JBL 075 【クレッセント】 | Whistle Stop Cafe Ⅱ

Whistle Stop Cafe Ⅱ

Les Aventuriers Deuxième étape



イメージ 1

過去にD130を何度も買い換えては
ウーハーとして使用してきた。
その際に中高域をどうするのかというのが
最大の悩みでもあったわけだが、
175やLE85 にするか075にするかは
当時、とても悩ましい選択でもあったのだった。


リングラジエーターと呼ばれる
JBL初のホーン・ツイーターが075である事は誰もが知っている事だ。
まして、パラゴンやオリンパスの使用された
歴史的なユニットでもあるが
個人的には、それほど大騒ぎするようなユニットではないと思う。
D130と供に、日本ではある層にだけ過大評価されてしまった
スピーカーだったと思う。

勿論の事、075はランシングの設計ではないし、
その原型はJBLでなく、Lansing Man.から離れた
あるエンジニアの設立した会社で製作された
ものが、その原型ではないかと思っている。
それについては、英文の当時の資料を
精査してみたが、結論に至っているものではない。
(そちらは引き続きこのブログ本来の目的でもある
備忘録としての、”Lansin Note”に記録していくつもりだ。)
原型の話はともかくとして、075という
ツイーターは日本でだけ人気のあったツィーターである。
人気の秘密は、音以前にその美しい造形美のほうにあると思うのだが、
その人気程優れたツィーターでもないのは事実。

とにかくレンジが低い方へシフトされており3ウェイ等の高めのクロスを構成する
ツィーターとしてはハイは伸びきれずに使い難い。
ホーンドラバーの上の帯域を補填する目的で
せいぜい使えるのは、130やLE15A+375という古典的なドライバーを
用いた3ウェイで何とか使えるのがせいぜいだと思う。
オリンパスのS8Rを長く使用してきた事があり、
375と075の相性が良いのは理解している。
ただし、375だけだ。

375のプロ用の2440だとうまくいかない。
075はあの375の特有の周波数特性の中域が盛り上がり
中高域にピークを作った、実にクセの強い
古めかしいサウンドにだけは上手にはまる。
2440でも合わない、より平坦で上迄伸びた2441だと
全く合わない。苦労する筈である。

075というツイーターは、D130やD131といった
JBLの強力なフルレンジと合わせて、比較的低い帯域から使える
「フルレンジ専用のツイーター」と思った方が良いし、
設計者の本来の意図はそこにある。

3ウェイの高域を補うにはレンジが狭いし、歪みっぽい。
シンバルの音が良いなどと、歪みを勘違いしている向きもあるが
シンバルの基音はホーンドライバーの領域だ。
そのハーモニックスが075では出ないのだ。
スーパーツイーターとしては使いたければ
1inchの2420、2421を裸でツイーターとする方法もある。
ウエストレイクのようにだ。

スーパーツィーターを使うなら、同じJBLの2405や077でも良いし
国産の小型のツイーターをほんの少し足してやる方が良い結果となる事が
多々あるのだ。

075というユニットは、紙コーンのフルレンジの高域補正用にのみ使用するのが
まっとうな使い方なのだ。



イメージ 2



シンバルレガートを聴く名盤
「クレッセント」ジョン・コルトレーン

エルビンのドラムはいつも音が澄んでいる。
変な言い方をすれば、山紫水明で
音が浄化されたシンバルレガートが三日月の夜に
天空から降り注ぐ。
史上最強のコルトレーンコンボにあってエルビン・ジョーンズは
実は清澄で静かなドラマーの一面を持つ。
このアルバムもそんな静な一面をも、じっくり味わう作品なのである。