官邸に手を回し -5ページ目

官邸に手を回し

と通告してきた。もち


逆瀬川駅を出たバスは、細い道路を複雑に右左折しながら、六甲山系の高みに上っていく。
15年ぶりに乗るバス路線。
車窓の風景は、あの日の記憶とは大きく異なっている。
そのことに、わたしは少し戸惑う。
予想していたことではあるのだけれど。
終唐フ住宅地。
バスを降りたわたしの視線に、眼下に市街地を見渡す眺望が飛び込んでくる。
阪衰ヤ、大阪、北摂という三つの地域を一望できる、ここはとくべつな住宅地。
そしてわたしにとっては、ここは悔恨の土地。
あの日、わたしはいつものようにこの土地を訪れ、公園のベンチLOVERS 詐欺に座って、いつものようにこの景観を眺めてた。
そして、まもなく始まることになっていたこの土地での暮らしを想像し、空の上に住むということの意味を、とりとめもなく考えていてた。
次の日も、その次の日も、日常は変わることなく続いてゆくと思っていた。
でも現実はそうじゃなかった。
わたしがこの土地に住む意味は突然に失われ、そしてわたしは関西を逃げ出した。
15年ぶりのこの土地で、わたしはそのことを、心の痛みとともに思い出す。
空港を飛び立った飛行機が、都市の上に軌跡を描いてゆく。
わたしはあのとき、関西から逃げ出すべきではなかったのだ。
離陸する飛行機の中で目を閉じて俯いて、この土地が奄フ下に隠れてしまうのを待ったりしてはいけなかったのだ。
姿を変えてしまったこの土地と、きちんと向き合うべきだったのだ。
あれから15年。
ようやくわたしは関西に、そしてこの土地に戻ってくることができた。
あの日と同じように、公園のベンチに座る。
そしてあの日の記憶を、できるだけ詳しく思い出してゆく。
失われてしまった長い時間を、少しでも取り戻すために。
そしてこの土地と、正面から向き合うために。