少額訴訟制度とは30万円以下を対象とした訴訟制度で、1日で判決が出ます。裁判所の方も丁寧に教えてくれるので司法の素人でも手軽に利用できます。少額訴訟制度を利用する際には、まず自賠責保険の被害者請求制度を使って実費の分を自分で請求します。そして残りの金額を保険会社に訴訟を起こします。といってもむやみに高額にしても無駄なので、自賠責基準と裁判基準の差額を求めるのがよいでしょう。
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損害調査体制
自賠責保険は自動車損害賠償保障法に基づく被害者救済を目的とする強制保険ですので、中立的・客観的な立場から公正で迅速な損害調査が求められます。そこで損保料率機構が損害保険会社からの依頼に基づき、自賠責保険の損害調査を集中的に行っています。損保料率機構の損害調査体制は、調査事務所、地区本部および本部の3層構造で、基本的には全国都道府県の県庁所在地等に設置された調査事務所において損害調査を行い、調査事務所では判断が困難な事案や異議申立事案など一定の事案については地区本部または本部で損害調査を行っています。調査内容の具体例として下記が挙げられます。調査にあたっては、事故当事者や病院への照会、事故現場調査、顧問弁護士・顧問医への相談等を行います。
○ 自賠責保険の支払対象か否か(運行供用者責任、他人性等)
○ 重過失減額の適否
○ 事故と傷害・後遺障害・死亡との因果関係の有無
○ 治療費の妥当性の確認
○ 後遺障害の等級認定
○ 自賠責保険の支払額の積算
損保料率機構の損害調査結果の影響
自賠責保険金の支払いに関する最終的な決定権限は自賠責保険会社にありますが、損保料率機構の損害調査結果に基づいて支払いがされています。このため、損保料率機構の損害調査結果が、被害者の受け取る賠償金に大きな影響を与えることがあります。例えば、被害者が加害者の任意保険会社に後遺障害の請求をした場合、任意保険会社は損保料率機構に後遺障害診断書等の関係資料を送り、後遺障害の等級認定を受け(この手続きを「事前認定」といいます)、その結果に基づき示談交渉や自賠責保険部分を含む賠償金の支払いがなされます。また、被害者が自賠責保険会社に被害者請求する場合も、自賠責保険会社が損保料率機構に後遺障害診断書等の関係資料を送り、後遺障害の等級認定結果に基づき、自賠責保険からの支払いがなされます。このように、損保料率機構の損害調査結果は、示談交渉や被害者の受け取る賠償額に大きな影響があるといえます。
自賠責保険においては、上記制度とは別に、傷害、後遺障害、死亡のそれぞれの損害額の算出基準を定めた支払基準に違反があった場合や書面による適正な説明対応が行われていない場合に、自賠法16条の7に基づく国土交通大臣に対する申出制度があります。詳細につきましては、国土交通省の自賠責保険関連ホームページをご覧ください。
自賠責保険のお支払金額など保険会社の最終決定に対してご異議のある場合、書面をもって保険会社あてに「異議申立」の手続きをすることができます。異議申し立てするにはまず保険会社に「異議申立書」の用紙をもらい手続きをしましょう。また、「異議申立」の手続きの他に、「財団法人自賠責保険・共済紛争処理機構」に紛争処理の申請を行うことができます。「財団法人自賠責保険・共済紛争処理機構」は、公正中立で専門的な知見を有する弁護士、医師等で構成する紛争処理委員が調停を行うものです。もし損保料率機構の損害調査結果に不服があるときは、異議申立を行うことができます。異議申立は保険会社を通じて行います。異議申立に回数制限はありません。異議申立がなされると、基本的には損保料率機構に設置されている「自賠責保険(共済)審査会」という審査機関で審議がなされます。審査会のメンバーは、審査の客観性・専門性を図る観点から外部の弁護士および医師等で構成されています。審査会で異議申立事案を審議するにあたっては、最初の回答を変更するに足り得る新たな資料(診断書等)が添付されているかどうかがポイントの一つとなります。
このため、異議申立をする場合には、損保料率機構の回答文書を保険会社から取得して回答理由を分析したうえで、申立内容および添付する資料を検討する必要が出てくるでしょう。
多くの方が相手方任意保険会社の一括払いのサービスを利用されていますが、受傷し治療を続け後遺症が残った場合に、任意保険会社が「治療打切り」から「事前認定」による後遺障害等級認定を進めて行きます。自賠責保険の被害者請求は法令に規定されている制度です。適正な等級認定を取得するためには、専門家(弁護士や司法書士)の知恵を上手に利用する事が近道です。