朝から冷たい雨が降っている。

 

うちの郵便受けは

配達人が奥まで来なくていいように

雨に濡れないように

路地に掛けてある。

 

行ってみると、

友人からの例の紀行文が入っていた。

そこで、今朝は、

読みながら、順に、たどってみようと思う。

 

彼はいつも、ドイツのミュンヘンから出発する。

列車マニアの彼は、もちろん列車で。

2200kmもある。

乗り替えること6回、1泊2日掛っている。

目的地はイタリアの LECCE、

長靴のかかとの先端の町である。

 

 

たどりついたは良いが、脱出に苦しんでいる。

駅の係官は、

話にもならぬという顔つきで、

リザーベイションのメモをポンと突き返す。

 

寝台車でなくてもいいのだが、と食い下がるが、

パソコンの画面をぐるりと回して見せて、

見ろ、と言ってくる。

そう言われても、イタリア語はわからない。

 

気を取り直して、町の旧市街に出る。

なるほど、

バロックのフィレンチェと讃えられる街並は

気分をたかぶらせてくれる。

 

夜もライトアップされている。

気分も乗って歩き回って、

眠る時間だと思いつつも、

長靴のヒールでキュッと踏まれたような快さを覚えて、

夜の2時過ぎまで、

どっさり生ハムのはいったパンをかじりながら

バカンス最後の週末を楽しむ

途切れない人の波の中を歩き回った。

 

これだけの人がいっせいに帰省するのだから、

列車の予約が取れないのは当然だった。

 

・・ここで彼の紀行文のA3で3枚中の1枚目の途中。

 

広場で暴走族に出合う。

ホンダ、ヤマハ、カワサキなど日本の大型二輪車が多い。

バイクの横に NINJYA とあったので

「ニンジャ!」と叫んでやると、

そのごついアンチャンが、親指を立てて

「ニンジャー!」と叫び返してきた。

ニンジャ・・知人が持っているが、すごすぎてあれには乗れない。

イタリアのバイクも優秀なのだが、日本製は人気があるようだ。

 

彼は、翌朝、鈍行列車で発って、150km先のバーリーを目指した・・。

 

<近日中の運勢>

中孚。心から望めば奇跡が起きる。待っていれば幸運の風が吹く。