忙しい&時間がない」を理由に、平日はシャワーだけで済ませてしまう人が多い中、休日はたっぷりと時間をかけ、入浴タイムを楽しむ人も多いのが最近のバスタイム事情のようです。入浴には1日の疲れた体を休めるリラックス効果だけでなく、肩こりや腰痛緩和、冷え症改善、代謝アップ、さらには汗をかくことで痩せ体質になる効果も期待できます。

 そこで今回は、「美容」「ダイエット」「リラックス」といった目的別の正しい入浴方法を詳しく紹介していきます。

■お風呂でキレイになる理由

 毎日のお風呂タイムを活用して美容&アンチエイジング効果を高めましょう。時間や費用もかからずとっても手軽なので、さっそく今晩から試してみませんか?

○自律神経の乱れが整う
 美容&アンチエイジングのカギは自律神経にあります。自律神経とは本来、昼間は活動優位の「交感神経」が、夜はリラックス優位の「副交感神経」が働き、体のリズムを整えているもの。一年単位では、暑い夏は体を休ませる副交感神経が働き、寒い冬は交感神経が優位になり、体を調節しているのです。

 しかし現代は、夜でも明るいうえにPCや携帯を使う人も多いため、昼間と同じように活動モードになってしまったり、一年中冷暖房が完備されているため、寒い思いも汗をかくことも少ないことから、自律神経が乱れがち。

 入浴には、このような乱れた自律神経を整える効果も高く、特にお湯の温度が二つの自律神経を刺激して働くように作用するといわれています。例えば、ぬるめのお湯は副交感神経を刺激することでリラックス効果が。熱いお湯は交感神経を刺激して気分をしゃっきりさせる効果があります。この二つ働きを賢く利用することで、自律神経のバランスが整うというわけです。

○血行がよくなる
 入浴で体を温めれば、血行がよくなると同時にリンパの流れもよくなります。また、浮力によって関節の可動域が大きくなると、さらにリンパの流れもアップ。これにより、むくみや冷えが改善されたり、顔色や肌ツヤも良くなる美容効果が期待できます。

■お風呂でキレイになる効果的な入浴方法

 昼は交感神経、夜は副交感神経というメリハリをつくるのがキレイの近道! そこで、この2つの自律神経の切り替えをスムーズにするための、朝と夜の入浴方法をご紹介します。

○朝の入浴法は熱いシャワーを
 朝は熱いシャワーを浴びて体を驚かせて交感神経に働きかけましょう。可能なら、熱いシャワーのあとに冷水をかけて、さらに刺激を強くするのも◎。こうすることで交感神経が優位になり、昼を活動的に過ごすことができます。

○夜の入浴法はぬるめのお風呂を
 夜の入浴では、内臓や器官を休ませる副交感神経を優位にして、体をお休みモードにしてあげましょう。それには、ぬるめの風呂(42度以下)に20 分程度、半身浴をするのが効果的です。リラックス効果のある音楽を聴いたり、電気を消してキャンドルを灯すのもよいでしょう。また、寝る1時間前ぐらいに入浴し、寝るまでの間に徐々に体温を落としてあげると快眠につながります。

 さらに入浴の際にマッサージをすれば、リンパの流れがよりスムーズになり、特にむくみや冷えが目立つ脚や足先に効果的です。お湯の中で足首をグルグル回したり、内くるぶしからひざに向ってグイっと老廃物を流すようにマッサージするだけでも、足元がスッキリしますよ。

■お風呂でダイエットできる理由

 汗と一緒に毒素が排出されることで、代謝をよくしてデトックスしやすい体質=痩せやすい体づくりに役立つのも入浴の魅力です。

 本来人間の体は毒素を処理する働きを持っていて、肝臓で毒素を体外に排出されやすい状態にして便や尿として排出したり、全身に巡らされたリンパ系を通して老廃物を処理してくれるもの。ただ、現代の食生活や生活環境は体に入る毒素の量が多過ぎることもあり、処理能力を超えてしまい毒素が溜まりがち。この毒素は脂肪と結びつく性質があるので、毒素が溜まると燃えない脂肪となり、結果、太りやすくなる傾向にあります。

 そこで、入浴で汗をかき代謝をよくして、毒素をうまく排出できる体に変えることが重要。こうすることで脂肪燃焼がスムーズになり、太りにくくなる効果が期待できます。

■お風呂でダイエットの効果的な入浴方法

 ゆっくり時間をかけて体を温め、じんわり汗を出すことで毒素排出効果が高め痩せ体質に導きます。その効果的な入浴方法は以下の順で実践しましょう。

1 熱めのお湯に手足を5~10分つける
 湯船に43℃ぐらいの熱めのお湯をはり、両手のひじから先と両脚の膝下を5~10分つける。末端の汗腺を刺激することで、全身に汗がかけるようになる効果が。

2 運動をプラスして血流アップ
 両手足がお湯につかっている間に、足首をグルグル回します。脚のポンプ作用を刺激して、さらに血行を促進させます。

3 ぬるめのお湯で半身浴
 水を足して37~38℃のぬるめのお湯にしたら、みぞおちまで湯船につかり10~15分半身浴。

*入浴前後、また入浴の途中でも水分補給を!(各コップ1杯程度)
*発汗系の入浴剤をいれるのも◎

■お風呂でリラックスできる理由

 入浴は、体と心の疲れを癒すために必要な生活習慣。入浴が一日の疲れをとるのは、体を温めることで血行がよくなり、筋肉の緊張をほぐしてくれるから。同時に気持ちの緊張もほぐれるので心身ともにリラックスした状態になるのです。

 特に心身のリラックス作用は自律神経のはたらきと関係していて、入浴時は副交感神経が優位になるといわれています。入浴によって副交感神経にかたむいた状態でベッドに入れば、スムーズに休息モードに入り快眠へとつながるわけです。

 また、体は体温が下がるときに眠くなることがわかっており、入浴すると一時的に体温が上がるので、入浴後は自然に体温が降下。そのため、眠りにつきやすくなると同時に、翌朝スッキリ目覚めることができます。

■お風呂でリラックスの効果的な入浴方法

○リラックス効果のあるツボを刺激
 お風呂タイムに眠りに効果のあるツボを刺激するのも◎。やや熱めのシャワーを以下のツボにあてると効果的です。

・足裏の湧泉(ゆうせん)というツボ
 足の指を土踏まず側に曲げるとくぼむところで、中指と薬指の骨の間にあります。

・足裏の失眠(しつみん)というツボ
 かかとの中央線と、内くるぶしと外くるぶしを結んだ線の交点にあります。

・耳裏の安眠(あんみん)というツボ
 耳後の骨の出っ張り下のくぼみから1~1.5cmほど顔側の部分にあります。

・耳下裏の天柱(てんちゅう)というツボ
 後頭部から首すじにかけての中央のくぼんだ部分にあります。

○入浴中は深くゆっくりとした呼吸を
 入浴中は、深い呼吸を意識してみましょう。鼻から息を吸い、口からゆっくりと吐く呼吸を意識することで副交感神経に働きかけ、よりリラックス効果を高めることができます。

 この際、ぬるめのお湯(38~40度)に入り汗が出るまで湯船にじっくり浸かることもポイント。熱いお湯は、交感神経に働きかけて興奮してしまうため、眠る前にはNGです。

 ちょっとした工夫や手軽な方法で「美容」「ダイエット」「リラックス」が手に入る入浴タイムを、毎日の生活に取り入れてみましょう!

【ボディケア:和田清香】