渡邉「愛佳ー!パス!」


志田「うっす!」



シュッ


志田「よっしゃ!」


そう言って、もう1人の女の子と
ハイタッチしてる。




校庭のグラウンドではしゃぐあの子は
私と同じクラスの志田愛佳ちゃん。
同じクラスなのに話したことも無くて、
ただ一方的に見ることしかできなかった。




長沢「ぺーちゃん??また、志田さん見てるの?」


コクっ


私は、なーこちゃんの問いかけに頷いた。





長沢「志田さん、かっこいいもんね〜。
ぺーちゃんって志田さんの事好きでしょ?」



フルフルっ

首を横に振ってみるも、なーこちゃんは
ニヤニヤしながらこっちを見ていた。



長沢「でも、渡邉さんが居るもんね〜。
あの2人幼なじみだってさ。」



あっ…そうだったんだ。
だから、仲いいんだ。私には入る隙もない。




長沢「でも、ペーちゃんなら平気だよ!!
頑張って!」




そう言うと、なーこちゃんはみんなの所へ
戻っていった。




渡辺「…私も、喋れるようになるかな。




でも、なーこちゃんとさえも上手く会話が出来ない私になんて、到底無理だ。

私は極度の人見知りで、誰かと会話なんて、
考えられない。




??「渡辺さん?ここで、何してんの?」





聞いた覚えがある声がして、振り向くと、
志田さんが水筒でお水を飲みながら
不思議そうにこっちを見ていた。





志田「休憩?」



渡辺「…」



声を出したいのに、緊張して声が出ない。
だから、私はいつものように、首を縦にふった。




志田「そっかそっか!今日、暑いもんね〜
やんなっちゃうよ。」



そう言って、志田さんはシャツを持って
パタパタし始める。



たまにチラチラ見える腹筋が、
私の顔を熱くさせる。
私は、すぐに目を逸らした。



志田「あれ?渡辺さん、顔赤いよ?
熱あるんじゃない?」


フルフルっ


志田「え〜…」


志田さんが私のおでこに手を伸ばした。


あ…手が冷たい。ヒンヤリしてて気持ちがいい。
それに、手が大きいんだな…



志田「うーん…よく分かんないな。
体調悪くなったら、保健室行ってね?」



そう言うと、志田さんは立ち上がった。


そして、こっちをチラッと見て、微笑んで
グラウンドの方に進み始めた。




渡辺「…あのっ




自分の中で大きいと思えた声を出しても、
志田さんは振り向いてくれなかった。





多分聞こえなかったんだろうな…
けど、志田さんと話がしたい。






また明日、勇気を出してみようかな…

             きっとこの声が届くと信じて。