一応、前回からの続き・・・
 
 【関連記事】: ソフトバンクの闇と陰 その2 ソフトバンクテレコム、韓国KT社と合弁会社設立:データセンターを韓国へ

 今回は、予定外の割り込み記事。






 ソフトバンクが、またまたまた社債を発行しました。

 巨大グループとは言え、総額にすると果たして返済が可能なのか? と素直に疑問に感じる・・・今日この頃です。
 (しかも、まだ他社債に比べて利回りが高い ときたもんだ。)


 まずは最近の話題から






2013年6月3日 ソフトバンク・社債4000億円追加発行


ソフトバンク、社債4千億円発行へ 今年すでに1兆円超

2013年06月03日21時57分


 ソフトバンクは3日、個人投資家向けに4千億円の社債を発行すると発表した。事業会社が発行する個人向け社債の額としては過去最大。今年に入ってからの社債による調達額は、計1兆円を超える。

 米携帯電話3位スプリント・ネクステルの買収の資金や借入金の返済にあてる。4日から19日に募集し、利率は年1・74%(償還期限5年)。

 ソフトバンクは3月に国内の個人投資家と機関投資家向けに、計3700億円の社債を発行。4月には欧米やアジアの機関投資家向けに、24・85億米ドル(約2441億円)と6・25億ユーロ(約802億円)の社債を発行した。低金利が続く中、個人投資家の社債への投資意欲は衰えていないとみて、追加の発行を決めた。

 ソフトバンクは、スプリントの株式の70%を201億ドル(約1兆6500億円)で取得する提案をしている。米衛星放送会社ディッシュ・ネットワークが対抗する買収案を出しているものの、7月1日の買収完了を目指している。


↓元記事 朝日デジタル
http://digital.asahi.com/articles/TKY201306030425.html?ref=comkiji_txt_end_kjid_TKY201306030425



 今回の4000億円分の社債だけでも、正直 『 返せるのか? 』 が第一印象でした。
 事実、個人向け社債の規模としては過去最大と記事に書かれている。

 つまり、バブル期ですらどこも発行しなかった金額に達しています。
 (発行したとしても、どこも返済出来ない水準を超えた とも解釈は可能です)






 ともかく、俄には信じがたく、書いてあることは事実なのか? と私自身も素直に感じましたね。

 少なくとも、この記事を編集している時点では、ソフトバンク公式サイトには2013年3月までの社債しか記載されておりません。


$オオルリのブログ
写真1 : 2013年6月7日時点での、ソフトバンク社公式ページによる社債明細表

↓参考サイト
http://www.softbank.co.jp/ja/irinfo/stock/bond/


 4月以降の追加発行分が記載されていませんが、2013年3月の時点で総額1兆円近くに膨らんでいます。

 記載しないのは、意図的かもしれませんが、単に処理が遅れている もしくは四半期決算ごとに更新している との決まり一辺倒の返事になるでしょう。

 そこで、確認がてら記事を集めてみました。

 (※頁末に記事を転載しておきました。読みたい記事をクリックすると、ジャンプします。


2013年2月22日 産経 ソフトバンク 社債3700億円発行


2013年4月18日 ブルームバーグ ソフトバンク 外貨建て社債約33億ドル発行


 大きく分けると、3月と4月にそれぞれ分散して発行され、春だけで社債が総額7000億円超に達した事実が見えます。

 ともかく、様々なメディアで報道されており、全て事実であることを確認しておきました。
 為替レートが不安定ながらも、やはり今年だけで、社債発行の総額は1兆円超と計算出来ます。


 こうなってくると、『 スプリント買収が成功しないとマズいのか? 』 ・・・となりがちですが、実はそうでもありません。
 この話も少し面倒な話になりますので、書けるとしたら別の機会にします。
 (簡単に触れておくと、買収に成功しても・・・??? となる話です。)


 話を社債に戻しますが、債券などの金融取引を行う場合には、世界的に格付け(投資に対する信頼度)が参考にされます。
 その中で、世界で一番注目されるS&Pとムーディーズにおいては、ソフトバンク社債は投資に向くかギリギリ付近で格付けがされています。






 この話は、日本のメディアでほぼ報道されません・・・。
 
 どのメディアでもソフトバンクグループの広告は、かなりのウェイトを占めているはずです。
 ツイッターを見る限り、取り巻きも多いみたいですので、記事にし辛いのでしょう。


ムーディーズ ソフトバンク格下げ検討を継続中


ソフトバンクを格下げ方向での見直し継続=ムーディーズ

2013年 04月 16日 17:53 JST


[東京 16日 ロイター] ムーディーズ・ジャパンは16日、ソフトバンク(9984.T: 株価, ニュース, レポート)の発行体格付けBaa3を、引き下げ方向での見直しを継続すると発表した。

米衛星放送サービス会社ディッシュ・ネットワーク(DISH.O: 株価, 企業情報, レポート)(コーポレート・ファミリー・レーティングBa2、格下げ方向で見直し中)が米携帯電話会社スプリント・ネクステル(S.N: 株価, 企業情報, レポート)(B1、格付けは方向未定で見直し中)を255億米ドルで買収するとの提案を行ったことを受けて、ソフトバンクの買収が実現せず、債務を負担することもなくなる可能性があるものの、新たな展開が確認されれば格付けに織り込むという。

ディッシュの買収提案はソフトバンクの買収提示額201億米ドルを上回る。ムーディーズによると、債務の追加調達で現金による買収額が引き上げられるようなことがあれば、ソフトバンクの信用力にはネガティブとなる。買収提案が終了または解消となれば格付け見直しを終了させる考えにある。

現在の格付け見直しにおいて、ムーディーズは、買収が完了した場合にソフトバンクが抱える多額の債務がもたらす影響に注目しており、買収の潜在的なメリット、市場における交渉力の向上、地理的分散、スプリント社の収益改善見通しも考慮している。さらに、国内市場におけるソフトバンクの地位強化、収益性および全般的な財務プロファイルの改善の評価も織り込むとしている。


↓元記事 ロイター通信(日本語版)
http://jp.reuters.com/article/technologyNews/idJPTYE93F05M20130416



 記事を読んで頂ければ、今年4月時点だと分かります。
 まだ6月追加分に関する記事は出ていないようです。


 格付けの話になりますので、格付け判断の目安となる対応表を作っておきました。
 
 【関連記事】: 【参考資料】債券格付け対応表 (S&P、ムーディーズ、R&I、JCR、Fitch)

 何かと便利なので、お気に入り登録をお勧めしておきます。


 さて、4月の記事とはいえ、格付けはそう頻繁に変わりませんので、簡単に説明すると・・・


 ソフトバンクの格付けは、Baa3。信頼度は、上から10番目。
 非常に微妙なラインですが、敢えて書いておきます。

 つまり、ムーディーズの考えは、こうなります。
 
 ・ 既にソフトバンク社債は、一般の投資として評価出来るギリギリのライン

 ・ ソフトバンクがスプリント買収案の金額アップを提示すれば、格付けを下げる
 
 ・ スプリント買収後は、格付け見直しをする
  (買収に成功しても、下がる可能性もある。)

 ・ 現状のBaa3評価は、予備格付け(クレジット・モニター)、格下げ方向で検討中(ネガティブ)


 スプリント社買収で競合しているディッシュ・ネットワークはBa2。上から12番目。
 債券の信頼度では、ソフトバンクとそう大差はありません。


 一方で、大量の負債を抱えた米スプリント社は、B1。上から14番目。


 何のことはありません。スプリント買収に絡む3社ですが、ムーディーズによる格付けではどこも高いとは言い切れません。
 現状では、ソフトバンク社債が比較的高いとなりますが、何せ急激に社債が膨らむ一方で、今後世界の格付けがどう判断するか分かりません。
 (普通に考えて、社債の大量増刷は、格付けが下がる)


 因みに、日本でも独自の格付け(JCR)が行われており、ソフトバンクはそちらの格付けで社債の募集をかけています。
 JCRによる格付け評価はA。上から6番目(充分、投資に向いている判断)。


 (単純に経常利益と負債総額を見比べると、高評価過ぎると感じていますが、巨大グループだけに判断は難しいはずです。
  仮の話ですが、JCRが妥当な判断を下していたのかは、皆が大損した場合に判明するでしょうね・・・)


 ただし、JCRもソフトバンクの格付けを一段下げるかもしれない(したとしてもA-)との発言はしています。
 
 それにしても、ムーディーズとJCRとの格付けが開き過ぎている点は、どうしても気になります・・・。






まとめ


 ソフトバンクの発行社債が、今年だけで1兆円超に及んでいます。

 一方で、ソフトバンク社債に関する格付けは4月以降に変化がありません。

ソフトバンク社債の格付け一覧
(2013年6月7日時点)
格付け会社格付け上からの順位
ムーディーズBaa3
※予備格付け
(ネガティブ)
上から10番目
S&PBBB
※予備格付け
(ネガティブ)
上から9番目
JCR
※予備格付け
(ネガティブ)
上から6番目


 ※予備格付け(クレジット・ウオッチ または クレジット・モニター)は、一言で言うと、暫定ランクを意味します。
 つまり、ランク変動を検討中で、今はこのランクで社債発行を認めるが、後で変動するかもしれませんよ との意味になります。

 ※ネガティブは、否定的な意味で使われます。格付けでは、格下げの方向で検討していることを指す。


 こうやって現状を把握すると、どの格付け機関も格下げを検討中に、ソフトバンクが4000億円もの追加社債を発行した訳です。

 ただ、スプリント買収の決着は、7月につく予定。
 時期的に格下げしたとしても、スプリント買収の成否に関わらず、また格付けの見直しが待っていることが見えています。
 その為に、各格付け機関が格下げに踏み切りにくい状況かと推測されます。


 孫正義CEOとしては、『 してやったり・・・ 』 の構図なのでしょうか?
 どうなんでしょうか?
 メインバンク始め金融機関から、直接出資がされなかった為に多額の個人出資を募った訳ですよね?



 ともかく、スプリント買収決着後に色々と見えてくる と思われます。



 最後に、独り言を書きますね。


 (´・ω・`) 終わりの始まり?


 単なる、独り言です。読者の皆様は、あまりお気になさらないように・・・









2013年2月22日 ソフトバンク 社債3700億円発行

ソフトバンク、社債で3700億円調達へ 米社買収で

2013.2.22 19:52


 ソフトバンクは22日、米携帯通信大手スプリント・ネクステルの買収資金の一部を調達するため、3月に総額3700億円の社債を発行すると発表した。うち700億円は機関投資家向けで、3千億円は個人向けに発行する。償還期限は4年後の2017年3月。

 ソフトバンクは昨年10月、スプリント株を約201億ドル(当時の相場で約1兆5700億円)で約70%取得し、子会社化すると発表した。国内メガバンクなどからの融資のほかに社債発行も加え、買収資金の調達先を分散させる。


↓元記事 MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/130222/biz13022219540040-n1.htm



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2013年4月18日 ソフトバンク 外貨建て社債約33億ドル発行

ソフトバンク、ドル建てとユーロ建てで33億ドル起債


 4月18日(ブルームバーグ):米スプリント・ネクステル買収を目指して衛星テレビ会社ディッシュ・ネットワークと競り合っているソフトバンク は、ドル建てとユーロ建てで計33億ドル(約3241億円)を起債した。起債規模は当初の計画から50%以上拡大した。

起債の内訳はドル建ての7年債(表面利率4.5%)が24億9000万ドル。ユーロ建ての7年債(同4.625%)が6億2500万ユーロ。ブルームバーグの集計データによると、ドル建て債は同年限の米国債に対する利回り上乗せ幅(スプレッド)が339ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)、ユーロ建て債は同年限のドイツ国債に対するスプレッドが395bp。

ソフトバンクは先週、20億ドルの起債を目指しマーケティングを開始していた。調達資金の一部をスプリント買収資金に充てる意向だと、関係者が匿名を条件に述べていた。社債発行は買収の成功が条件になってはいないという。

デラウェア・インベストメンツのクレジットアナリスト、サジョド・モラディ氏は電話取材に対し、買収が失敗に終わったとしても調達資金の「使い道はいくらでもある」と指摘していた。

関係者によると、ドイツ銀行が社債発行のグローバルコーディネーターを務めた。  

原題:Softbank Raises $3.3 Billion With Bond Issue in Dollars,Euros(抜粋)

記事に関する記者への問い合わせ先:ニューヨーク Sarika Gangar sgangar@bloomberg.net

記事についてのエディターへの問い合わせ先:Alan Goldstein agoldstein5@bloomberg.net
更新日時: 2013/04/19 07:21 JST


↓元記事 ブルームバーグ(日本語版)
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MLF7LT6K50YH01.html


 外貨建てになりますので、日本円換算は記事が書かれた当時のレートになります。あくまで参考程度に・・


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2013年4月9日 S&Pがソフトバンク社債をトリプルBに格下げ

ソフトバンク債、S&PがトリプルBに格付け

2013/4/9 23:28


 米スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は9日、ソフトバンクが発行する米ドル、ユーロ建ての社債を「トリプルB」に格付けしたと発表した。先行きについても格下げ方向の「クレジット・ウオッチ」とした。ムーディーズ・ジャパンは同日、投資適格級で最も低い「Baa3」に格付けし、格下げ方向で見直しの対象とした。


↓元記事 日本経済新聞
http://www.nikkei.com/article/DGXNZO53795000Z00C13A4DT0000/



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