ガヤガヤガヤ
 

人混みの中を徐々に進んでいく。



理佐:あつ…


葵:理佐ー?早くきてよ!!
りんご飴見つけたの!!



本当は来たくなんてなかった、お祭りなんて。
人混みが嫌いだし。けど、何よりも…


 


葵:理佐最近ボーッとしてるね?




ボーッとしてる私に一緒に来た葵が話しかける。

だってしょうがないでしょう?
愛佳と別れた後の初めてのお祭りなんだから。



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愛佳:理佐!射的やりたい!!


理佐:愛佳当たんないでしょ…


愛佳:やりたいのー!ね?お願い!!




そう言っておねだりしてくる愛佳が可愛くて、
私はつい、頷いてしまった。



ガンッ


愛佳:うっわー!やっぱ当たんないや。

理佐:ほら、言ったでしょ?



そういうと、愛佳は分かりやすくシュンとする。
しょうがないから、私が無言で代わりにやってあげる。



ガンッ   ポトッ


愛佳:うわ!!!りしゃすごーい!!!!


理佐:うるさい。これでしょ?はい。


愛佳:ありがとー!!!宝物にする!!



そう言って、私が取ってあげたぬいぐるみを
大事そうに抱えた。




そんな日々が本当に何よりも幸せだった。



私はそれでも十分幸せだった。
けど、一つの言葉が私たちの関係を崩した。




"もう、うんざり"



何気なく出た言葉は、私が想像してた愛佳の
反応とは全く反対の反応を生み出した。




愛佳:ごめんね…



そう言って、愛佳は泣きながら私に背を向けた。

私は引き止めることさえもしなかった。
だって、戻ってくるって思ってたから。


私たちは、もともと遠距離恋愛をしていて
2週間に一度会うくらいだった。


その出来事があってから、部活などでバタバタして、結果的に一年の時が経ってしまった。


意地張って、愛佳と連絡を取ろうとしなかった。
その時に、もし "ごめん"の一言が言えてたら
今、こんな後悔することは無かったのかな…?



それが、初めての後悔。



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葵:理佐!!

理佐:何?


葵:何じゃないって!さっきからずっと呼んでる!


理佐:ごめん。    あっ…




私は横顔を見てドキンとした。



あれは確かに…愛佳だ。
何度も見てきた横顔。間違えるはずがない。



葵:理佐ー???



葵がそう呼ぶと、愛佳がこっちに気づき振り向いた。




愛佳:り、さ?


理佐:…愛佳。



久しぶりに会った彼女は、良い意味で変わった。
愛佳の顔を見るとすっごくドキドキして
あの頃の感情が蘇ってきた。


 



??:愛佳?


愛佳:あっ、ごめん、ベリ。




愛佳の隣には可愛い女の子が居て、
その子がこちらを見て目をパチパチさせてる。





愛佳:理佐、少し話せる?




そう言って、愛佳は隣の女の子に了承を取って
私の手を引いた。



引かれている間すごくドキドキした。
人通りが多かったメインストリートを少し離れたら、人通りが少ない通りに出た。


愛佳が息を整えて、こっちを見つめた。





愛佳:久しぶり。理佐。


理佐:久しぶり…


愛佳:ごめん、連絡しなくて。
携帯壊れて、携帯のデータが消えちゃったから
連絡取れなかったの。


理佐:ううん。大丈夫だよ。


愛佳:…




二人の間に沈黙が流れる。
久しぶりだから、ぎこちないのかもしれない。
だから、私がその沈黙を破った。




理佐:愛佳、あの日はごめん。ずっと謝りたかった。


愛佳:ううん、本音でしょ…?


理佐:違う。


愛佳:ははっ…なら、良かった…


理佐:本当ごめん。


愛佳:いいよ、もう。










愛佳:私さ。


理佐:あ、うん?


愛佳:好きな人が居るんだ。


理佐:!?



愛佳の一言に私はとても驚いた。
好きな人…?



愛佳:もしかしたら、今日、理佐に会えると思ったから、ちゃんと理佐に別れを告げにきた。


理佐:…

  


涙が出そうだったけど、
自分の手をつねって頑張って堪えた。

泣いて、お別れなんてしたくないよ。
最後くらい…笑顔で。




愛佳:理佐…別れよう。


理佐:…うん。好きな人と…頑張ってね。


愛佳:…ありがとう。




そう言うと、愛佳は切なさそうに笑って、
背を向けて歩き出した。





 

理佐:愛佳!

愛佳:?


理佐:大好きだったよ!




最後にそう言うと、屈託のない笑みで
愛佳は頷いた。




愛佳が再び背を向けた時に、もう涙が溢れてきていた。



   









理佐:過去形なんかじゃない。
 


 
今も…大好きだよ。





…そう伝えられたら、何か変わってたのかな。







これが2度目の後悔。