人生劇場という小説は大部である。

 

本筋の主人公は青成瓢吉という。

早稲田大学が舞台で、作者の尾崎士郎も早稲田大学。

 

青成瓢吉という名は、

「青成りひょうたん」のことだろうが、尾崎士郎は、私にとっては、

大酒飲みの豪放なイメージだった。

 

私の母方の祖母は、

うちに来て、われわれを育ててくれた。

その弟が、東京に出て

俳優として売り出そうとしていた。

 

祖母の出身の町、伊予市の古い町家。

 

昔のことだから、

田舎では、俳優は比較的賤しい職業とされていた。

それでも、たまに故郷に帰って来て

皆に、楽しい手技などを披露していたそうである。

 

彼は、どこで知り合ったか、

ひょっとして、

人生劇場の映画の端くれとして出演して、

何らかのときに、

出会ったのかもしれないが、

尾崎士郎のお嬢さんに恋をした。

 

しかし、彼は名もない俳優。

大作家のお嬢さんとは身分が違う。

どんないきさつがあったのかわからないが、

彼は失恋して自殺してしまった。

 

そのお嬢さんが作家の一枝さんかどうかも

わからないが、

祖母は、

尾崎士郎さんのお嬢さんだということは覚えていた。

そして、

ときどき残念がっていた。

 

祖母の故郷の町は昔は郡中と言っていた。メインストリート。人がいない。

 

<今の運勢>

北西から南西に回ると人生大逆転の幸運が待っている。ただし危険とも紙一重なので、危険だと「感じ」たときは手出しをしないこと。明るい場所、きれいな場所が運が良く、暗い場所、汚い場所は良くない。何事も日のあるうちに済ますこと。