大学の友だちから、

大学と関係のあった女性の映画監督、坂上香さんの

映画、『プリズン・サークル』が上映されているから、

というお誘いがありました。

 

内容は刑務所の話で、

そのなかでも日本で唯一、欧米で開発された

"Therapeutic Community (TC)"(「回復共同体、

または治療共同体と訳されているようです)が

行われている、島根県にある刑務所での

そのプログラムと、そこに参加している

受刑者についてのドキュメンタリー映画でした。

 

ここは男性刑務所で、初犯の人、

再犯の見込みが少ない人が中心ということなので、

刑務所のなかでも比較的「マイルド」

なのかと思います。

それがTCが導入されている理由でもあるのでしょう。

 

受刑者のなかでTCに参加することが

決まった人たちは、週3回、2時間ずつグループで

人間関係や感情などについて学ぶという

心理教育的プログラム、

思い出、家族、トラウマや犯罪体験について

プロセスしたり少人数で話したり

というアクティビティを行っていきます。

 

最初は気持ちや記憶が語れなかったり、

被害者の気持ちはどうしても分からなかった

人たちが、だんだんとできるようになっていく

過程が描かれていました。

 

手法としてはほぼほぼ、

いろいろ混ざっていましたが心理療法で

使われているようなものでした。

 

加害者臨床はちょっとしか

したことがないのですが、

よく言われるように加害者はもともと

被害者としてスタートしています。

 

心理療法やカウンセリングで、

愛着関係(親子関係などの親密な関係)や家族の

問題を抱えてきた人たちと話すことは多いですが、

やはり受刑者たちの話はそれと

比較にならないくらいショッキングな

温かい関係や家庭の欠落、というのがあるように

感じました。

 

ある受刑者が言っていましたが、

「これだけやられてきたのだから、

(加害について)これくらいいいじゃん」と思った、

ということでしたが、世間から見れば

許されない認識だとしても彼らの主観

からすれば、実際そうなのでしょう。

トラウマの場合同様、彼らにとって

加害・犯罪行為は「受動態を能動態にする

(passive into active)」行為だったのだと

伺いしれます。

 

いつまで上映されるか

まだ決まっていないようですが、

渋谷のシアター・イメージ・フォーラムで

上映中です↓

http://www.imageforum.co.jp/theatre/movies/2991/

 

 

*ただ、警告なのですがあからさまな

映像などはないのですが、

受刑者の話す内容や思い出は

虐待、暴力、犯罪行為などヘビーなものが多いので

(子ども時代の思い出はアニメとして

描写されていました)、

被害者歴や被虐待歴があり

それを十分にプロセスできていない方には

おすすめできないかと思います。