連載小説 『野の球』 | 大友・ごむの「理想のワタミ」

連載小説 『野の球』

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<前回までのあらすじ>

マグナム7は競歩能力者だった!


INNING.31 『購買名物コケモモジャムパン』


  競歩――

  スピードを競い合う陸上競技の中で唯一、走ることが禁じられている競技。

  水泳におけるバタフライと同様に

  日常生活においては全く必要性の無い能力を身に付ける。

  だったら走ればいい。


修斗「競歩だと!その前にさっき言ってた柱って何だ?」

中田「言ってない」

マグナム7「そう。察しの通り俺は競歩能力者だ。

       走る能力を捨て、その分の速さも競歩に回したことで

       常人には及びもつかない程の速さで歩くことができる」

賢沢「それで、『走らない』というわけでプリンスか」

マグナム7「そういうことだな」

修斗「くそっ!」


  次に打席に来たのはビースト。バットをブンブン振り回している。

修斗「ビーストさんよぉ、なかなか陸上部もやるじゃねぇか!」

ビースト「そうだろう。ガーハハハ!」


修斗「さて、無駄話はこれくらいにして。行くぜっ!ストレート!」


  バヒューーン


中田「走った!…いや、歩いた!」

修斗「あいつはさっきから何を言ってるんだ?」

  そう言いながら中田の方を向くと、

  1塁ランナーもといウォーカーのマグナム7が

  2塁へ向けてスタートを切っていた。

修斗「何!?歩いたままで盗塁もするってのか!?」


  スポッ。ボールをキャッチした賢沢が

賢沢「そこまでナメられてたまるかでプリンス!」

  慌てて2塁へとボールを投げる。


  しかし、セーフ!盗塁成功!


マグナム7「俺の徒歩はそこら辺の連中の全力疾走の何倍も速いんだ」

修斗「くそっ!」

  またも急激なピンチに見舞われる。

ビースト「どうだ?陸上部の力は野球でも結構通用するだろ?」

  そう言っていたビーストだったが、

  砲丸投げをバッティングで活かすことはできず簡単に三振に終わった。

  チェンジ。


―2回裏―

  投球練習でバンバン豪速球を投げるビースト「ガーハハー!」

  それを見ながら腕組みで考えを巡らす修斗。

修斗「何とかあの豪速球を攻略しないことには勝ち目がない」


  一方、修斗の横では金地が七星にカバンの中を見せながら話している。

金地「ぶちょー。後で食べようと買った購買名物コケモモジャムパンに

    アリがたかって、はらってもはらってもキリがないんです」

七星「…そういうのは元を断たないとダメよ」

  購買名物コケモモジャムパンを取り、ポイッとゴミ箱へ投げ捨てる。

金地「あぁ!」


修斗「元を断つ…はっ!その手があったか」

  何かに気づき目を輝かせる修斗。


修斗「橋本!来い!」

橋本「何?」

修斗「ヒソヒソヒソヒソヒソ」

  耳打つ修斗。

橋本「なるほど!元を断つわけだね!」

修斗「あぁ。頼むぜ」

つづく


行け!元を断て修斗!


作者コメント:最近、長風呂にハマっています。野の球もそこで考えたり。

  汗をダラダラかきながら考えてるので野球部員たちと同じ気持ちになれます。