原子力発電から火力発電へ
転用ができたらいいのに、と、希望を持っていた。
伊方原子力発電所。中央構造線の真上に立っている。私の家内はここに勤めていた。だから私たちの結婚式には所長さんまで出席して下さった。
そこで、
原子炉ボイラーの設計士である
S君に問い合わせてみた。
返事が来た。
残念だが、転用はできなかった。
以下、便りの要約。
火力ボイラーは
燃料を燃やすために火炉という大きな空間が必要。
伊方3号と同じ89万キロワットの
火力ボイラの場合、
幅 25m ×奥行き13m×高さ50m
原子炉のボイラである圧力容器の場合は、
直径10m未満 高さ約20mで、火力の約1/10。
原子炉が火力に比べてきわめて小さいのは、
燃やすための空間が不要で、
燃料棒で発生した熱を、
周りの水に直接伝えることができるから
熱伝道の原理が、
原子力と火力で異なるので、
原子力用のボイラを火力に転用することは無理である。
なお、原子炉を取り払って、
蒸気タービンだけを利用することも考えられるが、
その場合は、
タービンの蒸気条件の違いから、
同じ89万キロワットを出そうとすると、
計算上106万キロワット級の火力ボイラーが必要となる。
敷地を大幅に拡大した上、
いずれにせよ
ボイラーを作り直さなくてはならない。
よって、
原子力ボイラーの火力発電への転用は不可能である。
以上、わかりやすく説明してくれた。
残念である。
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