米国の肉牛からBSE(狂牛病)が発覚したことは、皆さんがご存じのように報道された。
諸外国を巡る動きと併せて、情報を追いかけてみる。
そうすると、日本のTPPでの議題の一つになっている牛肉問題が浮き彫りになる。
アメリカでの説明 と 韓国の対応
アメリカ農務省は、「肉牛ではなく、乳牛だ」と主張している。
しかし、安全だと主張する割には、発見された牧場や牛に関する詳細な情報は開示されていない。
インターネットの噂では、以前から米韓FTAの条項の一つに「BSEが発覚しても韓国側に肉牛停止処置が出来ない」と囁かれている。
早くも、その噂話が本当なのか?確認出来る機会を得た。
今のところだが、韓国政府の腰は重いようだ。
<韓国>
韓国では2008年5月8日に、米国産肉牛でBSEが発覚した場合に以下の約束をしている。
<1>即刻輸入を中断する。
<2>すでに輸入された牛肉を全数調査する。
<3>検疫団を派遣し、現地調査に参加する。
<4>学校および軍隊の給食を中止する。
現在の所(2012年04月26日11時56分)、ほぼ実行されていないと中央日報では報じている。
↓中央日報 「BSE発生なら即時輸入中断」 韓国政府の約束はどこへ…(1)
http://japanese.joins.com/article/126/151126.html?servcode=A00§code=A20
政府が約束を守らないならば・・・と、業者が自主的に回収し騒動に発展しそうな気配を見せている。
中央日報は明言を避けているが、米韓FTAによる条項が関係している可能性は大いに考え得る。
ともかく、共同通信はこう報じている。
総合すると、韓国政府の対応はあいまいだが、業者が実質的に自主回収して、実質的に流通していない状況のようだ。
米韓FTAに関する話は、どのメディアも言及していない。
ともかく、韓国も大統領選挙(今年12月)に向けて大忙しの時期になっている。この問題は、頭が痛いはず。
現時点で、インターネットの噂は否定出来ない。
騒ぐほどの問題なのか?・・・と、静観を決め込んでいたのだが。
その内に、インドネシアが輸入停止処置を始めた。
<インドネシア>
インドネシアは、反米色が強い国柄でもある。
一方で、オーストラリアは強か(したたか)。
<オーストラリア>
農産物(食料品)が外交上の武器になるのが、良く分かる。
あれ?何だか・・・。
日本の対応は・・・、と言うと。
<日本>
外交なので、どこかで妥協しないといけないのは分かる。
しかし、食品は国民の安全も考慮しないといけない。
外交的に公表しなくて良いから、少なくとも検疫の強化をしないのか?
先の記事で触れたように、牛肉輸入の規制緩和に向けて、日本政府内での動きがある。
勿論、TPPに参加すると、規制緩和どころでは無くなる可能性も秘めている。
牛肉問題一つとっても、我々一般人には大きな問題になる。
日本農業新聞では、TPPを絡めてBSE感染牛発覚を、こう報じている。
今回のBSE騒動は、今までのケースと違って高度な貿易問題へと議論が発展している。
食品安全委員会の規制緩和に関する動きも変だ。民意や国会内の議論を無視した動きに等しい。
藤村官房長官は今回のBSEに関しては「科学的知見に基づいて、個別に対応している案件という理解が必要だ」と会見で述べた。
しかし、今回のBSE感染牛は月齢で30ヶ月以上になり、米国が要求している月齢枠撤廃に関して適合する問題となる。
TPP議論と関係ないと言われても、TPP交渉参加後に月齢による米国牛の輸入拒否が出来なくなる可能性もある。米国側は、何が何でも月齢枠の撤廃に邁進することだろう。
それにしても、国民の安全性に関して恐ろしく無頓着なのは相変わらずの政権だ。
何も開かれた情報も無く、参加に頷けと言われても納得できない人が多いのは当然になる。
最後に、科学的知見と言われても、BSE自体の発生メカニズムは科学的に完全に解明されていない。
良い解釈だと、「現在のところ有力視されている知見に基づいて、個別に対応している案件」となる。
各国の足並みが揃うはずも無い。本来は、現在の対応で、誰にも安全だとも言えない話になる。
<おまけ>
2008年5月24日に起きた BSE牛肉輸入反対闘争
↓YouTUBE 『 韓国:5.24BSE牛肉輸入反対闘争 』
http://youtu.be/3blsIAFs_bk
諸外国を巡る動きと併せて、情報を追いかけてみる。
そうすると、日本のTPPでの議題の一つになっている牛肉問題が浮き彫りになる。
アメリカでの説明 と 韓国の対応
BSE感染牛に不安広がる、米政府は安全性強調 韓国では販売中止も 2012.04.26 Thu posted at: 11:08 JST (CNN) 米国で6年ぶりにBSE(牛海綿状脳症)感染牛が見つかった問題で、米当局はこの牛は人間の食用ではなく、牛肉の安全性に影響はないと強調している。しかし不安は各国に広がり、韓国では米国産牛肉の販売を中止する業者も現れた。 BSE感染はカリフォルニア州中部の乳牛で確認された。米当局によると、感染牛は人間用の食肉の処理工程には入っておらず、感染源は汚染された動物性飼料ではないとみられる。農務省の専門家は「食品の流通や人間の健康が危険にさらされることは一切なかった」と強調している。 BSEは大抵の場合、肉骨粉などの動物性飼料を通じて牛に感染する。しかし農務省によれば、今回確認されたのは特異な形態のBSEで、飼料汚染が原因ではないようだという。 米消費者団体、公益科学センター(CSPI)も、消費者が予防策を講じる必要はないと指摘。「1頭の牛がBSEに感染したというだけでは消費者に重大な懸念を生じさせる理由にはならない。牛肉や乳製品が安全ではないと考える根拠はない」と話している。 感染牛の死骸は、動物副産物加工業者ベーカー・コモディティーズのカリフォルニア州の処理施設にあったという。同社が4月18日に抜き取り検査を行い、サンプルをアイオワ州にある農務省の研究所に送って調べた結果、BESの陽性反応が出た。 死骸は25日現在、隔離された状態にあり、廃棄方法について農務省の指示を待っている段階だという。 同社はカリフォルニア州中部セントラルバレー地区の酪農場から牛の死骸を引き取って処理しているが、農務省はまだ調査中であることを理由に、問題の牛が飼育されていた酪農場の公表を控えている。カリフォルニア州農務局は、農務省と連携して、ほかの牛にも危険がないかどうか調査すると発表した。 一方、米国産牛肉の最大級の輸入国である韓国では、小売り大手のロッテマートが米国産牛肉を売り場から撤去した。同社は「お客様の不安を和らげるため、一時的に米国産牛肉の販売を中止している」と説明する。 韓国政府は米国からの輸入牛肉に対する検査態勢を強化すると表明したが、現時点で輸入停止には至っていない。 ↓元記事 CNN(日本語版) http://www.cnn.co.jp/world/30006386.html |
アメリカ農務省は、「肉牛ではなく、乳牛だ」と主張している。
しかし、安全だと主張する割には、発見された牧場や牛に関する詳細な情報は開示されていない。
インターネットの噂では、以前から米韓FTAの条項の一つに「BSEが発覚しても韓国側に肉牛停止処置が出来ない」と囁かれている。
早くも、その噂話が本当なのか?確認出来る機会を得た。
今のところだが、韓国政府の腰は重いようだ。
<韓国>
韓国では2008年5月8日に、米国産肉牛でBSEが発覚した場合に以下の約束をしている。
<1>即刻輸入を中断する。
<2>すでに輸入された牛肉を全数調査する。
<3>検疫団を派遣し、現地調査に参加する。
<4>学校および軍隊の給食を中止する。
現在の所(2012年04月26日11時56分)、ほぼ実行されていないと中央日報では報じている。
↓中央日報 「BSE発生なら即時輸入中断」 韓国政府の約束はどこへ…(1)
http://japanese.joins.com/article/126/151126.html?servcode=A00§code=A20
政府が約束を守らないならば・・・と、業者が自主的に回収し騒動に発展しそうな気配を見せている。
中央日報は明言を避けているが、米韓FTAによる条項が関係している可能性は大いに考え得る。
ともかく、共同通信はこう報じている。
米国産牛肉の検疫強化検討 韓国 BSE感染確認で 2012.4.25 12:51 [韓国] 韓国農林水産食品省は25日、米カリフォルニア州で牛海綿状脳症(BSE)に感染した乳牛が確認されたのを受け、米国の状況を監視しながら、早期に「必要な措置を取る」と発表した。検疫強化などの緊急対策を検討しているとみられる。 韓国は、国内の反対が強い生後30カ月以上の牛肉について事実上の輸入禁止措置を取っている。(共同) ↓元記事 MSN産経ニュース http://sankei.jp.msn.com/world/news/120425/amr12042512520006-n1.htm |
総合すると、韓国政府の対応はあいまいだが、業者が実質的に自主回収して、実質的に流通していない状況のようだ。
米韓FTAに関する話は、どのメディアも言及していない。
ともかく、韓国も大統領選挙(今年12月)に向けて大忙しの時期になっている。この問題は、頭が痛いはず。
現時点で、インターネットの噂は否定出来ない。
騒ぐほどの問題なのか?・・・と、静観を決め込んでいたのだが。
その内に、インドネシアが輸入停止処置を始めた。
<インドネシア>
米国産牛肉の輸入停止=骨付き肉など一部-インドネシア 【ジャカルタ時事】インドネシア農業省高官は26日、米国でBSE(牛海綿状脳症)感染牛が確認されたことを受け、米国産牛肉の一部部位の輸入を同日から停止することを明らかにした。 同高官によると、骨付き肉や内臓などは停止するが、骨なし肉の輸入は継続する。停止措置は米国産牛肉の安全が確認されるまで続く。(2012/04/26-17:30) ↓元記事 時事通信 http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&rel=j7&k=2012042600831 |
インドネシアは、反米色が強い国柄でもある。
一方で、オーストラリアは強か(したたか)。
<オーストラリア>
豪州産牛肉輸出拡大も=米国のBSE確認で-生産者団体 【シドニー時事】米国で約6年ぶりにBSE(牛海綿状脳症)感染牛が確認されたことを受け、オーストラリアの牛肉生産者らは米国の苦境に同情を寄せつつも、豪州からのアジア向け輸出が増加するとみている。豪ABC放送(電子版)が26日伝えた。(2012/04/26-17:43) ↓元記事 時事通信 http://jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2012042600855 |
農産物(食料品)が外交上の武器になるのが、良く分かる。
あれ?何だか・・・。
日本の対応は・・・、と言うと。
<日本>
BSE牛、輸入制限不要=「TPPとは別」-官房長官 藤村修官房長官は25日午前の記者会見で、米国で乳牛1頭のBSE(牛海綿状脳症)感染が確認されたことについて「米国産牛肉の輸入条件は現行の(月齢)20カ月以下で、本件は30カ月以上の高齢牛だから、輸入段階で特段の措置は必要ない」と述べ、現時点では輸入制限は不要との見解を示した。 また、米国産牛肉の輸入条件を現行の月齢20カ月以下から30カ月以下への緩和の是非を検討している内閣府食品安全委員会の議論に関しても「何ら影響はない」と述べた。 牛肉問題は、環太平洋連携協定(TPP)交渉参加に向けた米国との事前協議の焦点の一つ。藤村長官は「TPPをめぐる議論とは全く別に、科学的知見に基づいて、個別に対応している案件という理解が必要だ」と強調した。(2012/04/25-13:07) ↓元記事 時事通信 http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2012042500474 |
外交なので、どこかで妥協しないといけないのは分かる。
しかし、食品は国民の安全も考慮しないといけない。
外交的に公表しなくて良いから、少なくとも検疫の強化をしないのか?
先の記事で触れたように、牛肉輸入の規制緩和に向けて、日本政府内での動きがある。
勿論、TPPに参加すると、規制緩和どころでは無くなる可能性も秘めている。
牛肉問題一つとっても、我々一般人には大きな問題になる。
日本農業新聞では、TPPを絡めてBSE感染牛発覚を、こう報じている。
米国でBSE4例目 新たな規制行わず 日本政府 (04月26日) 米国で24日、牛海綿状脳症(BSE)の感染牛が約6年ぶりに見つかった。日本政府は、輸入を認めていない月齢の牛だとして輸入停止など新たな規制は行わない方針だ。ただ消費者の不安が高まるのは必至で、米国産牛肉の輸入規制などの見直しについて議論している内閣府の食品安全委員会には、より慎重な検討が求められる。TPP交渉への日本の参加条件に米国は事実上輸入規制の緩和を挙げており、日本の交渉参加問題にも影響を与える可能性がある。 今回見つかったBSE感染牛は30カ月齢以上の雌。米国政府は、正確な年齢は調査中だという。食用としてと畜場に出荷された牛ではなく、肉骨粉や牛脂を取るためにレンダリング施設に送られた牛。感染状況を把握するために米国が行っている検査で発見された。 日本政府は、輸入を認める米国産牛肉を「20カ月齢以下」に限る月齢制限などを実施。昨年12月には、輸入を認めるのを「30カ月齢以下」に引き上げるといった輸入規制の緩和を食品安全委員会に諮問している。米国は月齢制限の撤廃を求めている。 ・米国での発生6年ぶり 米国でこれまで牛のBSE感染が確認されたのは3件。第1号は2003年12月、ワシントン州で確認されたカナダ産1頭(80カ月齢、ホルスタイン種雌)だった。05年6月にテキサス州で初の米国産牛1頭(推定12歳、ブラーマン種雌)から、06年3月にはアラバマ州で米国産牛1頭(推定10歳以上、肉用牛交雑種雌)の死骸から感染が確認された。 今回カリフォルニア州で確認された4件目の牛について現地報道は、米国農務省のジョン・クリフォード主任獣医師が「世界のBSE感染ピークは1992年の3万7311件。それ以降、劇的に減少し、11年の発生は世界で29件だけだった」と声明を出したことを伝えている。 米国は97年以降、哺乳動物のたんぱく質を牛など反すう動物の飼料に使うことを禁止。しかし、反すう動物以外の飼料に使う動物性たんぱく質が牛の飼料に混入(交叉=こうさ=汚染)して牛が感染する可能性があるため、04年、ペットフードも含む全ての動物用飼料の原料に特定部位を使わない制度を設けた。反すう動物の飼料には、全ての哺乳動物・家きん鳥類のたんぱく質を使わないことも決めた。 日本の畜産関係者などからは「米国の防止対策は不十分」の声があるが、米国内では対策に自信を深めていた。米国の肉牛業界団体である全国肉牛生産者・牛肉協会(NCBA)は今年2月、日本がTPPに参加する場合は米国産牛肉の月齢制限撤廃を条件とするよう米政府に要求した。 〈解 説〉 飼料規制 各国で違い 安全観の差無視許されず 先進国のBSEリスクは大幅に低下している。ピークだった20年前には英国を中心に3万7000頭の発生が報告されたが、昨年は29頭まで激減した。ピーク時を100とすると、0.1以下まで減った計算だ。先進国が足並みをそろえ、BSEの原因となる肉骨粉の牛に対する飼料利用を規制し、発生状況を監視する仕組みを導入したことが効果を上げた。 国際獣疫事務局(OIE)によると、オーストラリアなどBSEを無視できるほどリスクが低い国、日本や米国、フランスなどのリスクをきちんと管理していると認定された国は47カ国に上る。主要先進国で BSEを封じ込める対策が機能していることは間違いない。 しかし、国によって飼料規制の中身には差がある。日本や欧州連合(EU)が行っているような食肉処理の段階で検査をしていない国もあるなど、細かい点で対策は異なる。背景には、「BSEリスクをどこまで受け入れるのか」という消費者の判断が国によって違いがあるからだ。リスク全体が小さくなっているからと言って、消費者の安全観の違いを無視するようなことは許されないだろう。 ↓日本農業新聞 http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=13919 |
今回のBSE騒動は、今までのケースと違って高度な貿易問題へと議論が発展している。
食品安全委員会の規制緩和に関する動きも変だ。民意や国会内の議論を無視した動きに等しい。
藤村官房長官は今回のBSEに関しては「科学的知見に基づいて、個別に対応している案件という理解が必要だ」と会見で述べた。
しかし、今回のBSE感染牛は月齢で30ヶ月以上になり、米国が要求している月齢枠撤廃に関して適合する問題となる。
TPP議論と関係ないと言われても、TPP交渉参加後に月齢による米国牛の輸入拒否が出来なくなる可能性もある。米国側は、何が何でも月齢枠の撤廃に邁進することだろう。
それにしても、国民の安全性に関して恐ろしく無頓着なのは相変わらずの政権だ。
何も開かれた情報も無く、参加に頷けと言われても納得できない人が多いのは当然になる。
最後に、科学的知見と言われても、BSE自体の発生メカニズムは科学的に完全に解明されていない。
良い解釈だと、「現在のところ有力視されている知見に基づいて、個別に対応している案件」となる。
各国の足並みが揃うはずも無い。本来は、現在の対応で、誰にも安全だとも言えない話になる。
<おまけ>
2008年5月24日に起きた BSE牛肉輸入反対闘争
↓YouTUBE 『 韓国:5.24BSE牛肉輸入反対闘争 』
http://youtu.be/3blsIAFs_bk