皆さん、お久しぶりですシラー


ちょっと私事ですが忙しくてなかなか更新できませんでしたあせる


久しぶりなんですが、さっそく心臓外科手術の実際に入っていきたいと思います得意げ


ではまずは心臓外科手術には欠かせない、開胸までです。


消毒~リネンをかけるまでは特別他科の手術と変わるところはありません。


ただ、人工心肺装置を使用する手術の時はリネンをかけて開胸するまでに人工心肺の回路を準備しなくてはいけません。


まずは胸骨上面の皮膚を切開します。


筋層を電気メスで止血切開しながら、胸骨骨膜を露出していきます。


骨膜が見えてきたら胸骨ノコで胸骨を切開していきます。


この時上縁から行う時と、下縁から行う場合があるのと、再開胸の時は先端が丸い丸ノコを使用します。


胸骨の切開が終わると左右胸骨を二爪鈎で左右に引きながら、止血をしつつ胸骨と心膜の剥離を行います。


開創器が入るくらいまで剥離が進んだら開創器をかけて、心膜をセッシでつかみ上げ、電気メスで切開します。


すると、心臓が現れます。


多くの手術の場合ここで直接心エコーを行います。


心エコーをする時、心膜内にお湯を入れるのですが、このお湯には必ず注意が必要です。


冷たくても、熱すぎでもいけません!


心臓に水をかける時は必ず自分の手で温度を確かめてからにしてください!!


心エコーで大動脈や大静脈の状態を観察して、人工心肺が使用できるか否かを判断する手術もあります。(CABGなど)


開心術の場合ここから大動脈、上行大静脈、下行大静脈のテーピングを行います。


決まり事として、動脈には赤色のテープ、静脈には青色のテープをかけます。


次にカニュレーションと言って、送血と脱血チューブを入れる血管に針糸をかけていきます。


タバコ縫合と言って針糸をギュッとしばると血管に開けた穴がふさがるような糸のかけ方をあらかじめしておきます。


そうする事で、チューブを入れた時に隙間なくチューブが差し込める事と、チューブを抜く時にすぐに穴をふさげるように準備しておきます。


そこまで準備が出来たら、送血チューブ、脱血チューブ、心筋保護回路、ベントチューブを設置していきます。


これで準備完了


あとは大動脈をクランプ(遮断)して完全体外循環装置に移ります。

今回はROSS(ロス)の手術について紹介していきますひらめき電球


ROSSの手術っていっても大半の方が初めて聞く手術ですよね耳


僕も勤務する病院では1度しか見た事ありませんが、この1回は運よく機械だしを経験させてもらいました。


主に大動脈弁疾患に対して行われる手術です。


要は自分の肺動脈弁を大動脈弁として使用する手術です。


具体的には、自分の肺動脈弁に右心室流出路を付けた状態で筒状にくり抜き、これを大動脈弁のところに移植します。


また、移植した部分に元々あった冠状動脈口を自家肺動脈に左右吻合します


ROSSの手術を行うにはまず、自分の肺動脈弁に異常がない事が必須になります。


また、肺動脈弁を大動脈弁と置き換えるために2つの弁の大きさが大きく異なっていると、ROSS不適合と判断される場合があります。


ROSSの利点


1・特に小児の心臓手術で行われる術式です。
  小児の心臓の場合、現在使用できる最も小さい人工弁が16mmが大動脈部分に入らない場合があります。
  ROSS手術は自分の肺動脈弁を使用するため、16mm以下の大動脈弁の場合でも手術が可能になります。


2・人工弁はもちろん成長することはありませんが、ROSS手術の場合は移植した自分の肺動脈弁が成長すると考えられています。
  よって、弁置換術に比べると大動脈弁の再手術の可能性が低いと考えられます。


3・自分の弁を使用するため抗凝固剤を内服する必要がありません。


ROSSの欠点


1・大動脈と肺動脈両方の部分を手術するために手術が大きくなります。


2・肺動脈は人工弁に置換されるため、この部分の成長はありません。
  体の成長に伴って肺動脈部分の再手術は必要になる可能性があります。



大動脈弁置換術が必要になる20~40歳代の患者さんにROSSは最適と言えます。


これから妊娠の可能性がある女性の患者さんや内服薬の自己管理が出来ない患者さんなどは、ワーファリンを内服しなくてもよいのでかなり効果的です


また大動脈弁が感染している場合は、人工弁を置換するよりROSS手術のほうが効果的です。


何がともあれ、患者さんから『ROSS手術をお願いします』という同意が得られなければ行われません。


欠点の1にもあげましたが、1度に2つの弁を触るので合併症のリスクが高いと世間では言われているので、ROSSを勧めても大動脈弁置換術で終わる事も多々あります。



今回は弁形成術について紹介していきましょう得意げ


弁膜症の外科治療の中に弁形成術と呼ばれる手技があります。


これは文字通り弁を形成する手術です。


つまり、弁置換術と異なり自己の弁を残し、それを切ったり貼ったり縫い合わせたりすることによって逆流や狭窄を治す手術です。


この手技が可能な病態は限られますが、もしこれが出来るとなると、この上なく患者にとってメリットとなります。


もちろんうまくいくことが前提ですが、手術の効果が弁置換術と同等であり、かつ人工弁に関係する合併症の心配がないからです


ただし、人工物をまったく使わないわけではなく、人工弁輪や、人工腱索、異種心膜パッチなどを使うこともあります。


僧帽弁形成術の主な適応疾患は、僧帽弁形成術の主な疾患は、僧帽弁閉鎖不全を引き起こす僧帽弁逸脱症です。


僧帽弁が閉じる時に弁の一部が左房側に飛び出してしまい(逸脱)、そこから逆流が生じてしまうというものです。


大動脈弁形成術の主な適応疾患は、大動脈弁閉鎖不全を引き起こす大動脈弁逸脱症や大動脈弁輪拡大症などです。


最終的な診断は心臓超音波検査(心エコー)で行い、形成術が可能かどうか判断されます。

さらに詳しく診断するために、経食道エコーを口から入れて食道から(つまり裏側から)心臓を観察します。


こうして手術前にかなり細かく形成方法を計画しておくのが一般的で、またこれが手術の成否につながります。


形成術の特異点としては、まず通常の弁置換術に比べて、特に長時間の手術となります。

また、どうしても計画通りに形成が進まない時や、形成しても逆流が残る時は人工弁置換術に切り替えざるを得ないこともあります。


また、術直後から術数カ月、あるいは数年してから逆流が再発することがあり、こまやかな経過観察が必要です。


この手術は、患者に『人工弁を体内に持つ』というリスクを背負わせないため、僧帽弁逸脱症であれば症状が軽度な若い人に対しても積極的に行われています。