鳥取の黒坂町に行ったことがある。

中学生たちと知り合いになり、

手紙をもらったりした。

まだ、

ネットが発達していない時代だった。

 

 

この町に、小泉八雲が書いた話がある・・

 

 

町の公民館に、夜、みなで集まって、

終わったとき、一人の男がふと、

「こんな夜に、あのお滝さまに行ける人はいないだろう」

と言った。

誰もが、「あんな怖いところに、まさか」、

と笑った。

すると、若い女性が、

「私なら行ける」とつぶやいた。

「いくら元気のよいあんたでも無理よ」。

 

これは話と関係ない歌

https://www.youtube.com/watch?v=WDH_nJM3djc&list=RDWDH_nJM3djc&index=1

 

すると彼女はむきになって

「じゃ、すぐだから」

と、連れて来ていた赤ちゃんを背負って、玄関に降りた。

皆は止めたのだが・・。

 

急ぎ足で数分歩くと町並みが尽き、道は森の方へ、両側は田んぼ。

半月が空に掛かっていた。

森に入ると真っ暗なので、懐中電灯を頼りに、

滝の音の方へ湿った道を進む。

 

奥の滝の方は見ないようにして、

お堂の小さい、さい銭箱を持って帰ろうと思った。

手を掛けた。

すると、滝の方から、

「おんな!」、

という、とがめるような声が聞こえた気がした。

はっと、手を放したが、証拠がないと皆にからかわれるので、もう一度手を掛けた。

すると、また、

「おんな!」、という声が聞こえた。

彼女は、思い切ってさい銭箱を手に持った。

そして、急いで森を出た。

 

もう懐中電灯は必要ない。

町に入り、息をととのえて、公民館の玄関に入った。

全員が玄関に出てきた。

「あんた、ほんとうに行って来たの!」

「まあ、お茶でも飲んで。それは明日にでも返しに行けばいいから。」

彼女は部屋に上がろうとした。

すると、後ろに回っていた人が、

突然、

あんた・・」、

と悲鳴を上げた。

・・赤ちゃんの首がない!

背負っていた赤ちゃんには首がなく、背中は大量の血で真っ赤になっていた。

 

 

ゆっくり話してやると、「あんた」のところで、みな飛び上がる。

この話は、むきになってはいけない、という教訓になる。

 

<今の運勢>

「中孚(ちゅうふ)」。風向きを考えよう。私は物干し竿まで地面に下ろす。何もしないと危険な目に合うから。