思ったこと、自分が雨男なんじゃないか、というバカげたアレです。
でもその時も妄想の域を脱することなく、その考えはなかったことにしました。
ちなみに僕が訪れた父の田舎ではしとしと雨が降りしきっていました。
また別の日。
陸上部の秋季地区予選大会でまた僕は休みました。
夏の終わりの季節変化で体調を崩して風邪を引き、家のベッドで寝込んでいたのです。
ボーっとする頭の中で見た窓の外は曇りない澄みきった青空が広がっていたことを覚えています。やはり前日まで灰色で鬱蒼とした空だったはずなのですが。
もしかして、本当に僕が原因なのかもしれない。
風邪で気持ち寂しかったときにふと思っただけのこと。
そう、それも妄想で、ただそれだけのことになるはずでした。
中学二年の体育祭、それが僕の妄想が妄想でないことを決定づけました。
この年は例年よりさらに天候に恵まれず、体育祭開催予定日の前後一週間、降水確率ずっと百パーセント。
体育祭も天候に応じて延期もしくは中止がほぼ決定されていました。
でも体育祭は無事に開催され、なんと僕のクラスは学年優勝を成し遂げました。
何故、晴れたのか。
なぜならその場に僕はいませんでしたから。
僕は体育祭前日、登校中に交通事故に遭い、怪我は無かったものの大事をとって病院で入院させられていました。
僕は病院のベッドの上、絶対の根拠で確信したのです。
雨が降る原因は僕にあるのだと。
同時期、僕の同級生達もうすうす気付き始めました。
もちろん迷信とか偶然で片付けられるレベルではない、かなりの高確率、いえ絶対的に百パーセントなのですから、学校中が絶対の根拠を手にするまでにそう時間は必要としませんでした。
そして僕は残りの中学生活、クラスメイト達や知り合いにこう言われ続けました。
雨大明神。
そしてこんなエピソードを添えて。
「雨大明神様、明日のマラソン大会を必ずや、雨で中止に」
「明日の大会、お前がくると雨降るから、その、こないでくれるか?」
それでも苛められなかっただけマシだった、と考えるべきでしょう。クラスメイトが優しかったことに本気の感謝です。
それでも雨大明神は言い過ぎですね。
こうしてある意味、伝説の幕開けだった中学時代を終え、高校に入学。
僕はこう決心した。
「学校行事、大会には参加しない」

「だから?」
 僕は苦笑するしかなかった。
「だから、と言われましても」
「それはたまたまのことでしょう。たまたまあんたがいない時は晴れて、いる時には雨が降るだけのことでしょう」
「でも、百回なるようになってしまうことなら、それは必然かと」
 大倉さんは大きくはっきり見せつけるようにため息をつき、あしらうように言う。
「ものは言いようじゃない? 今までそうであってもこれからどうなるか、百回なるようになったなら百一回目はそうならないかもしれない。ようは蓋を開けなきゃ分からないってことよ」
「そう、かもしれないです」
 僕の煮え切らない返事に大倉さんはもう一度似合わないため息をついて、射場へと戻っていった。
 僕は今、誕生会という小さな宴のあとで僕の通う外套東高校の弓道場に戻っていた。
 誕生会は学校での部活後、およそ午後一時から催され、二時間後の午後三時になにごともなく閉会された。
 他の部員とはカラオケボックスで別れたのだが、雨の中を走って帰るには僕の家はすこし遠い。そのうえ妹にゆっくり帰ってくるように言われていた。
 誕生日パーティの準備らしい。我が妹の可愛げのある提案に兄として付き合ってあげるのは当然だ。
今からなら学校に戻って時間を潰せば、妹に言われた時間にちょうどいい。
「それに傘もあるかもしれないし」
こうして僕は学校へ戻って、雨が小ぶりになってくれるのを待ちながら、道場のボロ傘の中からまともなものを選別しようと目論んだのでした。
 道場へ着くと同級生にしてクラスメイト、そして同じ弓道部の部員、大倉美久さんが一人残って自主練習に励んでいた。
 入った瞬間。
 パンッ!
 と、快音を鳴らし、的に矢が刺さっていた。
 的を見つめ、残心をとっている彼女の姿は綺麗としか表現できなかった。
「やっぱりすごいな」
 無駄のない自然な射法と見事としか言えない実力に毎度のこと感心してしまう。
「それで高宮、いつまで入口で突っ立ってるつもりよ。この雨ならもうしばらくは止まないでしょうから、少し練習して行けば? 入口に居られても矢取りに行くのに邪魔になるし」
「じゃあ僕もすこしだけ引いて帰ります」
 暇を持て余していたところだったので僕は賛成した。
 タオルで体をひとしきり拭いて道場へ一礼し道場の中へと入った。

「って、天気良くなってない……」
 むしろ来た時より強く激しい雨になっていた。
「し、しかたないわね。私、置き傘してるから途中までなら入れていってあげる。道着を着替えてくるから待ってなさい」
 と、有り難いことに大倉さんの傘に入れてもらえることになったわけだが。
「もう少し、こっちに寄りなさいよ」
「しかしですね」
「いいからっ!」
 強引に肩を引っ張られ、傘の中へと引き込まれた。
 現在僕は大倉さんと、傍から見たら仲好く、様相カップルのごとく相合傘をしている。
言うまでもないが恥ずかしい。
「高宮に敬語はやめてって言ったわよね。なんであんたは同級生に対して敬語なのよ」
「癖だとしか言いようないです」
「まあ、あんたみたいな人間は常にへりくだって生きていかなければならないのは分かるけどね」
 酷い言われようだった。
「でも、はい、分かりました。敬語は使いません」
「んん?」
 大倉さんは眉間にしわを寄せる。
見せつけるように握られた大倉さんの拳には意味があることを察した、僕は言い直す。
「わかったよ。大倉」
「み、美久って呼んで……」
「え?」
「だから美久って呼んで!」
 大倉さんは顔を合わせずにそう要望した。
 んー、似たような展開を知ってるような……。
 あいまいな記憶の中、僕は拳が怖いので大倉さんを名前で呼ぶことにした。
「わかった。美久」
「そ、それでいいの!」
 は一瞬照れたような表情をしてから、麗しい顔を笑顔にしました、とさ。
 ああ、それにして相合傘は恥ずかしい。
 傘に入れてもらっている何か言えた身分ではないのだが、この状況は少々危ない。誰がって? 僕が。
 大倉美久さんこと同級生にしてクラスメイト、そして同じ弓道部の部員、と僕との関係を述べる分にはこの程度で事は済むのだけれど、彼女を語るには全然言葉不足だ。
 彼女はまさに才色兼備の体現と言っても過言ではない。
容姿だけをいうならそれはもう美少女以外何ものでもなく、色の薄い肩にかかるほど髪に然り、大きな黒い目とそれを縁取ったまつ毛にも然り、整った顔立ちもまた然り、彼女の容姿はこの上ないほどに美しい。
 成績優秀で学年では五本の指に入るほどの優等生。部活動も昨年は全国大会まで行くほどの弓の名手。
 さらにそれを鼻に掛けない快活さも兼ね備え、男子はもちろんのこと女子にまで人気である。一部では「お姉さま」と親しみ呼ばれ、僕とは違う意味で崇められている。
 そして、それを踏まえた上でのこの状況。
同級生にしてクラスメイト、そして同じ弓道部の部員というのは関係でフラグ的には充分でしょう。
僕も中学時代は『雨大明神』としてそこそこ悪目立ちしてしまっていたので、大倉さんほどではないにしろ学年では知られた名だった。
 よって学校のアイドル――は言いすぎにしても有名人にまとわりついている雨男の噂が広まった日には僕の生命にかかわります。彼女のファンからフルボッコにされたら堪ったものじゃない。
それにたとえ大倉美久の存在と詳細を知らないとしても、容姿だけで十分目立つのだから僕のように冴えない男は隣を歩くだけでも胃が痛くなるというもの。
自前のプラカードに「僕は親切な彼女に傘に入れていただいているだけです」とでも書こうか、そう思いきった対処法を考えなければならないほど、現在僕は追いつめられています。
「高宮って誰かと付き合ってたりしてる?」
「唐突に何でしょうか?」
 その時の僕は実にいぶかしい顔をしていたことでしょう。
「ただ気になっただけよ」
「別にいないけど」
「そう、なんだ」
 これはいけないぞ。
 ラブコメマンガ的展開での主人公というものまったく察することのなく疎い朴念仁なのでしょうが、普通は分かりますよ。
僕はそこまで鈍くはない、そう言っても感情の機微に敏感と言うほどでもないけど、この展開はまさにベタなシチュエーションと表現するほかないです。
そう、もしかしたら大倉さんは僕に好意を寄せている可能性があります。
「もし、よかったら、なんだけど、次の日曜日に映画を見に行かない? どうしても見たい映画があるんだ」
 大倉さんは顔を真っ赤にして俯きながらそう提案した。
その時の僕は平静を装っていたものの、思わず傘を手放してしまいそうなほど唖然としていた。
 僕は何事もないように振る舞いながらもこの場合考えられるのは二つを想定した。
 1、映画を見に行って「どうしてもこれが見たかったの」と言われ、女の子一人では入りにくいアクション映画やホラー映画。
 2、映画なんて口実で「実は高宮のこと……」みたいなラブコメティックな展開。
 個人的には1であって欲しいけど、男としては2であって欲しかったり……。
「どう? だめ、かな?」
 僕より頭一つ小さい大倉さんは真っ赤な顔で上目遣いで目をパチパチさせながら、答えを急かす。
彼女のファンなら卒倒ものでしょうね。僕とてぎりぎりで耐えているのですが。
やや考量して、絞り出すように僕は提案に応答する。
「あ、明日、返事するよ」
 我ながらチキンな返答でした。
「そ、そう? む、無理にとは言わないから。あっ、私、ここからバス停まですぐだから、ここまででいいよ。それじゃあっ!」
 後半カタコトで話して大倉さんは傘を飛び出し、止める間もなくバス停の方へと走って行った。
「傘は明日でいいからっ!」
 大倉さんはそう言い、手を振っていた。僕も笑顔で振り返す。
「さて、どうしようかなぁ……」
 僕は大倉さんが見えなくなって、嘆息して呟く。
 どこでそんなフラグを立てたのかも分からないし、僕に校内きっての美少女を惹きつけるような魅力があるのかも知らない。
 でも素直にイエスと返事できない。彼女のファンには狂信者が揃い踏みなので、知られでもしたら……。身の毛もよだつとはまさにこのことか。
 僕はいくら考えて仕方ないと思った。
十七歳の誕生日にいい夢を見せてもらった、そういうことしておこう。

「すっかり遅くなったな」
 日は傾き、夕方になった。
雨雲も薄くなり散り始めている。天気が天気なので虹が出るかもしれないな。
「ん?」
 自宅への一本道に入ると、家の前には何かが落ちていることに気付く。
離れてはいるのではっきりとは見ないが、なかなかに大きな物体のようだった。
「サプライズプレゼントとか?」
 僕の家にはそういうことが大好きな奇抜で変わった人間がいるので、それ自体はあり得ないことではない。
 とはいえ、せめて玄関におけよ。
 僕は家の前に着き、サプライズした。
でもそれは驚かせる名目の贈呈品ではなく、行き倒れている――
「――メイド、さん……?」
 濃紺のワンピース、フリルの付いた純白のエプロンドレス、それと真っ白でフリルの付いたカチューシャ、まごうこと無き正当派のメイドさんが地面に這いつくばって倒れている。
 夢かな?
さっきの大倉さんの一件もあるから夢だとしても疑わないけど。
 それでも流石に頬をつねるなんてベタな真似はしなかった。
「大丈夫ですか?」
 僕はメイドさんを揺らして意識の確認をする。
 死んでいたら堪ったものじゃないな。
「ぅ……」
 メイドさんはうつ伏せのまま呻く。
 どうやら生きてはいるようだった。
「あ、あのー」
「私の……」
 メイドさんはぷるぷる震えながら、顔をあげて振り絞るように声を発した。
「私の遺灰はそっとオーストリアの風に乗せて……」
「えーっと、その……」
 僕は察した。
 この人は変だ!
「そして、故郷で帰りを待つ、ジェシーに愛していると……」
 そして僕は決心した。
 放っておこう!
「失礼します。勝手に風化でもなんでもしてください」
「待ってくださいっ!」
 泥まみれになっているメイドさんは勢いよく立ち上がり、危機迫った声で僕の腕にすがり要望してきた。
「日羽を泊めてくださいっ!」
「そういうのはどこかの田舎でやってください」
「そうですか、無理を言ってすみませんでした。それじゃあこれで――ってそうはいきません!」
 見事なノリツッコミだった。
「日羽は困っているのです。困っている人のために一肌でも二肌でも脱がしてあげるのが男の子でしょう!」
「脱がせていいんですか?」
「少しだけなら――ってそうじゃないですっ! そんなのはダメなのですっ! えっちなのは感心しないのですよ。それに日羽はサードの堅い女なのですっ!」
「守備の名手なんですね……」
 メイドさんは首を傾げている。自分が言ったことを把握できていないようだった。
 天然か。
 僕は腕に掴んで放さないメイドさんの姿をよく確認する。
 どう見てもメイドさんだ。
 以前この手のモノが好きな友人とメイド喫茶という未知の場所へ無理やり連れて行かれたことがある。
 そこにいたメイドさんはやたらスカートが短かった印象だったが、このメイドさんは正道、英国風のメイドさんらしいメイドさん。
コスプレというわけではなさそうだ。
 僕は頭を掻きながら、おもむろに尋ねてみる。
「いったい僕はどうしたらいいでしょうか?」
「まずはですね。日羽を傘に入れてください」
 メイドさんは僕の腕を放して、強引に傘の中に押し入る。
 長い時間この場で垂れていたのだろうか、おそらく純白のエプロンだったものはいまでは見事な土色に染まっている。
 そして近くで見るとこのメイドさんは殊更若かった。
見た所は十代。身長から推測すると少し下くらい。そして割と可愛らしい顔をしている。柔らかそうで赤い唇、愛らしい眼、白い肌、一目惚れこそしなかったものの一男子高校生としてずっと愛でていたいと思うほどの愛らしさ。
ただし透けるように白い肌は泥にまみれてしまっている。
「さて本題です。日羽を泊めてあげてください」
「何故そうなりますか?」
「もちろん欲は言いません。一日三食デザート付きと暖かいお風呂、それに寝心地の良い天蓋付きベッドさえいただけたらそれで充分ですから」
「充分に強欲です」
 欲望の塊だった。
「しかたありませんね。妥協しましょう。それでは今日一日だけでも泊めてください」
 たまらなく偉そうだ。
 でもこうして外でメイドさんと並んで会話しているところを見られるのも恥ずかしいものがある。
 一晩だけなら、薫子も縦に首を振ってくれるだろう。
「じゃあ妹に聞いてみます」
「本当ですかっ! 嬉しいですっ! 還暦ですっ!」
「四十以上も年上ですか」
「失礼ですね。日羽はこれでも十七歳ですよ。あっ、『永遠』という枕詞を使用はしていませんから、ご安心ください」
 何のことやら。
でも、同い年か。年下だと思ったけど。
「すると学校はどうしているんですか?」
「高校には通ってません。日羽ほどの優秀で有能なメイドは勉強をせずとも、IQ200ですから超々余裕ですっ!」
 胡散臭いことこの上ない。
 僕はそう思い、こんな質問、もとい問題をかける。
「それじゃあ、クイズです。『メイド』を漢字で書けますか?」
「急になんですかっ!」
「ただのクイズですよ」
「ただのスクイズ? なぜこの場面でバントですか?」
「それきっと確実に一点が欲しかったんでしょうね」
 この人は言い違えるだけで飽き足らず、聞き間違いまでするらしい。
いくらなんでも人間のスペックが低すぎるだろう。
メイドさんがボケる前に僕は強行することにした。
「十秒前です。後付けになりますけど時間切れ、不正解の場合は家に入れてあげませんから」
「なんですとっ! ええええ、えっと…………、女で『メ』で、衣類の『イ』……かな、奴隷の『ド』……ですっ!」
「その心は?」
「女の子の用の衣類を纏った奴隷さん――って、そんなわけありませんっ! 女の子の用の衣類を纏った可愛い隣の気になる彼奴ですっ! ふ、ふん! まさに日羽そのものですねっ!」
 自分で可愛いって言うのかよ。
 ちなみにもちろん「メイド」に漢字は存在しない。答えは、
「――書けますか?」
「いいえ、書けません」
 である。似たようなナゾナゾがあったと思うけど。IQ200にはレベルが低すぎたということかな。
「そ、それで日羽は正解でした?」
「不正解です」
と、はっきり言うにはすこし可愛想なうえ、涙を溜めた目で見られてそんなこと言えるほど僕は悪徳な人間ではない。
 黙って僕は頷くことにした。
「よ、良かったです……。そ、それじゃあ与太話も大概にして、さっさと家の中に入れてくださいっ!」
「はいはい」
 外見と格好に似合わず傲慢な人だ。
 ふと僕は空を上げて気付く。
空は晴れ渡っているのに雨が降っていた。ようするに天気雨というもの。
「キツネの嫁入りですね」
 メイドさんが神妙な顔で呟いた。
 僕は何のことか分からず、首を傾げると、
「知りませんか? こんな天気の日はキツネさんがお嫁に行ってしまうそうです。実に世知辛いですね」
「そうでもないでしょう。めでたいことだと思います」
「キツネさんにだって色々あるでしょう。親が決めた結婚かもしれないですし、偽装結婚かもしれないですよ」
 キツネの気持ちかな? もしかしたらキツネそのものの可能性が……。
「あなた、もしかしてキツネが化けているんですか?」
「そんなわけはないです。まったく、想像力が常人のレベルをはるかに超えています。危険レベルですね。即刻精神科に行くことをお勧めしますよ」
 あんたがそれを言うか。
「あっ、そうだ。申し遅れました、稲荷日羽と申します」
 そう言うと僕の方に向き直り、ぺこりとお辞儀をした。
「ご丁寧にどうも。僕は高宮量です」
「それでは量くん、いざお家の中へ」
 こうしてお人よしの僕は見ず知らずのメイドさんを家の中に入れてしまった。
 よってこれが事の始まり、よく言うプロローグだった。

原題

【はじめまして三倉茉奈です。はじめまして三倉佳奈です。 】(三倉茉奈・三倉佳奈)


今日の画像

【さよなら絶望先生 オープニング 人として軸がぶれている カット7】


【昨日決定】底が知れない更生法



タイトル通り、はじめましてです。

しかしここだけの話を言うのなら復活しただけのですけれど、まあそれは内緒シーッ! d( ゚ε゚;)


日記の付け方は推して知るべしって感じですでね。

それでも簡単に説明するなら絶望先生リスペクトってことで。


そんなわけで自己紹介ターイム!

イエ━━━ヾ(・∀・。)人(。・∀・)ノ━━━イ♪

(気持ちテンション高めで)

ペンネームは青口水禾。ちょっとした文字遊びですね。分かった方は一報ください(^◇^)

性別は男ですがよく女性に間違われます。外見が、ではなくネット上でですけど……

アニメ、ライトノベル、マンガ、声優が趣味です。総称ARMS(造語)と格好つけていますがオタってことで。

山形県に住まいつつ、もうすぐ東京へ……

現在は絶賛ニートしてます。それでも肩書きは小説家志望。現実逃避かと問われれば弁明の余地なし!

ブログの更新頻度は多くいこうと思っています。暇なので、ええ暇なので。


基本情報はこんな感じですね。

小説は別の専門投稿サイトにでもあげていきます。

その感想でももらえたら嬉しいなーってね。


最後になりますが絡んでください。お願いします。

基本は寂しがり屋の人見知りなので(/・ω・\)


ではでは、青口でした。