ある日、魚屋さんがカニをたくさん持って売りにきた。
小さいカニなので食べるところがないと断ったのに、魚屋さんはどうしても
売りたいらしく、お汁にしたらいいとか、炊き込みご飯にせよとか、
滅多に手に入らないとか・・・
確かにこれほどたくさんのカニを一度に買うなんて普通の主婦はしないだろう。 しかし待てよ、(この生きたカニを孫たちに送ってやったらおもしろいだろうな)と思い、いたずらを企んで買うことに決めた。
<カニを生きたまま送るために>とりあえず、事務所の10畳ほどの部屋のテーブルの上にカニを残して留守にした。
ここで初めてとんでもないカニの習性を知ることとなる。
魚を入れるトロ箱に入ったカニは結構窮屈そうではあったが・・。
まさかカニに部屋中を荒らされ、大騒動になることなど考えもしていなかった。
箱の上にコーヒーの入った瓶と、はちみつの入った瓶を重しとして乗せていた。
結構重たいと思っていたのに。
さらにカニがくたばっていたらいけないと気づかい、箱の1つの角を空気穴としてずらしておいた。
私のやさしさのつもりが甘かった。カニのほうが私より数段かしこかった。
その頭の良さ・力強さを思い知らされる羽目になった。
魚を入れるトロ箱に入ったカニは結構窮屈そうではあったが・・。
まさかカニに部屋中を荒らされ、大騒動になることなど考えもしていなかった。
22時半ごろカニどもをお迎え?にいった。
玄関を開けると不穏な空気を感じた・
海藻のにおいがする。
プシュッ、プシュッ、と聞こえる。 慌てた。
カニの箱が半開きになっている。
箱の中のカニは・・・?
一匹もいない。
誰かがカニを持って帰ったかと思ったとたん、 私の頭の中が高速逆回転を始めた。
足元にカニがおる。・・
手洗い場の中にカニがおる。・・
テーブルの下にカニが・・
カニ、カニ、カニが!! カニが外出している??
<緊急事態宣言>・<自宅待機>・<外出禁止>だぞ、
守ってくれよ。
慌ててつかもうとすれば、すごい力でかみつく?
挟まれる!
生きたカニなんて素手で捕まえた記憶がない、痛い、痛い。
箸で捕まえようとしても箸が挟まれる。
軍手でつかもうとしても軍手にしがみつく。
応援を頼んで大人が三人。大人三人が力を合わせてカニを捕まえるために
<夢中>・<必死>・<自分流>で。
人生初のカニ騒動、言い方を変えれば<カニ祭り?>
カニを捕まえるために部屋の隅から隅までをはいずりまわって1時間
ほこりもぐれのカニと、汗もぐれのニンゲン。
カニに振り回された人間の姿はカニから見たらどう映っただろう。
今日中に料理しなくては、送るどころではなくなった。
自宅にカニを持ち帰り
カニを洗ってお湯の中に放り込むまでがまたまた大変。
なんと逃げ足が速い。流しの中から飛び出し、床まで落ちて逃げ出す。
カニは横歩きと聞いていたが記憶が飛んでいる?
ほんとに横歩きだったのか?
縦にも走ったのではないか?
あまりにも早い。 逃げる、 逃げる。
私一人ではとても無理だっ た・
お湯の中に放り込まれたカニたちは、お湯の中で押し合い、へし合い。
カニの上にカニが乗り、自分だけは逃げようと、
自分だけが生き延びようと必死に暴れもがいていた。
暴れまわって、手足がもげてしまった。
恨みを込めた目でにらみつけている。
こんなに手足をもがれたカニをみるのも、これほど大量のカニを見るのも
人生ではじめて。
大人三人が最大の珍事件を経験。
最高に面白かった。二度と忘れられない出来事となった。
しかし・・・すまねぇな。許せよ。カニ軍団
