最近になって歌舞伎を観ることを知った私には、うれしい本の贈り物だ。
本の縁というものは必要な時にやってくる。
巡り合わせにはいつも意味がある。
もともと私は美術館や博物館に毎週通っている。
展示を観るためでもあり、何よりも建物の中に漂う歴史の気配と芳香を感じるために足を運ぶ。
いちばん訪れる回数の多いのは、上野の国立博物館だ。
外観、内部、空間の細部に歴史の美術が磨き上げられている。
映画を観ることも好きなので、歴史映画に使用されている美術にいつも眼が惹かれていく。
フランコ・ゼフィレッリ監督作
『ロミオとジュリエット』
この作品は有名なロミオとジュリエットの悲劇をイタリアを舞台にして作られたのだか、その全編に歴史美術がぎっしりと詰め込まれていた。
そういえば初めて入った歌舞伎座にも同じような感じを覚えた。
劇場と脚本と役者は時代を経て、現在も受け継がれている。
歌舞伎座の空間には東京という都市を生み出した江戸の世界がある。
江戸の空気と時間は、歌舞伎の中に今も残り続けているのではないかと思う。
歴史というものは文字から入る。
文字から知り、知ったあとは自身の身体を使って感ずるべきものかも知れない。
そんなことを行うことができる博物館と歌舞伎座の存在は、私にとってはありがたい場所になるのだろう。