ソール・ライターのことは知りませんでした。

しかもNYの人だということまで

観るまで忘れていた始末・・・

画面を見て、あそうか

NYの話なんど、と思いました。

 

こういう人の名前って、

展覧会がされたりすると

みんなが「知っている」のようになり、

「知らないの~?」のようなことに

なる気がして、不思議です。

 

さて、そのソール・ライターですが

NY在住の写真家。

もともと普通に写真を撮っていたところが、

あるところでファッション誌

『ハーパーズ・バザー』の目に留まり、

雑誌のために写真を撮ることに。

それが彼の知名度を上げたようです。

 

また、NY近代美術館(MOMA)に

作品が展示されたこともあるようで、

このときは友だちがみな

「嫉妬していたようだった」と

作中で言っていました。

MOMAに展示されるというのは

一線級のアーティストとして

公認された、ということを意味します。

 

ユダヤ人の学者の家に生まれ、

達成しろ(つまり勉強しろ)という

プレッシャーがすごかったんだそうです。

 

これは私も馴染みのあることで、

ユダヤ人にとって学問や学者は

ものすごく重要なことで、

コミュニティに入ってきたパンは

まず学者のところへ行くとも

言われています。

 

私の知人たちにも

それを地で言っている人たちが

何人か思い当たり、

博士号を取ろうとしていた人、

同級生で母校大学院

(ザ・ニュー・スクール・フォー・ソーシャル・リサーチ)の

先生になった人も思い当たります。

 

東アジア出身のユダヤ人

(アシュケナージ系ユダヤ人)の

平均学歴は修士、と聞いたこともあります。

 

ちょっと話が逸れていますが、

要はソール・ライターはそうした家風や

父親に反発してアートに走った、

とも言えそうです。

「反・知性」ですね。

 

お父さんは楽しいことには全然関わりがなく、

代わりにお母さんはそうで、

子どものとき、

はじめてのカメラを買ってくれたのも

お母さんだったそう。

 

NYの日常や風景を

思い切って切り取った

ソール・ライターの作品は

ジャポニスム的とも言われているようです。

 

50年くらいずっと同じ場所に

住んでいるというソール・ライターの部屋は

長年の写真やら雑誌やら思い出の品やらで

ぐちゃぐちゃ!

ある意味自信持てますね(笑)。

 

それだけ一所にいるというのも

NY的でなく、また時代やスピード、

お金に迎合しない彼のスタンスも

ニューヨーカーを超越していると

言えるでしょう。

 

プレッシャーのある街で

彼のように自分のスタンスを

貫けるのはまさに超人!としか思えません。

 

周りに流されず、自分のペースで生きる。

その意図ではないと思うけれど、

精神分析的ですらある。

あらためて「自分」が大切なのだなと、

思わされた映画でした。

 

 

ちなみに映画の方は

いったん昨日までで、

2月初旬からアンコール上映のようです。

https://www.bunkamura.co.jp/cinema/lineup/20_saulleiter.html

 

展覧会は3月初旬までやっているようです↓

https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/20_saulleiter/