一応、前回からの続き・・・
 
 【関連記事】: TPP問題 その3 TPP参加=医療サービスの低下? vol.2 日本医療団体による反対運動

 何だか野田さんが急ピッチにTPPの結論(恐らく賛成の方向)を急ぎ出したので、もっと勿体ぶろうかと思ったのですが、さっさと書かないとまずそうな状況(民主党執行部がTPP参加を強行する)になりそうです。
 既にネットでは、それなりに書きこまれていますので、軽くおさらいをします。

 あくまで時系列に並べますが、民主党が如何に売国政党であるかも、よりハッキリします。





<1. 2010年一般教書演説でNEIを打ち出した>

何から説明すれば、良いのでしょうか? 最近アクセス数が急増して読者層が見えなくなっています。
とりあえず、一般教書演説。

↓Wikipedia 一般教書演説
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%80%E8%88%AC%E6%95%99%E6%9B%B8%E6%BC%94%E8%AA%AC

簡単に云うと、年明けに大統領がこれからの合衆国の方針を発表する場です。
必然的に、世界中が注目する演説の一つになります。

2010年初めの一般教書演説の中で、NEI(国家輸出戦略)を打ち出しました。






<1.1 NEI(国家輸出戦略)とは・・・?>

NEI(the National Export Initiative 国家輸出戦略)と呼んでいます。
私も全体を把握している訳ではありませんが、目玉になる話はこれになります。

 ・ 今後5年間で輸出を倍増させる。
 ・ アメリカ国内で、新たに200万人の雇用を確保する。

原文を示します。

2010: Obama’s State of the Union Address

Third, we need to export more of our goods. Because the more products we make and sell to other countries, the more jobs we support right here in America. So tonight, we set a new goal: We will double our exports over the next five years, an increase that will support two million jobs in America. To help meet this goal, we're launching a National Export Initiative that will help farmers and small businesses increase their exports, and reform export controls consistent with national security.


↓元記事 NYtimes (2010) Obama’s State of the Union Address
http://www.nytimes.com/2010/01/28/us/politics/28obama.text.html?pagewanted=all


とにもかくにも2010年当初から、アメリカが計画していた訳です。
オバマさんの本音は、こうでしょうか?

輸出倍増を行うので、国内生産が増える為にアメリカ内で雇用が増えるから200万人増を目指す。
 輸出を無理矢理増やしたい → (結果として、輸出相手国の産業を潰しても構わない) → (輸出相手国の失業者が増えても、知った事じゃない) → とにかく国内の雇用を確保する → 最後に何か偉業を残したい? 







<1.2 2010年9月にNEI(国家輸出戦略)の報告書を提出>

米政府、輸出倍増計画の戦略を発表

2010年 09月 17日 10:56 JST

[ワシントン 16日 ロイター] オバマ米政権は16日、「国家輸出戦略」に関する報告書を公表した。 報告書は、5年間で輸出を倍増させるための戦略を勧告しているが、コロンビア、パナマとの自由貿易協定(FTA)については、具体的なスケジュールが示されなかった。

 報告書は、政権顧問や関係省庁でつくる「輸出促進内閣」が作成。中間選挙を前に、景気拡大と雇用創出に全力を挙げる姿勢を示した。

 報告書の公表に先立ち会見したロック商務長官は、米国の輸出が前年比で約18%増えていると指摘。「米国企業の輸出が増えれば、生産も増え、結果的に雇用も増える」と訴えた。

 政府は、市場開放やFTAの活用などを通じて輸出を増やす方針を示しているが、今回の報告書には、コロンビア、パナマとのFTA発効に向けた具体的なスケジュールが盛り込まれておらず、共和党から批判の声が出ている。

 韓国とのFTAについては、オバマ大統領が残る問題点を解消し、来年初めまでに議会に批准を要請する方針を示している。

 報告書は、5年間で輸出を倍増させるには、輸出額を2009年の1兆5700億ドルから、2015年までに3兆1400億ドルに増やす必要があるとしている。

 報告書の勧告は以下の通り。

 *中小企業に対し、海外に商機があることや、政府の支援を受けられることを訴えるキャンペーンを展開。

 *コロンビア、インドネシア、サウジアラビア、南アフリカ共和国、トルコ、ベトナム市場の開拓で「政府をあげた輸出促進戦略」を進める。

 *貿易使節団の派遣拡大

 *米国の貿易フェアへの海外参加者を増やす。米国企業に海外貿易フェアへの参加を促す。


↓元記事 ロイター通信(日本語版)
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-17276020100917?pageNumber=2&virtualBrandChannel=0


とにかく、2010年9月中(欧米の決算時期)でやっと報告書を提出した訳です。
日本の事には触れられていないようですが、先頃締結された米韓FTAはどうやら必須項目であったようです。
(一応、まだ韓国議会の承認が終わっていないようですが。議会工作が進んで、やがて本格始動するでしょう・・・。)






<1.3 2010年10月突如、菅総理がTPP参加をほのめかす>

2010年10月1日 菅直人前首相が、突然TPP参加を打ち出す。

2010年10月1日 所信表明演説

<六、国を開き未来を拓く主体的な外交の展開 から抜粋>

(東アジア地域の安定と繁栄に向けて)

 この秋は、我が国において、重要な国際会議が開催されます。生物多様性条約に関するCOP10では、議長国としての重要な役割を果たします。また、私が議長を務めるAPEC首脳会議では、米国、韓国、中国、ASEAN、豪州、ロシア等のアジア太平洋諸国と成長と繁栄を共有する環境を整備します。架け橋として、EPA・FTAが重要です。その一環として、環太平洋パートナーシップ協定交渉等への参加を検討し、アジア太平洋自由貿易圏の構築を目指します。東アジア共同体構想の実現を見据え、国を開き、具体的な交渉を一歩でも進めたいと思います。
 北朝鮮については、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的解決を図り、日朝平壌宣言に基づき、不幸な過去を清算し、国交正常化を追求します。拉致問題については、国の責任において、すべての拉致被害者の一刻も早い帰国に向けて全力を尽くします。なお、北朝鮮の政治情勢については、引き続き注視していきます。


↓元記事 News Spiral
http://www.the-journal.jp/contents/newsspiral/2010/10/post_665.html


 6月の所信表明演説では全く触れなかったのですが、TPPに10月ではいきなり触れています。
それで、9月中にアメリカからNEI(国家輸出戦略)の報告が上がってきて、非常に厳しい現状もレポートされました。
 そして、横浜で開かれるAPECが11月で、その直前の所信表明演説でTPP参加意向を示した訳ですね。

 偶然ですかね・・・? 国際政治に偶然は、有り得ないと聞いてますが・・・。





<まとめ>

 2010年1月27日 オバマ大統領が一般教書演説で、NEI(国家輸出戦略)を政策の目玉とする。

  ・ 今後5年間で輸出額を倍増する。
  ・ アメリカ国内で200万人の雇用を生み出す。

 2010年9月16日 米国政府から、NEIの中間報告が提出される。輸出:前年度比+18%。

 2010年10月1日 菅総理が所信表明演説で、いきなりTPP参加を検討すると発表。

 2010年11月のAPEC横浜へと・・・。

 こうやって、纏めるとバレバレですよ。
 今は国民生活は大丈夫だからと言い張って、国民が気付いた頃には与党から落ちて、皆で延命寺に命乞いしに行くから良いのでしょう。
 未だに失業者の事をニートだと言い換えて、失業者大量発生の原因を作ったのが小泉自公政権だって気づかない人間が大勢いるから、そりゃ政治家・官僚・経済界もやりたい放題ですわな・・・・。





【参考サイト】

↓みずほ総合研究所 「みずほ米州インサイト」
http://www.mizuho-ri.co.jp/research/economics/pdf/us-insight/USI049.pdf

↓みずほ総合研究所 「米国の輸出倍増計画は実現可能か」
http://www.mizuho-ri.co.jp/research/economics/pdf/research/r100501us.pdf



その5へ・・・