人間の尊厳
http://www.kanaloco.jp/article/73182/cms_id/86833【照明灯】人間の尊厳2014.06.18 09:18:00 〈金だ金々/金々金だ/金だ金々/この世は金だ/金だ金だよ/誰が何と言おと/金だ金々/黄金万能〉。明治から大正時代にかけ街角で歌に乗せて政治や社会を風刺した「演歌師」添田唖(あ)蝉(ぜん)坊(ぼう)の「金々節」である▼ことしは没後70年。いささか鼻白むほど反語的に「金」を連発し、拝金主義の世の中を皮肉っている。生誕地の大磯町ホームページによれば、唖蝉坊が作詞してから1世紀近いが、安倍政権が景気回復を最優先の目標に据えた現代と重なる▼東電福島第1原発事故を受けた中間貯蔵施設の建設をめぐる福島県側との交渉に関し、石原伸晃環境相の「最後は金目でしょ」という発言が物議を醸している。施設候補地の住民は「『お金を出せばいいんだろう』と言っているように感じる」などと反発している▼石原環境相は「品を欠く発言」と認め、陳謝した。確かに閣僚にあるまじき品格も配慮もない言葉だった。集団的自衛権の行使容認に向けた論議にも目立っている、安倍内閣の乱暴さが現れたということだろうか▼お金で買えないものもある。その一つは人間の尊厳だ。福島の人々に与えた心の傷を軽く見てはなるまい。「金々節」には唖蝉坊が風刺を込めた、こんな歌詞がある。〈学者、議員も/政治も金だ〉【神奈川新聞】