連載小説 『野の球』 | 大友・ごむの「理想のワタミ」

連載小説 『野の球』

10日もの長き沈黙を経て連載再開!
ついに待望の第壱部が始まる!



<前回までのあらすじ>

色々すごくて、読者は全員 感動の涙がすごい止まらなかった!


INNING.22 『己ノ背負フ数字』


  無事に登録を済ませ、登録所から出てくるジャク商野球部。


中田「ついにやったな!」

修斗「そうだな。あとは第1試合が始まるまでヒマでしょうがないから、

    その間にチームを仕上げていこうと思う」

賢沢「本番に向けて、練習試合をやったらいいでプリンス」

修斗「なるほど練習試合か。それも…アリだな」

  賢沢の方を指し、指をパチンと鳴らす。


橋本「その前にさ、ポジションを決めなきゃいけないと思うんだ」

修斗「ポジ…ション?」

橋本「守備位置を決めなきゃ」

修斗「あぁ、そういうことか。だったら…俺は、ピッチャーだ!(バスン)」

  グローブにボールを叩きつける。

中田「俺はイチローっぽいからライトだ!」

橋本「それはいいんだけど、僕は野球はわからないよ」

林(兄)「俺もだな。自分がどのポジションをやればいいのか全く分からない」

七星「私も」

猫黒「私もだ」

罰キャプ「うぅぅぅ…」

  布の袋を頭に被されているので聞き取れない。


橋本「だからさ、武田くんが決めてくれないかな」

修斗「任せておけ!もう大体イメージできてる」

中田「練習試合の相手も見つけなくちゃな」

修斗「任せておけ!もう大体イメージできてる。

    練習試合は次の日曜だ!みんな予定を空けておいてくれ!」

全員「おー!」

修斗「今日は解散!」

  この日は帰って赤飯食って寝た。


―次の日曜―

  練習試合控え室でリッツやシャンパン(ノンアルコール)を楽しむジャク商ナイン。

  そこへ金地が入ってくる。ガラッ。


金地「おはようございまーす!」

中田「おや?それは?」

  金地が両手に持ってる紙袋を見て中田が言う。

金地「へっへっへ。皆さんのユニフォーム作ってきましたー!」

  紙袋を掲げる。

全員「おおぉー!!!」


中田「これみんな手作り?」

金地「はい!編み物得意なんです!」

橋本「すごいね」

金地「みんな、自分の名前が書かれてるのを持っていってください」

  皆グラスをテーブルに置き、自分のユニフォームを取っていく。

中田「あれ?背番号が無い」

金地「あ!それは皆に好きな番号を聞こうと思って。

    言ってくれれば、今その番号を縫いますよ」


  皆ローストビーフの乗った皿をテーブルに置き、背番号を考える。

修斗「俺はエースだから1番にしてくれ」

中田「俺はイチローっぽいから51番だ!」

金地「了解です」

  チクチクチク。縫う。


賢沢「オイラは0(ゼロ)にしてほしいでプリンス。

    0という数字がインドで発明されたことによって…」

金地「はい、了解です。ぶちょーは?」

七星「私は…そうね、名前から取って、7でいいわ」

金地「はい」

  チクチクチク。縫う。


林(兄)「じゃあ俺も名前の884(ハヤシ)にしてくれ」

林(弟)「僕もそれで」

金地「了解です」

  チクチクチク。縫う。


橋本「僕は何番でもいいんだけど」

猫黒「私もだ」

罰キャプ「僕もどうでもいい…」

金地「キャプテン!その顔どうしちゃったんですか?」

  罰キャプテンは顔中を包帯でグルグル巻きにされている。

罰キャプ「あぁ。ちょっと、ものもらいを貰い過ぎちゃって」

金地「気をつけてくださいね。一応、薬もありますけど」

罰キャプ「いや大丈夫」


修斗「キャプテンなんだから背番号は10番しかないだろ!」

  着替えながら修斗が言う。

金地「それもそうですよね」

  チクチクチク。縫う。


中田「橋本はオイヌキIIメンなんだから、II(ツー)で2番だろ」

金地「オイヌキ?」

  あわてて中田を隠す橋本。

橋本「な、何でもないよ!じゃあ2番で」

金地「了解です」

  チクチクチク。縫う。

  背番号を縫ってもらったユニフォームを受け取ると、

  橋本は着替え中の中田の所へ行く。

橋本「陸上ネームはもう使わないでよ」

中田「ん?なんで?」

橋本「陸上部では当たり前だけど、他の所だと恥ずかしいよ」

中田「オッケーオッケー」


金地「猫黒さんのはどうしましょうか?」

猫黒「何でもよい」

中田「猫だから、ニャーで28番はどうだ?」

修斗「いや、もう猫の絵でも描いとけばいいんじゃないか?」

金地「いいんですか?」

猫黒「構わぬ」

金地「じゃあ猫の絵にしときますね」

  チクチクチク。縫う。

金地「できたー!はい、猫黒さん。だいぶカワイイの描けましたよ」

猫黒「……」


―数分後―

  女子も着替えを終えて控え室へ戻ってくる。

金地「私はマネージャーだから、背番号“マネ”にしちゃいましたー」

  背中を見せるようにクルリとバク宙する。

修斗「よし。みんな着替えも終わって、背番号も決まった。

    これからポジションを発表する!」

  金地が滞空時間の長いバク宙から、ズンッ!と着地する。

  控え室の中が緊張感に包まれる。

つづく


ついに次回、ジャク商ナインのポジションが決定する!


作者コメント:第壱部始まりました。ここからは試合も始まるので、

        躍動感のある文章を書けるよう頑張りたいと思います。