読書メモ『皇后考』原武史
原武史の本は結構読んでいる。岩波新書 『昭和天皇』、『「昭和天皇実録」を読む』朝日文庫 『大正天皇』NHK出版新書 『<女帝>の日本史』みすず書房 『潮目の予兆――日記2013・4-2015・3』私の天皇に関する知識はほぼ原武史のものから得ていると言っていいのでは。正直、天皇制にはあまり興味を持ってこなかったし、どちらかというとむしろ触れたくない分野だったけど、この著作群を読むうちにどんどん面白くなってきた。『皇后考』は600ページを超える大著でありながらどんどん読み進められる。ちゃんとした研究者が、きちんとした研究に基づいて構成した硬派なミステリー小説みたいな感じ。なんとなく持っていた天皇制のイメージがかなりひっくりかえってしまった。特に印象的だった部分を抜き出してみる。“…丸山眞男が「政事の構造」で明らかにしたように、天皇は究極の主体たりえなかった。丸山によれば、日本の政治に「臣民」が上級者である天皇に奉仕するように、天皇もまたより上級者であるアマテラスに奉仕するという構造が「執拗低音」としてある。さらに昭和初期には、アマテラスと天皇の中間に、折口信夫が前掲「女帝考」で明らかにしたようなナカツスメラノミコトとしての神功皇后に傾倒し、みずからもナカツスメラノミコトたらんとした皇太后がいた。つまり、皇太后は、天皇にとってただの母親ではなく、アマテラスにより近い上級者に当たっていたのだ。(中略)「政事の構造」を読み解かなければ、近代天皇制を理解したことにはならない。その鍵となるのは、天皇ではなく皇后であり、皇太后なのである。”(p.516~517)これを踏まえて現状や今後を妄想するとまた楽しい。この分野、もう少し色々読んでみたい。とはいえ難しい本や昔の本を読むのは厳しいので、まずは興味のある女官についての話が読んでみたい。手始めは林真理子の『ミカドの淑女』あたりか。まずは古本屋へGO!