Your Pretty Face Is Going To Hell -5ページ目

天気予報

父は亡くなっていた。


平成17年の8月だから、もう6年も前の事だ。


先月その話を、なんの前触れも無く突然、母に聞かされた。


不意に。


母も先月に知ったようなんだが。


 


亡くなってからの6年の歳月が緩衝材になって、なんだか、やたら動揺しなかった。


長い間、どこに誰と住んで、どこで何をしているのか知らなかったし、


ひょっとして亡くなっているのでは…そういう可能性を今までに考えなかった訳でもない。


自分の中で、無意識の内に準備をしていたのかもしれない。


いやそれは嘘か。


先週あれほど父の消息を探そうとして区役所行き来したんだ。


ある出来事があって、どうしてもそれを伝えたかった。


結局、その日は辿り着けず、でもまた来週なんて思って。


心の準備なんてできてなかった。


だけど、父が亡くなっていた事実を聞いた時、


人が死んだ時にいつも思う感情


「やっぱみんな死んじゃうんだ」っていう、


いまだに受け入れる事がまったくできない、あの感情。


ただそれだけだった。


 


最後に会ったのは小学生の頃だったから、


僕の中での父の姿は、その頃の姿で止まったままだ。


キャッチボールの球が速くて恐かったとか、


サッカークラブの練習だんだん嫌になったけど行かされたとか、


怒られて週刊少年ジャンプで頭はたかれたこととか、


怒られた後に「本当はお前のことが嫌いなんだ」ってボソッと言われたこととか、


そんな記憶。


最近顔が似てきた気がする。鏡見て思った。うれしかぁ無いけど。


 


僕は今から2年前に結婚した。


まだ少し先の話になるだろうけど、子供が産まれてきた時に


あたりまえだけど、父親になる。


 


自分の頭の中でイメージ出来る、子を持つ父親像なんて、たかがしれてる。


今までに本やTVで補完してきた、おそらく役に立たない表層のイメージ。


だったらそんなもん捨てちまって、


ひとりの同じ人間として、協力と対峙を繰り返して一緒に共生するしかない。


ただそれだけだ。


父と子に「違い」があるとするならば、ほんのちょっとだけ長く生きている分、


小さな失敗と小さな成功の経験値が、父の方があるってだけかもなぁ。


まぁ、頭の中だけで考えてたって、結局たかがしれてる。おしまい。