リチャード・ギア
ルイス・ゴセット・ジュニア
監督 テイラー・ハックフォード
海軍航空士官学校の飛行士課程に志願したザック・メイヨ―(リチャード・ギア)彼は、酒と女に溺れた自堕落な毎日を送る父親に士官学校に行きパイロットになると告げるが、海軍崩れの父親は失笑しただけだった。母親はそんな父親との生活を苦に自殺したのだった。そんな生い立ちを持つザックは、優秀ではあるがどこか人とうまく付き合えない青年だった。
士官学校では13週間にわたる訓練を受けることになる。この士官学校での教官は、黒人海兵隊軍曹フォーリー(ルイス・ゴセット・Jr)である。フォーリーは、鬼教官として知られていた。頭も良く要領も良いが、人を信じないというザックを教官は注意深く見ていた。ある日、ザックが新品のブーツやベルトのバックルなどを訓練生に高値で売りつけては金を稼いでいることに気付いたフォーリー。彼はザックに連日激しいしごきを与え続けながらDOR(任意除隊)を迫った。ついにザックはフォーリーに「自分にはいくところがない。行くところがないんだ」と心の思いを吐き出すのだった。
この映画の有名なラストシーンは、卒業式が終わって、主人公がそれまで距離を置いていた恋人に再会し、抱き上げるシーンです。
しかし私が好きなのは、その前の卒業式のシーンです。
それまでさんざん士官候補生をしごいた元鬼軍曹フォーリーにとって、卒業式で少尉に任官した彼らは、その瞬間から上官になります。
卒業式が終わり、フォーリーは、かつてしごいた元士官候補生(=現在は少尉)1人1人に最敬礼し、そのフォーリーに対して、ザックは「君のことは忘れない」と言います。男同士の根底にある信頼感が素晴らしと感じました。
生き馬の目を抜くような世界で育ったメイヨとしては、「お前は上流の生まれで、人間の汚さを知らないから、誰にでも親切にできるのだ」と考えている。直接的な台詞ではなく、キャラクターの行動と設定だけで、こうした背後関係を浮かび上がらせる脚本は、非常に巧みだと言えると思う。
『愛と青春の旅だち』の最も大きな見どころは、メイヨが、そうした自身の中に巣食う人間不信を克服し、ある場所で危機に陥るシーガーを、無償で助けるシーンに集約されている。「恋愛映画なんて、どうせ美男美女がワーワーやってるだけなんだろ」と思っている人に見て欲しい一本です








