毎日当たり前のようにとっている食事は、体に栄養を与えるという非常に大きな役割を果たしています。ただし、そのためにはバランスが非常に重要です。好きなものだけを食べ続けたり、一度に大量に食べたりすると栄養が偏って体を壊すことにもなりかねません。そこで、この記事では、栄養バランスが良い食事とは具体的にどのようなものかについて解説をしていきます。

 

目次

1. 栄養バランスの取れた食事とは

必要な栄養というのは人によって異なるもので、他の人と同じ食事をとれば良いというわけではありません。ここでは、自分にとってバランスの取れた食事とはどのようなもののことを指すのかについて解説をしていきます。

1-1. なぜ栄養バランスが取れた食事が必要なのか

食べ物からは栄養を摂取すること、それは人が生きていくうえで極めて重要な役割を果たします。たとえば、体をつくる元となったり、体を動かすエネルギーの原料となったり、あるいは、体の調子を整えたりといった具合です。つまり、これらの役割を果たす食べ物をバランス良くとることが、いわゆるバランスのとれた食事だというわけです。そして、バランスのとれた食事は健康の保持・増進や生活習慣病の発症予防・重症化予防などに役立つとされています。

よく「××が体に良い、××を食べるのが長寿の秘訣」などといった話を耳にすると、そればかり集中的に食べる人がいますが、それは決して体に良い食べ方とはいえません。なぜなら、体に必要なビタミンは桶理論と言われ、どれかが少ないと少ないビタミンに合わせて働くという性質を持っているからです。つまり特定の栄養だけを多くとっても、他の栄養が少ないと正しく機能しません。栄養は過剰に摂取すれば良いというわけではなく、あくまでもバランスが重要であるという事実を忘れないようにしましょう。

1-2. 自分にとって最適な栄養バランスを知る方法

一日に必要となるエネルギーの量は人によって大きく異なります。当然、とるべき食事の内容も違ってきます。周囲と合わせて同じ量を食べていると、過剰摂取だったなどといったことにもなりかねないので注意が必要です。

それでは、自分にとって最適なバランスの良い食事内容をどうやって割り出せば良いのかというと、その場合は農林水産省が公表している「食事バランスガイド」が役に立ちます。これに、自分の性別や年齢、身長や身体活動などを当てはめれば、一日にどのぐらいのカロリーを摂取すれば良いのかという目安が調べられるのです。

ちなみに、身体活動レベルとは1日どの程度体を動かしたかを示したもので、「低い」「普通」「高い」の3つのレベルに分かれています。一日のほとんどを座っている人の場合は身体活動レベルが「低い」、座り仕事が中心だが軽い運動や散歩などをしている人は「普通」、立ち仕事が多いか活発な運動習慣を持っている人なら「高い」といった具合です。そこで、たとえば、18〜69歳までの男性で身長も身体活動レベルも普通以上の人を想定すると、1日で摂取する適切なカロリーは2400〜3000kcalという数字がでてきます。まずはこの数字に基づいて1日の献立を考えるのが賢明だといえるでしょう。

2. 食べ物に含まれる栄養素の分類

農林水産省では食物の栄養素を分類し、万遍なく摂取することでバランスの良い食生活を送るように促しています。健康的な生活を目指している人の参考になるように、それらの分類の具体的な内容について解説をしていきます。

 

2-1. 5大栄養素

5大栄養素とは、食品そのものに含まれる栄養素を体への働きごとにグループ分けしたものであり、炭水化物・脂質・タンパク質・無機質(ミネラル)・ビタミンからなります。それらは健康な体を作るうえで、どれも欠かすことのできない成分です。たとえば、炭水化物は糖質と食物繊維に分けられ、このうち、糖質は1gにつき約4kcalのエネルギーを発生させることで体を動かすためのエネルギー源となります。一方、食物繊維はエネルギーこそ発しないものの、コレステロールの吸収を抑制したり、腸内環境を整えたりといった具合に、健康にとって重要な役割を果たしているのです。

また、脂質には中性脂肪、リン脂質、コレステロールなどが含まれ、炭水化物と同様に、体を動かすエネルギーになります。その発生量は1gにつき約9kcalと非常に大きなものです。さらに、筋肉や内臓などの体組織を形成する重要な材料となっているのがタンパク質です。ちなみに、タンパク質は20種類ほどのアミノ酸から構成されており、もし糖質や脂質が不足するとそれらに変わってエネルギーとして使用される役割も担っています。エネルギー発生量は1gにつき4kcalほどです。次に無機質ですが、これはエネルギーにはならない代わりに、骨や歯など体を形成するという極めて重要な役割があります。

最後のビタミンもエネルギーにはならないものの、成長や健康維持に欠かせないものです。脂溶性と水溶性とに分かれており、前者は体に蓄積されたのちに徐々に消費されていきますが、後者は大量摂取しても尿と一緒に排出されるという違いがあります。

2-2. 3色食品群

3色食品群とは、含まれている栄養素の種類とその働きの違いによって、食品を3つのグループに分けたものです。グループごとに赤・黄・緑と色分けされており、赤は体を作る栄養素、黄はエネルギーのもととなるもの、緑は体調を整える効果のあるものをそれぞれ示しています。まず、赤にグループ分けされるものは主にタンパク質を含んだ食品で、代表的なものとしては、肉・魚・卵・牛乳などがあります。次の黄は、糖質と脂質を主成分とした米・パン・麺・油などです。最後の、緑のグループに含まれるものとしては、無機質やビタミンが豊富な野菜・果物・きのこ類などが挙げられます。

2-3. 6つの基礎食品群

6つの基礎食品群は3色食品群と密接なつながりがあり、栄養素の働きをより細分化したものだといえます。たとえば、赤に含まれている食品は1群と2群に分かれます。1群は魚・肉・卵・大豆・大豆製品などで、骨や筋肉を作ったりエネルギー源となったりするのが主な役割です。一方、2群は牛乳・乳製品・海藻・小魚などで、骨や歯を作る他に、体の各機能を調節することができます。また、緑は3群と4群に分かれ、前者には緑黄色野菜、後者には淡色野菜や果物などが含まれています。4群の主な役割は体の各機能の調節です。そして、3群の場合はそこに皮膚や粘膜の保護という役割がプラスされます。

最後の黄色は5群と6群に分かれます。5群に含まれるのは穀類・いも類・砂糖類などで、エネルギー源となったり、体の各機能を調節したりするのが主な役割です。それに対して、6群はサラダ油・マーガリン・マヨネーズ・ドレッシングといった油脂や脂肪の多い食品で、5群と同じようにエネルギー源としての役割を果たす他に、必須脂肪酸の供給源ともなります。これらすべての食品群から、1日30品目以上を目安にバランス良く摂取することが推奨されています。

2-4. 農林水産省「食事バランスガイド」とは

「食事バランスガイド」は、毎日の食事において何をどれだけ食べたら良いのかをわかりやすく示すために、「主食」「副菜」「主菜」「牛乳・乳製品」「果物」をコマの絵にして表現したものです。従来の食材別分類のようなものではなく、料理の絵で描かれていることによって、誰でも簡単に自分に合った食事量を知ることができるようになっています。そのうえ、コマの絵を見ることで、1日に食べるのが望ましい料理の組み合わせと量を一目でわかる仕組みになっているのです。さらに、「水・お茶」がコマの軸として、「菓子・嗜好品」がコマを回すヒモとして描かれることでそれぞれの役割が直感的に理解できるようになっています。

このように、コマの絵を参考にし、5つのグループの料理をバランス良く食べることで、栄養バランスのとれた食事を摂ることができるようになっているわけです。ちなみに、この食事バランスガイドでは1つ、2つというように、数え方の単位に「つ」を使っていますが、それは、5つのグループの中でどの料理をどの程度の量として捉えるのが良いのかをわかるようにするためです。たとえば、ごはん200g、肉60g、野菜140gで構成されているカレーライスなら、1つの皿に3種類の料理グループが入っていると考え、主食2つ・主菜2つ・副菜2つというように数えるわけです。あとは、そのコマに年齢や性別などの要素を加えれば、それぞれの料理グループを一日にいくつ摂取すれば良いかがわかるようになっています。

3. 栄養のバランスが良い食事の取り方

毎日口にしている食事が、自分に適した栄養バランスなのかは気になるところです。しかし、そうはいっても、どのようにしてそれを確かめたら良いのかがわからないという人も多いのではないでしょうか。そこで、ここでは自分の食生活に足りないものや摂取しすぎているものの確認の仕方を紹介しつつ、個人に適した、栄養バランスが良い食事の取り方について解説をしていきます。

 

3-1. 今の食生活で足りているものと足りないものを確認する

日頃の食生活において足りないものを確認するにはまず、自分の性別・年齢・日常の活動量の場合で、食事バランスガイドにおいて5つの料理グループをそれぞれどのぐらい摂取すれば良いかを確認します。たとえば、活動量が普通程度の成人男性の場合は主食が6〜8つ、副菜6~7つ、主菜4~6つ、牛乳・乳製品2~3つ、果物2~3つといった具合です。そのうえで、自分の普段の食事がそれぞれの料理グループでいくつになるのかを振り返ってみます。そして、摂取の目安と現在の食事の「つ」の数を比較し、これまでの自分の食事に過不足がないかを振り返ってみるわけです。

以上のように、食事バランスガイドの活用の際には食事の量は「つ(SV=サービング)」という単語を用い、その単位で数えるのが基準であることを覚えておきましょう。食事バランスガイドには炭水化物の1つ分はごはん小盛り、タンパク質の2つ分は焼き魚などと記されているので、それを見れば、数え方のコツを知ることができます。

3-2. 今までの栄養素を把握したらメニューをバランスよくする

食事バランスガイドで過不足のある料理グループとその量が確認できたなら、次に、それを三色食品群と6つの基礎食品群に分類し、自分にとって過不足のある食品とその栄養素が何かを把握します。たとえば、主食2つが多く、副菜2つ、主菜2つが足りていないとするなら、うどん1杯分の炭水化物がとりすぎで、野菜炒め1皿分の無機質やビタミンと焼き魚1皿分のタンパク質が不足しているという具合です。あとは、とりすぎている食品をメニューから外し、不足している分を三色食品群と6つの基礎食品群の中から選択し、新しいメニューとして加えます。こうして、それぞれの「つ」の量を調整することで、今まで不足していた栄養素も含まれた食事がとれるようになるのです。ただ、日々の生活で食生活を正しくし続けることは難しいことでもあるので、マルチビタミンのサプリメント等を用いて自分が不足しがちな栄養を補っていく選択肢もあります。

3-3. 一般的な栄養バランスの良い食事例

健康のためにはまず、1日3食を決まったタイミングできちんと食事をすることが大事です。また、主食・主菜・副菜2品・汁物からなる、一汁三菜と呼ばれる和食スタイルが理想的だとされています。食事バランスガイドの「つ」で3食それぞれの量を考えると次のようになります。まず、朝食は1日の活動エネルギーを確保する意味合いからも、主食1.5つ、副菜1つ、主菜1つ、牛乳1つ、乳製品1つ、果物1つ程度がベストです。一方、昼食は、栄養バランスを考慮して、主食2つ、副菜2つ、主菜2つ、牛乳・乳製品2つ・果物1つといったところです。

そして、夕食は1日のバランスを整えるために、主食2つ、副菜2つ、主菜2つという具合になります。もし、食べる時間が夜遅くなる場合は夕方に野菜スープやおにぎりなどの軽食を挟み、その分、夜の食事を軽めにするのが良いでしょう。

偏りがちな栄養バランスを改善する食生活を送りましょう

食事で摂取する栄養素は、どれも体にとって欠かすことのできないものばかりです。したがって、特定の栄養ばかりを集中してとるのではなく、全体の栄養バランスを考慮した食事を心がけましょう。とはいえ、実際には、規則正しい生活を毎日送るのは難しく、ついつい食事が不規則になったり、食事内容が偏ったりしてしまいがちです。そういう場合は健康食品やサプリメントなどで栄養を補うのが効果的です。

 

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