ロンドンシリーズの記事終了後に、LIBOR問題の報道を纏めて掲載しようと狙っていたのですが、いきなりビッグニュースが飛び込んできました。

 他にも気になる情報を追いかけていますので、ロンドンシリーズは落ち着いてから継続します。


 まずは、不正操作問題の震源地イギリスから。






 さて、結果的に捜査はしたけど逮捕者は雑魚ばっかりだったとのオチになりそうですが・・・


LIBOR、英現行法で立件可能-重大不正捜査局が本格捜査へ

  7月31日(ブルームバーグ):国際金利の指標であるロンドン銀行間取引金利(LIBOR)など銀行間金利の不正操作をめぐって、英重大不正捜査局(SFO)は、英国の現在の刑法を適用できると判断し、本格的な刑事捜査に着手する。

SFOのデービッド・グリーン局長は30日公表した声明で、英国の法律が事件を起訴に持ち込むための根拠を与えるとの見解を示した。英当局も米国に続いて、デリバティブ(金融派生商品)トレーダーや金利の申告者がLIBOR操作で共謀した疑惑の刑事捜査を本格化させることになる。

英銀バークレイズが過去最大の2億9000万ポンド(約356億円)の制裁金支払いに応じたことを受けて、SFOは捜査に着手。オズボーン財務相や野党労働党のエド・ミリバンド党首ら政治家も刑事捜査を要求していた。

SFOは英金融サービス機構(FSA)から民事での調査状況に関する報告を定期的に受けているほか、米当局から証拠資料も提供されており、ゼロから捜査をスタートするわけではない。LIBORを行員が操作しようとした事実をバークレイズが認めたことを受けて、SFOはこの事案をめぐる捜査の追加予算が割り当てられると財務省から通達を受けた。

銀行間金利の操作をめぐっては、少なくとも10行余りの銀行が各国の監督当局の調査対象となっており、米国では司法省が複数の銀行のトレーダーを今秋訴追する準備を進めていることが関係者の証言で分かった。

原題:Libor Rigging Can Be Prosecuted Under U.K. Law, SFO Says(1)(抜粋)

更新日時: 2012/07/31 11:12 JST


↓元記事 ブルームバーグ
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M804WN6S972901.html







 バークレイズ以外にも、英RBSのCEOが半ば罪を容認したともとれる発言をしたことが世界的な話題になっている。
 
 おそらく水面下で、当局とのやり取りが進んでいるものと思われます。






英RBSにも罰金か=金利不正操作で―CEOが示唆- 時事通信(2012年7月30日07時17分)

 【ロンドン時事】英銀行大手ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)のへスター最高経営責任者(CEO)は、29日付の英紙ガーディアン(電子版)のインタビュー記事で、ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)不正操作問題に絡み、同行が当局から巨額の罰金を科される可能性があることを示唆した。

 同問題をめぐっては、同業のバークレイズが不正を認め、2億9000万ポンド(約360億円)の罰金を支払うことで同意済み。へスターCEOは、「RBSはLIBORに関わっていた銀行の一つだ。われわれも(バークレイズのように)特別な注目を集める時が来るだろう」と語り、同行も何らかの処分を受けるとの見通しを示した。 

[時事通信社]


↓元記事 InfoseekNews(時事通信)
http://news.infoseek.co.jp/article/120730jijiX232







 アメリカでも色々動きがあるようですが、スイスも調査に乗り出しています。






 あまり詳しくない方に、UBSとクレディ・スイスは、両行とも世界的に著名な大手銀行です。
 その両行とも、スイス捜査当局から調査を受けている記事になります。


UBSとクレディ・スイスが事情聴取、LIBOR不正操作問題めぐり

2012年 07月 31日 10:16 JST

$オオルリのブログ[チューリヒ 30日 ロイター] スイスの銀行監督当局である連邦金融市場監督機構(FINMA)は、ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)不正操作問題をめぐる調査で、金融大手UBS(UBSN.VX: 株価, 企業情報, レポート)とクレディ・スイス(CSGN.VX: 株価, 企業情報, レポート)に事情聴取していると明らかにした。

FINMAの報道官は30日、ロイターに対し、「われわれは、何が行われていたのかを判断することができる情報を積極的に追求している」と述べた。

2行は正式な調査対象にはなっていないが、スイスの銀行はFINMAへの協力を法的に義務付けられている。

クレディ・スイスは今月16日、当局の調査による「重要な」影響はないとの見通しを示した。

不正操作問題における役割をめぐりスイス公正取引当局WEKOの調査を受けているUBSは第1・四半期リポートの中で、複数の司法当局から条件付きの猶予もしくは刑事免責を受けたと明らかにした。

UBSは31日0445GMT(日本時間同日午後1時45分)に第2・四半期決算を発表する。

両行がスイスの規制に違反したとFINMAが結論付ければ、FINMAは両行に対し、組織機構や経営者の変更を求めることができる。

報道官はまた、スイスの各当局が各国の調査・捜査当局と密に連絡を取っていると明らかにした。報道官は「既に行政上の支援を受けている」と述べた。


↓元記事 ロイター通信(日本語版)
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPTYE86U00T20120731



 UBSは別件の不正取引問題で、CEOが辞任したばかりです。
 過去記事では、こちらになります。
 
 【関連記事】: 【参考資料】 UBSの不正取引逮捕 ~ 最高経営責任者(CEO)が辞任

 こうなるとUBSは、この先どうなるのか?
 LIBOR問題を抜きにしても、気になります。






 私自身も情報が一気に出てきたので、少々錯綜気味です。
 情報を整理する為にもまとめておきます。






 <まとめ>


 簡単にまとめますと・・・
 
 LIBOR問題とは、ロンドンの銀行間取引金利を集団で不正操作したスキャンダルです。
 ロンドンは金融の聖地として、現在も君臨しており、このLIBORと呼ばれる金利は、世界中の様々な金融商品などの参考値にされます。

 スキャンダルの渦中に放り込まれたのは、イギリスでも最大手と言われる(資産規模や経常利益額などでは常に英国トップ2以内)バークレイズ銀行でした。
 バークレイズが捜査に対して和解金を支払ったため、捜査対象がバークレイズ以外にも向かっています。


 それでイギリス当局は、現行法でも捜査可能かチェックをしたところ、GOサインが出たのでイギリス当局側が本格的な捜査に乗り出すことが報道されています。
 
 これが一つ目の記事でした。
 
 
 それと同時に英国(スコットランド)のRBSにも、そろそろ罰金が科せられそうだ とRBSのCEOが発言したことも報道されています。
 
 これが二つ目の記事です。


 米国の動きは、また機会があれば纏めてみます。
 米国の方は、どうも大統領選挙を絡めた政治パフォーマンス的な感じがしてきましたので、このブログで紹介するか、少し怪しい雰囲気です。
 
 
 とにかく、ヨーロッパの銀行と言えば、我々庶民感覚で言うと スイス銀行? となります。
 (余談ですが、実際には”スイス銀行”は存在しません。スイスにある銀行群を総称して”スイス銀行” と呼んでいるだけです。スイス国立銀行が存在しますが、スイス連邦の中央銀行<日本で言う日銀・日本銀行>になりますので、スイス銀行とは意味が異なります。)
 
 しかし、現在でもスイスがヨーロッパにおける銀行の中心的な役割を果たしていることに変わりはありません。
 そこで、スイス捜査当局がUBSとクレディスイス(どちらもスイスの大手銀行)に対して、関係各国と連携しながら調査を進めていることも報道されました。
 
 これが、最後の三つ目の記事になります。






 ズバリ斬りますと、イギリスとスイスはどうやら金融不安への事態収拾に向けて、ある程度捜査し、ある程度の課徴金なり罰金をとるつもりでしょう。
 
 少しでも逮捕者が出てくれば、捜査当局の本気度が覗えると思います。
 逮捕者が出てきても、金利を取り扱うトレーダーと呼ばれる人達で止まるはずです。

 恐らく、大物が逮捕されるようなシナリオは用意されて無いでしょう。
 バークレイズCEOも辞任しましたが、逮捕までは至っていません。

 
 終わってみれば、全てがやった者勝ちだった とのオチになる雰囲気です。
 法的な話はあるとは思いますが、人類史上最大額の集団詐欺になります。


 このままでは、将来、こんなブラックジョークが流行るかも・・・

 2012年にロンドンでは二つのお祭りがあった。
 一つはオリンピックで、もう一つはLIBOR騒動だ。
 奇妙なことに共通点も二つある。
 一つは騒いだこと。
 もう一つは銀行が得をしたこと。


 どうやら現代は、後世に二度と顔向け出来ないほどの悪しき前例を残しそうです。