更新が遅くなって申し訳ありませんでした。
回胴百景ブログ、大花火編をお届けします。



※アルゼ(現ユニバーサル)。1999年10月登場。販売台数は約20万台。


この時代のスロッターなら、打ったことのない人はいないんじゃないか…というほどの名機「大花火」。美麗リーチ目、演出法則、大量獲得、BGM…などなど大ヒットの要因はいくつもあるのですが、僕の考える最たる理由は老若男女全てのプレイヤーに愛されたことだと思います。



※クランキーシリーズ・花火・ビーマックスというアルゼリーチ目マシンの伝統法則を多く受け継いでいたのも、ファンが多かった理由。



当時は技術介入マシン全盛期の時代。攻略要素をフルに発揮させれば設定1でもPAYOUTが100%を超えるマシンがゴロゴロしていました。ただ、性能を引き出すにはある程度の目押しが出来ることが条件。機種によってはビタ押しができなければ…というマシンも多かったワケです。ところがこの大花火は目押しの要素に「初心者でも3連ドンちゃん絵柄さえ見えれば、ある程度楽しめる」という一工夫があったのです。これによって全ての世代のプレイヤーに親しまれたのでした。


※これさえ見えれば戦えた。




ここで大花火のスペックを詳解しましょう。若干ニュアンスは異なりますが、今風に解説するとこんな感じ。
●ボーナスでコインを増やすノーマルタイプ
●BIGはMAX711枚の獲得が可能
●4thリールによる小役ナビ機能搭載

…といった具合。最も重要なのはBIG。開始するとまずは30Gの小役ゲームを獲得できます。小役ゲーム中は約1/1.2で15枚役が、約1/6でREG(JACイン)が成立。「BIGは小役ゲームを30G消化(終了条件1)」もしくは「REGを3回入賞(終了条件2)」で終了となります。つまり、小役ゲームの30G目に3回目のREGが成立するのが、最も理想的な展開となるワケです。
この最高形が27回の15枚役+3回のREG(入賞時15枚&1回あたり112枚獲得可能)=711枚の獲得となるワケですね。


※七七七orドンちゃん揃いでBIGスタート!



もう少しBIGを解説していきましょう。
15枚役は左に3連ドンちゃんを狙うだけで、カンタンに獲得可能でした。

※筐体にもこんなシールが貼ってありました。





※レバーON時、上部にある4thリールが時計回り(順回転)し、赤ドンちゃんが登場したら15枚役確定。左に3連ドンちゃんを狙えば…





※15枚獲得!(ドン・3尺玉・3尺玉で15枚)




4thリールが反時計回りし(逆回転)、青ドンちゃんが登場したらREG確定。
順押しすれば確実にREGを獲得可能。また、変則押しすることでREGをハズすことが可能でした。これがいわゆるリプレイハズシというテクニックになります。




例えば小役ゲーム1G目、2G目、3G目と立て続けにREGが成立し、これをそのまま入賞させた場合、終了条件2を満たすためBIGは終了。獲得枚数は360枚程度となってしまうワケです。要するに27Gの小役ゲームを消化することなくBIGが終わってしまうのです。これを回避するのがリプレイハズシ。3回目のREGを変則押しでハズし、小役ゲームを引き延ばす…というのが目的です。



このテクニックを駆使し、REGを小役ゲーム残り7G付近で入賞させれば毎回600枚近いコインの獲得ができたのです。


そしてこのリプレイハズシが大花火最大の魅力の1つでもありました。
ハズシの手順は以下の2通り。
変則押しでリプレイをテンパイさせると必ず中段にテンパイ…
①目押しに自信があるなら左リール中段にHANABIをビタ押し!
※成功すれば確実にREGをハズすことが出来ます

②目押しに自信がないなら3連ドンちゃん狙い
※リール制御の3/4(75%)の抽選に当選すればハズシ成功! いわゆるアシストハズシです。


難しい目押しができなければ大量獲得できない…というこれまでの概念を覆し、初心者でも3連ドンちゃんさえ見えれば、15枚役獲得も、ハズシもある程度できる…とハードルを下げたことが、ヒットした最大の要因と思います。結果的にこのあとの時代はオートハズシなど、目押しを必要としない台が流行っているんですね。
また、スロッター人口で最も多い中級者が①にしようか②にしようか…と悩んだり、テクニックを磨いて上達したり…とワイワイ楽しめたことも大きかったと思います。今考えても3連ドンハズシの75%という確率は絶妙ですよね。


また、自信がある上級者でも2G目に2回目のREGが来たときはさすがにプレッシャーがかかるのでハズす…なんて方もいました。保険をかけるので、「保険ハズシ」なんて言葉も流行りました。



※4th逆回転でREG確定。ハズすか? 入れるか?




※REG入賞なら順押し適当打ちでOK!



※ハズすならまずは変則押し。中→右or右or中で左リールを残せばOK。




※自身があるならHANABIを左リール中段にビタ押し! 確実にハズせます。



※目押しが不安なら3連ドンちゃん狙い! 75%でリプレイハズシ。




ちなみに
当時のスロマガに掲載されていた数値を書いておきます。
大花火の手順別BIG平均獲得枚数。
【順押し小役狙い】
537.99枚
順押し小役狙いは、リプレイハズシしないって意味です。これでも平均500枚オーバー。今じゃ考えられません。
※順押し時のパンク発生率
0パン…0.40%
1パン…2.44%
2パン…7.15%

パンクとはREGが成立しないでBIGが終わること。つまり終了条件①を満たすことです。0パンとはREGが一度も成立せずに終わることです。2パンクラスなら日常茶飯事の確率ですね。

【3回目のみアシストハズシ】
575.02枚
2回目までのREGは即入賞。3回目の残り7GまでREGをドンちゃんでハズす打ち方。これでもハズシなしより40枚近く効果があります。


【完璧ハズシ】
残り8までハズシ
608.69枚
残り7までハズシ
609.56枚
残り6までハズシ
608.87枚

小役ゲーム残り7GからREGを優先した方が最も効果が高い手順。
なお残り7Gからのパンク発生率は27.63%。ここまで引き延ばしても4回に1回はパンクしてしまうんですね。それゆえ残り1GでREGが成立したときの気持ち良さはハンパなかったです。



※この瞬間のしてやったり感は最高!



せっかくなので、こんなエピソードも書いておきましょう。

当時、渋谷のG店に「大花火MAX711枚獲得できたら設定6に打ちかえ」という告知シールが大花火の筐体上の棚付近に貼ってあった。ドル箱を置く場所あたりに貼ってあったを想像すると分かりやすいだろうか。とにかくそんな告知があったのは確かだ。
この内容、特に開催日時に指定はなく、毎日対象のようなニュアンスだった。

その日、僕は、宮本さん(本誌回胴百景登場・僕の兄貴的存在)、後輩Hと三人でG店に行き、並んで大花火を打っていた。たしか大花火対象か、店全体のイベントデーだったハズだ。そんな中、朝イチ一発目のBIGを引いたのは後輩H。意気揚々とBIGを消化すると、2回目のREGを終えた時点で残り小役ゲームは7G。もう、いつREGが成立してもOKの状態。さらにMAX711枚も見えている…というアツい状況だ。そして迎えた残り1G。祈りを込め叩いたレバー! すると4thが反時計回りに回転し青ドンちゃん登場。つまりREG確定!
これでMAX711枚はほぼ確定。唯一ありえるのがJACハズレである。確率はちょっと覚えていないが確か1/1000くらいでREG中のJAC(小役)がハズれることがあるのだ。枚数的に1枚しかソンはしないが、ここからほぼ終日設定6を打てることを考えれば、ハズれたときの損失は5000枚以上にのぼるだろう。
そして、もし話にオチがあるのならば、ここでハズレが出現してくれるのがありきたりだし一番面白い。しかし、この出来事のオチは予想しない方向から起こったのだ。

REGはハズれることなくMAX711枚の獲得が完了した。このときの後輩Hの嬉しそうな顔は今でも忘れられないし、ちょっとムカつくくらい僕らに自慢もしていた。しかしそれくらいテンションが上がるのも仕方ない。なんせPAYOUTは約140%と言われている大花火の設定6なのである。

ニコニコ顔でランプを押し店員を呼んで獲得枚数表示を見せる後輩H。そして店員に言われた言葉


今日はイベントですのでこの打ちかえは対象外です


怒り・悲しみ・ショック…様々な感情が入り乱れたであろうあの瞬間の後輩の顔、今でも忘れられません。


ちなみに、イベント日には設定6に打ち変えはやっていない…とはどこにも書いてなかったうえ、ほぼ毎日イベントやってたホールなので、そりゃないだろ…って話。きっと朝イチから設定6を打たせたくなかったのか、最初からただの客寄せで、成功しても何らか理由を付けて無効にしてたのかも。

その後少しゴネたけど、ダメだった記憶があります。何せ自分のことじゃないので、あまり正確な記憶がないのですw
ごめんね後輩H。


※711枚、取ったのに…ね。


それでは今回はこの辺で!